★ありふれし明日来るならひ曼珠沙華 斎藤玄
★いつまで生きる曼珠沙華咲きだした 種田山頭火
★つきぬけて天上の紺曼珠沙華 山口誓子
曼殊沙華、彼岸花という季語は不思議な季語である。別名死人花と言われるだけあって、さらに色合いから、また秋の彼岸の頃に咲くということもあり、死や往生を類奏する句も多い。
一方で、その鮮烈な色から逆に鮮烈な生への指向を思わせる句もある。
第3句など、後者の見本のように思っている。思いこみだけかもしれないが‥。
一年の中で、春・秋の彼岸はありふれた365日の中でも、感慨深い何らかの節目になる日と捉えることもできる。節目の日はいくつもあるが、強烈な色彩と、生と死を思い出させることでは特別なのかもしれない。