メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『ロバと女王』

2008-05-11 22:34:54 | 映画
『ロバと女王』(1970)~Peau D Ane フランス
原作:シャルル・ペロー 監督:ジャック・ドゥミ 音楽:ミシェル・ルグラン
出演カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン・マレー、ジャック・ペラン ほか

ファンタジーと音楽が合体したメルヘン・ミュージカル(こんなジャンルがあるのか?
同じ童話でも一筋縄じゃいかないのがフランス映画。原作は読んだことがないけれど、
女王が亡くなる前の遺言が「わたしより美しい女性と再婚して、世継ぎを」っていわれて、
探し回った挙句、王様は、王女つまり自分の娘と結婚することに決めたって、
いくら童話でも冗談キツイよ。これも『本当は怖い世界の童話』のひとつですかい?

妖精の助言で空色のドレス、月色のドレス、太陽色のドレス、と難問をつきつけても
ちゃんと用意してくれる父に「これほど愛してくださるのだから期待に応えたくなってくるわ」
って、イヤイヤそうじゃなくて
最後の条件に「宝を産むロバの皮」を望むのもなんだか急にグロテスク。
しかも、その皮をかぶって下女に扮し、村の外れの森に住み、ひっそり暮らすのかと思いきや、
他国の王子さまがやって来たらモーレツアタック。ケーキを焼いて、中に指輪を忍ばせる周到さ。
そして、その指輪にピッタリ合う細い指の持ち主と結婚するという御触れに国中の女性が集まる。
童話のプリンセスものって、話がワンパターンだよね。

特筆すべきは王女の国のと王子の国のに統一された豪華な衣装とその他もろもろのセット(馬まで塗ってしまうのはどうかと
そのドレスに負けないカンペキな美貌のドヌーヴもまたスゴイ。
が、相手役の王子さまがなんとも地味な感じの俳優なのが残念。
目をギラつかせて娘に真顔で愛を語る父役のジャン・マレーがコワイが、その王様が
座っていた巨大にゃんこの椅子?がとってもラブリー



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『屋根の上のバイオリン弾き』

2008-05-11 19:17:03 | 映画
『屋根の上のバイオリン弾き』~Fiddler on the Roof(1971)アメリカ、MGM
監督:ノーマン・ジュイソン
出演:トポル、ノーマ・クレイン、ロザリンド・ハリス、ミシェル・マーシュ、ニーバ・スモール、エレイン・エドワーズ、キャンディス・ボンスタイン、モリー・ピコン ほか

国内でも随分前からロングラン公演を続けてるこの有名なタイトルだけれども今回初見。
ミュージカルらしいミュージカル映画。題通りバイオリン奏者の話かと思ってたら全然違ったw

trailer

story
舞台は1905年、ロシアのアナテフカというユダヤ人の住む村。
馬車で牛乳を運ぶテビエには5人の可愛い娘がいて、上の3人はお年頃。物語りみたいな結婚を夢見ている。
しかし、「伝統=Tradition」により、村の仲人役のお婆さん(=Matchmaker)が長女に持ってきた縁談は、テビエより年をとってる白ヒゲで太った肉屋の主人。数年前に奥さんを亡くしている。
裕福で人のいい彼ならきっと長女は飢えずに幸せになるだろうと縁組を決めるが、
長女は仕立て屋と結婚したいという。理由は愛し合ってるから。

こんなシンプルで当たり前の理由が、昔は通らなかったんだよね。
女子は家の繁栄のために父親が決めた相手と結婚させられて、子供を産む道具みたいに扱われていた時代。
それでもテビエははたと考え、「娘のこの笑顔のためなら・・・」と伝統を破る決意をする。
続く次女は革命を夢見る学生運動家と、三女は異宗教の相手と次々結婚。
「前例がない!」と怒りつつも、結局は娘の真の幸せのために祝福して送り出す父親の姿がイイ。
片田舎では結婚式が祭りであり、一大イベント!
♪Tradition の迫力あるはじまりから、♪もしもお金持ちだったら~と踊り歌う曲も楽しい。

しかしその後、ユダヤ民族を追い出す政府の命令で、村人はわずか3日の間に荷物をまとめて
長年暮らしてきた故郷を離れざるを得なくなるとゆうなんとも悲しく寂しい終わり方。
考え方の違いで、愛し合うことも、一緒に暮らすことも出来ず、住む家まで追われるなんて
シンプルに考えてみたらバカバカしいことなのに、昔も今も同じ問題は変わらない。

頼りがいがあって、人情深く、村人から好かれるテビエ役のトポル(名前もフシギ)の存在感がすごい。
25年も夫婦をやってて、「(いまさら聞くけど)愛してるかい?」てやりとりにじぃーんとくる。


陽は昇り、陽は沈む

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