Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「コンスタブル展」の予習

2021年02月09日 14時03分01秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等

 本日のオンライン講座は「学んでから行く《コンスタブル展》 『ターナーとコンスタブル 二人の19世紀風景画』」。今月の20日から5月30日まで三菱一号館美術館で開催されることになっている。ともにイギリスの産業革命期の画家。
 私は同時代のターナー(1775-1851)にも、コンスタブル(1776-1837)にも惹かれる。風景を、言霊や信仰・迷信などと切り離し、視覚という感覚によって芸術として自立させた画家のように思う。
 フランスのバルビゾン派と同様に、近代という目をもって「美術」を確立しようとした画家なのではないか、というのが私の頭の中の整理である。風景だけでなく点景として描かれる人物も、風景の中でやはり、神話や信仰や地霊、迷信などとは切り離されて生き生きと描かれる。
 点景として描かれる人物を、ターナーは不鮮明に靄や霧の中に描いているが、「近代」を肯定的にそのまま受け入れるように描いている。コンスタブルも点景ながら鮮明な像として描き、「近代」に背を向けて黙々とたくましく、そして生き生きと描いている。
 これに対してフランスのバルビゾン派では、ミレーなどのように描いたのは貧しい農民の姿で、土地に縛られつつ「救い」を求めているように描かれている。バルビゾン派に描かれた農民は受け身である。
 風景画としての評価では、100年前のオランダのロイスダールが空の雲を丹念に描いたものを、コンスタブルは一歩先に進めたように思える。
 しかしイギリスの風景画家はこの激動の時代、産業革命と政治の動乱期、市民革命の時代にどう時代とかかわったのか、関わらざるを得なかったのか、私にはまだよくわからない。展覧会の解説資料を手に入れて見たいと切に願っている。
 ヨーロッパの西の当時は「後進国」のスペインでのゴヤのように、近代という時代と向き合った画家の表現がいまだに私の脳裏に重くのしかかっている。わずかにターナーがナポレオン戦争時のイギリス艦隊の艦船を描いたことが伝わるのみである。

 本日の講座では、コンスタブルに影響を与えた前時代の画家達、そしてターナーとコンスタブルの生きた時代の社会の状況、さらに二人の生涯を詳しく解説してもらった。
 あとは実際の展覧会を見ながら、画家が時代とどのようにかかわったか、苦闘したか、を自分の目を確認してみたい。



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