Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「バロック美術」 その5

2023年11月29日 21時42分36秒 | 読書

   

 「バロック美術 西洋文化の爛熟」(宮下規久朗、中公新書)の第4章「幻視と法悦 殉教と疫病」、第5章「権力 幻視絵画から総合芸術へ」を読み終わった。

天使や聖人の舞い飛ぶ天国ではなく、現世に存在し、広がっている異国の情景であった。それは奇蹟をリアルに感じるカトリック改革の時代、つまりヴィジョンの時代がすでに過ぎ去り、啓蒙主義や自然科学の時代が来ていたことを告げるものでもあった。・・・・幻視と法悦はバロック美術の特質であり、18世紀半ば以降は廃れていったが、今なお聖堂に入り、天井画を見上げると往時の宗教的熱情や迷信を追体験させてくれる」(第4章)

プロテスタントによる権威への挑戦や主権国家による政治的圧迫を受けた時代には、歴史や寓意を用いて教皇権の正当性を主張する装飾が流行したが、政治情勢が安定し、ネポティズムによって王朝の繁栄を謳歌する頃になると、聖俗と公私が混同され、家門の正当性と豊かさを象徴的・寓意的に誇示する装飾が生み出されるようになった。こうして世俗化していった教皇権のイメージは各国の絶対主義の世俗君主に採用された。・・・世俗化した教皇と象徴化した王権、つまり聖性の世俗化と世俗権力の神格化とは、少なくともイメージの上では近似したものであった。・・・・イメージと展示の政治的機能は、ローマにおけるカトリック改革期の教皇に端を発し、教会で発展して17世紀の末には各国の宮廷で完成した。」(第5章)

 まとめてきな感想は最後に記載したい。



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