不動産の売買、賃貸借(建物賃貸借、土地賃貸借)、管理(マンションに関する紛争等)等についての最近5年間(2017年以降)に出された判決を紹介した本。
紹介する判決の選択には当然に著者の好みもあり、また販売したカラーボックスにより化学物質過敏症を発症した場合の販売店(ホームセンター)の損害賠償責任(61番:259~261ページ)とか、ネットオークション参加のための資料送付を申込者が外国人であることを理由に拒否した事業者の損害賠償責任(96番:414~417ページ)など、どこが不動産についての判例なんだと思うものもあります(不動産業者でもシックハウス症候群や外国人差別は問題になり得るからねということではありましょうけど)が、弁護士にとっては、日頃あまり考えなかったことも含めさまざまな問題を考える契機となり、そして何より自分が知らないところでこんな新しい判決が出てるんだと認識することは、とても勉強になります。
正反対の結論の判決があるときに、両者が事案の違いでうまく説明できるのか、裁判官の価値観の違いに帰せられるのかとか、判決の判断に影響を及ぼしたと思われる事実関係、責任が認められたとしてどの程度の損害賠償が認められたのか、その損害の内容と算定など、説明している場合もありますが、もう少し踏み込んで欲しいなと思うこともあります。
事案の概要、裁判所の判断、解説という構成が取られていて、裁判所の判断と解説で同じことが繰り返されているところが多々あります。読んでいるときに、繰り返されることで重要な判断が頭に残りやすいとか整理されるという効果もあるとは思いますが、私には、冗長感というか、その紙幅を上で述べているような点の掘り下げに当ててくれたらという思いが残りました。
渡辺晋 日本加除出版 2022年9月21日発行
紹介する判決の選択には当然に著者の好みもあり、また販売したカラーボックスにより化学物質過敏症を発症した場合の販売店(ホームセンター)の損害賠償責任(61番:259~261ページ)とか、ネットオークション参加のための資料送付を申込者が外国人であることを理由に拒否した事業者の損害賠償責任(96番:414~417ページ)など、どこが不動産についての判例なんだと思うものもあります(不動産業者でもシックハウス症候群や外国人差別は問題になり得るからねということではありましょうけど)が、弁護士にとっては、日頃あまり考えなかったことも含めさまざまな問題を考える契機となり、そして何より自分が知らないところでこんな新しい判決が出てるんだと認識することは、とても勉強になります。
正反対の結論の判決があるときに、両者が事案の違いでうまく説明できるのか、裁判官の価値観の違いに帰せられるのかとか、判決の判断に影響を及ぼしたと思われる事実関係、責任が認められたとしてどの程度の損害賠償が認められたのか、その損害の内容と算定など、説明している場合もありますが、もう少し踏み込んで欲しいなと思うこともあります。
事案の概要、裁判所の判断、解説という構成が取られていて、裁判所の判断と解説で同じことが繰り返されているところが多々あります。読んでいるときに、繰り返されることで重要な判断が頭に残りやすいとか整理されるという効果もあるとは思いますが、私には、冗長感というか、その紙幅を上で述べているような点の掘り下げに当ててくれたらという思いが残りました。
渡辺晋 日本加除出版 2022年9月21日発行