Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「弔詞」(石垣りん詩集から)

2016年01月01日 11時16分38秒 | 読書
 昨日購入した「石垣りん詩集」(岩波書店)を読みながら、多分3時位にはそのままぐっすり寝入った。今朝はすっかり寝坊をして、目が覚めたのが7時45分も過ぎていたろうか。もう太陽はすっかり高く、青空が眩しかった。今年は早起きが苦手な私だということを暗示している。

 目についた詩をひとつ「弔詞」から抜粋。元旦にはそぐわない言葉かもしれないが‥。


 弔詞
   職場新聞に掲載された一〇五名の戦没者名簿に寄せて


‥(一部略)

あなたはいま、
どのような眠りを、
眠っているのだろうか。
そして私はどのように、さめているというのか?

死者の記憶が遠ざかるとき、
同じ速度で、死は私たちに近づく。
戦争が終わって二十年。もうここに並んだ死者たちのことを、覚えているも職場に少ない。

死者は静かに立ちあがる。
さみしい笑顔で
この紙面から立ち去ろうとしている。忘却の方へ発とうとしている。

私は呼びかける。
西脇さん、
水町さん、
みんな、ここへ戻って下さい。
どのようにして戦争にまきこまれ、
どのようにして
死なねばならなかったか。
語って
下さい。

戦争の記憶が遠ざかるとき、
戦争がまた
私たちに近づく。
そうでなければ良い。

八月十五日。
眠っているのは私たち。
苦しみにさめているのは
あなたたち。

行かないで下さい 皆さん、どうかここに居て下さい。




 戦争で亡くなった人たちが、眠っているのではなく、「苦しみにさめてい」て、生きている私たちが、戦争の記憶が遠ざかることで「眠っている」という背理は、さしずめ戦後の日本の在り方に対する根底的な批判と受け止めることができる。
 私たちはそんな戦後70年を生きてきた。これからも戦後であり続けるために‥。


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2 コメント

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石垣りんの「弔詞」 (shiseian1130)
2016-01-02 11:58:36
[ 死者の記憶が遠ざかるとき、同じ速度で、死は私たちに近づく。]・・・・・この詩の中で最も良いフレーズです。他のフレーズは修飾でしょう!つまり、「記憶」をどうやってlegacyとして後世に残すかと云うことです。そおすれば「戦後」は永久に持続するでしょう!
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shiseian1130様 (Fs)
2016-01-02 23:53:13
そうですね。私たちは昨年の夏にも言い続けましたね。
残しても、残そうとしても、拒否し、忘却し、埋葬してしまう者たちが、力を持ってしまっています。

でも「詩」としてどうなのでしょうか。これも詩であることは間違いないですが‥。
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