物理学について、力学、電磁気学、熱力学、波動、分子・原子の各分野に分けて解説した本。
「はじめに」で「この本は、高校物理の挫折者や、履修はしなかったが、あらためて学び直したいという初学者を想定して書かれたものだ」とされ、サブタイトルは「挫折者のための超入門」とされています。確かに、日常目にするものや経験することを例に挙げ、何故そうなるのかについて少し踏み込んで説明しようという姿勢は見られますが、その説明は必ずしもやさしく理解できるとも言い切れず、高校生のときに挫折した人がこれを読んでよくわかる、帯に書かれているような「なーんだ、そうだったのか!」と思えるかには疑問を感じます。
摩擦力は最新の物理学でもいまだに解明できていない(76ページ)とか、いまでも雲の生成過程は完全には理解されていない(179ページ)とか、熱力学第二法則についても「氷が溶けてできた水から、また氷に戻ることは絶対に起きないと、すべての場合に証明できた人は残念ながらいない」(202ページ)など、身の回りのことでもまだわかっていない、基本的な法則も完全に証明されたわけではないというあたりに、挫折者・初学者が、要するにわからなくても仕方ないんだ、専門家だってわかってないんじゃないかと溜飲を下げるという価値があるかもと思いました。

田口善弘 講談社現代新書 2024年2月20日発行
「はじめに」で「この本は、高校物理の挫折者や、履修はしなかったが、あらためて学び直したいという初学者を想定して書かれたものだ」とされ、サブタイトルは「挫折者のための超入門」とされています。確かに、日常目にするものや経験することを例に挙げ、何故そうなるのかについて少し踏み込んで説明しようという姿勢は見られますが、その説明は必ずしもやさしく理解できるとも言い切れず、高校生のときに挫折した人がこれを読んでよくわかる、帯に書かれているような「なーんだ、そうだったのか!」と思えるかには疑問を感じます。
摩擦力は最新の物理学でもいまだに解明できていない(76ページ)とか、いまでも雲の生成過程は完全には理解されていない(179ページ)とか、熱力学第二法則についても「氷が溶けてできた水から、また氷に戻ることは絶対に起きないと、すべての場合に証明できた人は残念ながらいない」(202ページ)など、身の回りのことでもまだわかっていない、基本的な法則も完全に証明されたわけではないというあたりに、挫折者・初学者が、要するにわからなくても仕方ないんだ、専門家だってわかってないんじゃないかと溜飲を下げるという価値があるかもと思いました。

田口善弘 講談社現代新書 2024年2月20日発行
