暑い最中の読書がなかなか進まない。最近よんでいる本とは目先を変えてみた。数年に1冊くらいは考古学関係の本を読んでいる。今回はこの本を選択してみた。
著者の問題意識は以下に示されているようだ。
「日本考古学では、この古墳の文化に一定の一体性と秩序が認められることから、政治的記念物としての古墳の築造上にヤマト王権や地域勢力の動向を重ね合わせることで、古代国家形成過程としての古墳時代の政治社会的研究に力を注いできた。しかし古墳の第一義は墓であり宗教的記念物なのだから、他界観や信仰といった宗教的意味や葬送儀礼での役割、あるいは社会的意味を問わなければ、古墳の本質には迫れない。」(はじめに)
なお、次の指摘は多分私は初めて知った。
「埴輪には、生産用具がないなど、他界での生活に必要なもののすべてが揃っていたわけではない。その点については埴輪と副葬品との比較から考えてみたい。」(第3章「埴輪の意味するもの」、1「埴輪の種類と変遷」)
上記の指摘について、次のように結論付けている。
「副葬品は首長の社会的役割(権益)を象徴する品々、埴輪は主に他界での生活に必要な食器、施設(家、囲など)、家具(蓋、椅子など)である。共通する武器・武具は、棺・槨内のそれは軍事権の象徴であるととに遺体を護る役割を担ったもの、埴輪のそれは首長の住む屋敷や他界ものものを護るためのものだったのであろう。小道具類は棺・槨に副葬品として納め、大道具類は他界に埴輪として備え付けたともいえる。」(第3章、5「埴輪と副葬品」)
本日は第3章まで読み終えた。