メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『モード家の一夜~MA NUIT CHEZ MAUD』

2007-10-08 22:45:04 | 映画
『モード家の一夜~MA NUIT CHEZ MAUD』(1968)フランス
監督・脚本:エリック・ロメール
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、フランソワーズ・ファビアン、マリー=クリスティーヌ・バロー、アントワーヌ・ヴィテーズ ほか

たまに近所のビデオ屋もチェックしてみると、こんなお宝秘蔵版を見つけるからあなどれない。
こんな近場にまだトランティニャン作品と出逢えるなんて!
『エリック・ロメール監督が手掛けた連作「六つの教訓物語」の第3話』らしい。
こう言われるとシリーズのほかの作品も網羅したくなるw

主人公は34歳独身て設定だけれども、当時トランティニャンは38歳。
冒頭の何気ない生活ぶりのシーンなんてほんと平凡なひとコマだけどそれすら一挙手一投足カッコよくてうっとり。。
熱心に教会に通うカソリック信者だけれども、その信仰のありかたと実際の
現実生活との差のことを久しぶりに会った友人と話し合う前半は、とっても観念的で
宗教の土台の薄い日本人にはちょっと難しすぎる。
(やたらとパスカルの思想について語ってるのも難しい

友人が密かに想いを寄せる女友だち(バツイチ)と3人で夜中に打ち解けた話をして、
雪が降ってきたのを理由に「泊まっていきなさいよ」て誘うあたり、真似できない高度なゲームだなあ。
会ったばかりでここまでぶっちゃけて、くだけた態度で深くて率直な話をしながらも、
ちゃんと女性的な柔軟さも示しつつって。
こんな危うい異性の友だちは、自分にはあり得ない。異性は好きになるか、まったくの他人か、
どうしてもall or nothing な考え方になってしまうから。

主人公もこれまでたくさん親しい女友だちはいたけれども、宿命みたいなものも信じていて
遊びと誠実さとが絶妙に混在してて、かつミステリアス、ストイックでクールなのに情熱的でストレート。
ミサで一目見て運命を感じた金髪の若いコに即効真剣な想いを向けるんだけれども、
そのコにもいろんな事情があって、、、そんな微妙な男女間のやりとりの機微の表現も
見事な脚本と演出にうならざるを得ない。

うぅーん。。味わい深すぎて、感想も収拾つかなくなってる。
何度か観ればもうちょっと理解できるかもしれないけど、味わう時間の余裕がないし
わたしにはまだまだハイレベルな世界なのかも。こんな柔らかい感情のやりとりは。

コメント

『欲望~Blow-Up』

2007-10-08 18:31:43 | 映画
『欲望~Blow-Up』(1966)イギリス/イタリア
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
出演:デビッド・ヘミングス、バネッサ・レッドグレーブ、サラ・マイルズ ほか

「愛の不毛」を描いたアントニオーニ監督の代表作というのが今作。
いかにも'60年代の香りが漂うモードの世界を舞台にしながら、事件ともなんともいいきれない
ストーリーを完結させることもなく、突然終わりを迎える感じ、うん、掴めてきたかも。

全編英語のセリフでロンドンが舞台。キャストも味わい深い。
ただ、ジェーン・バーキンはどこにいるかわからなかったけど、もしかしてやたらと
黄色い声で騒いでいたファンのコかな?驚

story
売れっ子フォトグラファーのトーマスは、モデルをぞんざいに扱いながらもアートな作品を
撮りつづけ、街に出れば世相を反映した影の部分を撮ったモノクロ写真を売ったりしている。
骨董品屋で何に使うかわからないプロペラを買ったりして、フラっと立ち寄った公園で
仲の良さげなカップルを隠し撮りしていると、その女性が血相を変えて、「マズいことになるから
ネガを返してほしい」という。彼女は家にまで押しかけるが、トーマスは連絡先を聞いて、
別のネガを渡して帰す。
気になって撮ったネガを現像して引き伸ばしてみると、カップルを狙う銃を持った男の影が
緑地に映っていて、その後の写真には死体らしき姿も。
公園に引き返してみると、やはり女性と一緒にいた男の死体が転がっていたのだが。。

すっかり周りの出来事に無頓着になってしまっているかのような投げやりな主人公。
奥さんが同居している画家と寝ていても、とくにショックですらない様子。
何も売るつもりのないそっけない骨董屋のおやじさんがいい味だしてる。
パントマイムの集団?なのか、メイクアップをしてジープを乗り回し、エアテニスを見せたりしてるシーンも面白い。

音楽がハービー・ハンコック。ライブハウスで演奏しているバンドの映像は、ヤードバーズ。
ジェフ・ベックとジミー・ペイジのツインギターの頃というお宝映像らしい。
DVDにはなぜか「only music」てコーナーもあって、映像が流れてるけどセリフなしの
まさに音楽だけ。セリフのない場面も多いから、これって必要なのかなw
いや、こうゆう一見ムダな感じもまた'60年代の香りか。

コメント