Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

追悼!ウォルフガング・サヴァリッシュ

2013年02月24日 22時27分26秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
   

 22日にウォルフガング・サヴァリッシュがなくなった、との報道が先ほどあった。89歳だったとのこと。
1923年生まれというから、日本で言うと大正12年生まれということになる。1960年にカラヤンから引き継いで、1970年までウィーン交響楽団の首席奏者になってから日本でも注目を集めたようだ。1964年にNHK交響楽団を指揮して以来、一層日本で注目を集めた。
 私は1970年大学に入学してサヴァリッシュ指揮、ウィーン交響楽団のブラームスの交響曲4曲を聴いて以来のファンであった。他の指揮者・他の楽団の演奏も知らないくせに、そして初めてブラームスの交響曲を聴いたのだが、すっかり魅せられてしまった。
 当時購入したレコードはレコード面が摩滅してさらに無数の小さな傷が出来るほど聞いた。そのため、残念ではあったがレコードプレーヤーを処分してCD再生装置を購入したときに廃棄してしまった。その後そのレコードのCD版を探したが見つからず、そのままになってしまっている。今もっているブラームスの交響曲は、カラヤン・ベルリンフィルのものである。あまり聞くことがなくなってしまった。
 直接サヴァリッシュの指揮を見たことはない。一度でいいからその指揮、あるいはピアノの演奏を直に聴きたかった。
 そして現在持っているサヴァリッシュのCDは、提剛のチェロ・サヴァリッシュのピアノによる1978年録音のブラームスのチェロソナタ、そしてバイエルン放送交響楽団をサヴァリッシュが指揮した1983年録音のブラームスのドイツレクイエム。いづれもブラームスの曲だ。提剛とのチェロソナタ2曲はとても好きな演奏だ。
 やはりブラームスの交響曲のイメージが強く、ブラームスの管弦楽曲とサヴァリッシュの組み合わせは、私には欠かせない。両者は私の中では一体の存在なってしまった。

 そんなことで、サヴァリッシュの訃報を聞いて、感慨深いものがある。私のクラシック遍歴で大きな足跡を残したこの偉大な先達の冥福を心よりお祈りしたい。

 本日は今もっているドイツレクイエムでもかけながら就寝するとしよう。


竹内栖鳳「蹴合」(「画の東西」展補足)

2013年02月24日 11時40分12秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等


 本日NHKの日曜美術館で竹内栖鳳を放映していた。私は竹内栖鳳の名は聞いたことがある程度で、どのような作品を描いた画家かなど基本的知識がまったく無かった。今回の放映で初めて作品をいくつか知った。その程度の素人である。
 さて竹内栖鳳は昨年没後70年ということで、山種美術館で回顧展が行われたらしい。私は考慮の外で、昨年秋に開催されていたということすら記憶になかった。

 日曜美術館を見ていて「蹴合」が映し出された。どこかで見たことがあると思い、乏しい記憶をたどってみたら、大倉集古館の収蔵品展「画の東西」で展示されていたのを思い出した。

 「画の東西」展ではこの絵、他の収蔵品に較べて色彩も鮮やかで画面が新しいので、明治期以降の画家だろうと検討をつけて名前を見たら竹内栖鳳とあった。画家の名に関しては聞いたことがあるなぁという程度の思いだった。絵については丁寧な写生と色の鮮やかさ、躍動感に目を瞠ったが、二つの点で私には不満であった。
 それはまず、二羽の鳥の関係が実に平面的で、二羽が闘っている関係とは思えなかったことがある。同じ平面で向き合って闘っているには、遠近感がなさ過ぎる。左の鳥の脚の先には絵では対する鳥が描かれているものの、その相手の鳥は少し奥に位置しているのではないだろうか。だから脚は宙を蹴っている感じだ。眼もお互いににらみ合ってはいない。視線がずれている。
 テレビの放映によると、鳥と同じ高さの目線で観察を入念にしたという。一羽一羽の動きにはそれが十分に伝わるのだが、二羽の関係が私にはとても気になる。
 もうひとつ気になったことがある。二羽とも脚の位置が見れば見るほどちぐはぐに見える。それぞれ左右がはっきりしない。左の鳥の脚など見入れば見入るほど左右が逆に思えてくることがある。目の錯覚なのかと思ったが、一羽の鳥自体にも遠近感が少ない。不思議な感じがする。
 そんな感じを受けて、この「画の東西」の感想を記したブログにはこの作品を取り上げなかった。

 放映では、日本画の革新を求めて、西洋画の写実、遠近感、奥行きの表現にこだわったとの解説であった。確かに他の作品をテレビの画面で見るかぎり、その評価は間違っていないと思った。しかしこの絵だけについてはどうも納得がいかない。
 この作品は65歳ころの作品で充実していた頃に描かれたようだ。私の鑑賞眼がダメなのかと、ふと落ち込んでしまった。が、是非他の方の感想も聞いてみたいものだ。
同時に放映されたこの竹内栖鳳の革新性については、それなりに興味がわいた。次の機会がいつあるかわからないが、機会があれば是非ともまとめて作品を鑑賞してみたいものだ。