Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

ブラームス「チェロソナタ」

2023年06月12日 20時04分41秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等

 モーツアルトの弦楽四重奏曲集ハイドンセットを聴くつもりであったが、ふとチェロの音をたっぷりと聴きたくなって、ブラームスの「チェロソナタ」を聴くことにした。ブラームスのチェロソナタは2曲。
 このチェロは堤剛、ピアノはウォルフガング・サヴァリッシュで1978年の録音。このCDもずいぶんと聴いた。1988年の発売なので私の一番忙しく慌ただしかった頃に買いためたCDの1枚である。退職したらユックリと聴こうと思って購入したものに含まれている。
 当時は昭和から平成に年号が替わる時の、ちょうど「歌舞音曲」が「自粛」という名で抑制されていた頃である。同時に労働組合の再編の余波を受けて、私の属する労働組合も党派的組織運営をはかる主流派と、それを阻止しようとする反主流・非主流派での組織戦争が厳しい時期であった。私もその渦中で非主流派に属してずいぶんと慌ただしかった。24時間、仕事と末端の組合役員、そして非主流派の活動家として、また家庭を省みない夫・父親として頭がパンクしていた。妻と子供にはずいぶんと迷惑をかけたと今更ながら反省している。
 1989年を境目にして、私の労働組合体験は大きな節目となった。通底しているのは、専従や政治家志向ではなく、職場活動家ということにこだわり続けたということに尽きる。ずいぶんひどい嫌がらせを主流派にされたが、私なりの労働組合像に沿って、活動できたと自負している。

 クラシック音楽が趣味の私には、この当時はCDを買い漁って聴いたつもりになることが唯一の息抜きの時期でもあった。そんな時にも、このブラームスのチェロソナタは深夜、わずか10分程度で一つの楽章だけでも聴ける貴重なものでもあった。静まった深夜に音を絞れるだけ絞ってしみじみと聴くことのできる曲でもある。
 堤剛のチェロの演奏は、定年後に横浜のみなとみらいホール(だったと思うが)で、バッハの無伴奏チェロ組曲全曲演奏会を聴く機会があり、とても感銘を受けた。バッハは違うが、ブラームスのこのCDがとても大切なもののように思われて大切にしている。
 もうひとつ言えることは、私はブラームスの器楽曲を聴かないと、落ち着かないようになってしまったことである。

 人それぞれに感銘を受ける曲というのがある。それは名演奏というものではない場合も多々ある。不思議に自分の体内リズムと合致したり、たった一つのフレーズが気に入ったりして自分にとって忘れられない曲というものもあるはずだ。また人生の節目にたまたま出会って忘れられなくなった曲もある。これらは人に説明してもわかってもらえるようなものではない。

 このCDはいろいろなことを思い出させてくれる1枚である。



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2 コメント

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来たね! (通りがかり人)
2023-06-13 15:45:11
「これらは人に説明してもわかってもらえるようなものではない。」…

 ほんとだ。氏の活動するうしろ姿を見ながら、どこかさめているのを感ずる。ともに話しながら、どこかほかのこと考えているふしがあるときもある。が、それもいいのだ。それでいいのだ。コロナより、良く立ち直った。蛍、楽しみだね。今夜は出そうだぜや。良いnightを
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通りがかり人様 (Fs)
2023-06-14 13:21:22
蛍はそれなりにたくさん舞っていました。
静かに見ることが出来ました。
そのあとのお楽しみ会も‥。
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