雪が降るたびに気がつくことがある。現役の時に仕事として除雪作業をしていた時も同じ感想を持っていた。今でも変わらない。
都会では家の前の除雪をする人が実に少ない。商店街でも古い商店では店の前の雪かきをするところがあるが、若い商店主や貸店舗の場合はほとんど除雪はしない。客が雪をまたいで入店していても雪かきをしていない。逆に市道の管理をしている私の職場に電話をしてきて「店の前の雪かきをしろ」と命令してくる商店主も多かった。
さらにマンション前はほとんど雪かきをしていない。マンションの管理組合の理事長からマンション前の雪かきをするように電話でどなられたことも記憶に残っている。事情を縷々述べて丁重にお断りしたかったが、電話が鳴りっぱなしなので、最後は「できません」と電話を一方的に切ることもあった。
道路管理者と言えども、直営作業班、業者の作業員、そして私たち事務職も出払って雪かきに精を出す。それでもすべての市道の除雪ができるわけではない。一つの区で数百キロもある市道のほんの数パーセントが出来れば上出来である。雪が降れば、駅・バスターミナル周辺、幼稚園・保育園まわり、小中学校周囲の通学路、凍り付く橋、北向きの急坂の雪かきや通行止めの処置だけで精いっぱい。とてもではないが商店街やマンション前などには手はまわらない。
都会の雪、数センチだけで道路管理の部所はパニックであった。
ただし最近の個人商店、高齢化が進んで雪かきもままならない商店が増えている。私の住んでいる近くの商店も例外ではない。高齢化の影響は、過疎地ばかりか横浜市という日本第二の都市人口の政令市でも切実な課題になってきている。
中学校や高校で、校長によってはボランティア活動として生徒に雪かきをさせていた所も昔はあったが、現在はそのようなことを教育委員会は認めているのだろうか。
大地震に限らず、雪、大雨など普段の災害時にこそ、都市の課題は浮かび上がってくるものである。それを敏感に取り上げるのが、行政サイドだけでなく、政治に携わる者の大きな役割であると思うのだが、現実はそれとはほど遠い。