コロナ禍のために小学3年生になってすぐ休校・オンライン授業となり、「夜の仕事」をしているシングルマザーとともに分散登校が始まってもずっと休んでいる同級生がネグレクトされていることに気づいて定期的にパンや飲み物を届けるようになった冴と、友だちと近づくこともしゃべることもできない分散登校時に机の中に小さな紙の切れ端で手紙をやりとりした見知らぬ相手との約束に希望を見出した心晴のその後15年を描き、コロナ禍で失ったもの、得たものに思いをはせる青春小説。
作者らしいほんわりとした温かい読み味は予想通り期待通りですが、この作品では、母親、特に冴の母があっけらかんとしてカッコいいところが印象的です。同級生から母親が夜の仕事をしていると蔑まれた冴から仕事について聞かれても自慢げにかっこいい仕事だのお給料がいいだのと答え常に前向きの姿勢で、なんといっても子どもに対し「ママは冴がいて最高に幸せ」「私は冴のこと驚異的に大好きだもんね」とか愛情を露わにしています。貧しくてもこんな母親と一緒だと子どもは幸せだろうと思います。他方、父親は、冴の父はおらず、心晴の父はいいとこなしで心晴に蔑まれたまま。おっさん読者にはそこはちょっと哀しいですが。
瀬尾まいこ 文藝春秋 2023年7月25日発行
作者らしいほんわりとした温かい読み味は予想通り期待通りですが、この作品では、母親、特に冴の母があっけらかんとしてカッコいいところが印象的です。同級生から母親が夜の仕事をしていると蔑まれた冴から仕事について聞かれても自慢げにかっこいい仕事だのお給料がいいだのと答え常に前向きの姿勢で、なんといっても子どもに対し「ママは冴がいて最高に幸せ」「私は冴のこと驚異的に大好きだもんね」とか愛情を露わにしています。貧しくてもこんな母親と一緒だと子どもは幸せだろうと思います。他方、父親は、冴の父はおらず、心晴の父はいいとこなしで心晴に蔑まれたまま。おっさん読者にはそこはちょっと哀しいですが。
瀬尾まいこ 文藝春秋 2023年7月25日発行