日本で原発の導入・建設、運転を進めてきた政官財学メディアの権力のペンタゴン(五角形)について紹介し論じた本。
その中で政治に中心的に焦点を当て、正力松太郎、中曽根康弘、田中角栄というプレイヤーたちを扱う部分が一番読み応えのある部分ですが、同時にその部分はある意味ですでに語り尽くされているというかすでに聞いたことがあるような話が多く、この本でも他の著書を引用する形でのエピソードの紹介が多くなっています。そういう意味で、この時節柄まとめてくれて手頃という点を置くと、この本のオリジナリティはどこにという気もします。この時期に書くのなら、むしろ中曽根康弘後現在までの部分も読みたい気がしますが、その点はかなりさらっとしか触れられていません。
電事連がメディア対策で多額の広告費でまず朝日新聞を陥落させ、もともと推進の読売新聞にも横並びで出稿したところで、反原発キャンペーンを張っていた毎日新聞の広告局が出稿要請に来ると反対なら反対を徹底すればいいではないかと出稿要請を拒否して結局毎日新聞の反原発キャンペーンが消えていったという話(213~216ページ)は大変興味深いですが、せっかく書くならもっと詳しく固めて書いて欲しい気がします。
山岡淳一郎 ちくま新書 2011年9月10日発行
その中で政治に中心的に焦点を当て、正力松太郎、中曽根康弘、田中角栄というプレイヤーたちを扱う部分が一番読み応えのある部分ですが、同時にその部分はある意味ですでに語り尽くされているというかすでに聞いたことがあるような話が多く、この本でも他の著書を引用する形でのエピソードの紹介が多くなっています。そういう意味で、この時節柄まとめてくれて手頃という点を置くと、この本のオリジナリティはどこにという気もします。この時期に書くのなら、むしろ中曽根康弘後現在までの部分も読みたい気がしますが、その点はかなりさらっとしか触れられていません。
電事連がメディア対策で多額の広告費でまず朝日新聞を陥落させ、もともと推進の読売新聞にも横並びで出稿したところで、反原発キャンペーンを張っていた毎日新聞の広告局が出稿要請に来ると反対なら反対を徹底すればいいではないかと出稿要請を拒否して結局毎日新聞の反原発キャンペーンが消えていったという話(213~216ページ)は大変興味深いですが、せっかく書くならもっと詳しく固めて書いて欲しい気がします。
山岡淳一郎 ちくま新書 2011年9月10日発行