ほぼ10日ぶりに「方丈記私記」(堀田善衛)を再開。本日は第9章「夫れ、三界は只心ひとつなり」を読み終えた。
「(鴨長明は)どうにもトゲがのこる、いつまでたっても、出家をしても、世を捨てても、六十になってもトゲののこる人であった」
この文章、堀田善衛の鴨長明の人間性に言及しているのだが、堀田善衛自身の自己評価のような気がする。
この書の冒頭に堀田善衛は「観賞でも、解釈、でもない。それは、私の、経験なのだ」という文章でこの「方丈記私記」ははじまった。しかし次第に鴨長明論になってきた。そして確かに辛辣でトゲのある鴨長明論である。
これより最終の第10章「阿弥陀仏、両三遍申してやみぬ」となる。どう「私の、経験」へと戻っていくのか、見もの、楽しみである。