★燃えつきし焔の形シクラメン 田川飛旅子
★シクラメン花のうれひを葉にわかち 久保田万太郎
★燃えるてふ白のあるなりシクラメン 芳野年茂恵
シクラメンは別名を「篝火花(かがりびばな)」という。明治になって渡来した花で、当時の人は焔の姿を連想したらしい。確かに長く持つ花である。
花の咲いている時期は長いにも拘わらず、燃え尽きる直前の明るさを思い出させる。それは直接焔の形、というのではなくどこか頼りない儚さを醸し出しているからである。細い茎がそんなイメージをもたらしてくれる。
温室栽培でクリスマスの時期に盛んに店頭に並ぶが、もともとは春の花。白や赤や赤紫などの色があるが、どれもが陽にかざすと透けて見えて別の花のようになる。それが私にとっての魅力のひとつである。先端の雌蕊の白も魅力である。