メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

1989 US OPEN

2004-01-06 17:20:16 | テニス
彼らの季節が終わった。
そして、選手とファンには長い夜がめぐってこようとする。

ある者は歓喜を、ある者は苦悩を、それぞれのバッグに詰めて、ゆっくりと別の土地へ歩いてゆく。
彼らの華やかな舞台は今日ここで終わった。
彼らの夏もまた、こうして終わってゆくんだ。


  

マッケンローが去り、ビランデルも、エドベリも去り、コナーズも、アガシも消えて、
今日、NYで午後4時頃から始まったベッカー×レンドル戦
年間20億円ほども稼ぐ彼らが、賞金をよそに、獣のような眼で1つのボールを追って、ライン内を駆け回る決勝戦。


 

 

女子は、エバートが去り、セレシュも、サンチェスも、そしてサバティーニが去り、ガリソンが静かに消えていった。
「次はチャレンジャーとして立つんだ」と自分に言い聞かせて上がったあの華々しいセンターコートで、
ナブラチロワ×スティフィ・グラフの同格の戦い。


1989 US OPENは、スティフィ・グラフ、ボリス・ベッカー、またこの2人がチャンピオンの座をさらっていった。

こうなることを私たちはどんなに恐れただろう。
新聞の連中は、ウィンブルドンに続き、また幼なじみ同士がともに優勝とでも得意気に書くだろうし、
スポーツニュースキャスターらは、あれほどショック、喜び、緊迫、苦悩に満ちたゲームを
ただ「白熱した試合でした」とひと言のねぎらいで形容してしまうだろう。


運という天秤から不意に落とされた数々の屈強なプレイヤーたち。
また、私たちも、長い夜の中で、苦しみもがいて、日々のわずかな筋を求めて迷わなければならない。

勝利の女神は誰にでも微笑むわけではない。
トップに上り詰める人間はただ一人。

いつも私は思う。
これほど、耐え難く、息も詰まるような、緊張と、苦悩に感覚を揺さぶられるのは、テニストーナメントでしかない。

同い年の選手が、異国で、大勢のアウェイの眼にさらされて、
固いコートの上で、1対1の対決を何時間も強いられる。
そして、また抱えきれないほどの苦悩や悔いを1つのバッグに詰めなければならない。



テニスファンを馬鹿にしたようなこの記事の小ささ!
とても全米の優勝者を載せたとは思えない。
それほど、日本では野球が中心を占めているんだ。


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(なんだか敗北者に想い入れたっぷりだね


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