1968年初版 猪熊葉子/訳 赤坂三好/画
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
魔女のプライスさんと子ども3人の物語の続編
前作を読んでいないから、マンガの2巻から読んでいるような置いてけぼり感
前作を読んでいたら、思い入れたっぷりに書かれている冒頭も楽しめたはず
それでも、過去にタイムトリップする物語は
ファンタジーというより、もっとリアルで
私の大好きな眉村卓さんのSFみたい
【内容抜粋メモ】
登場人物
ケアリイ、チャールズ、ポール ウィルソン家の子どもたち
エグランタイン・プライス 魔女
エメリウス・ジョーンズ チャールズ2世の時代の魔法使い
●はじめに
ある小さな田舎の村に、ロンドンから3人きょうだいが夏休みを過ごしにやって来る
フシギな縁で3年後、ふたたび3人は村に住む魔女のプライスさんの家で過ごすことになる
●なくしもの見つかる
前作から2年経ち、ビアトリスおばさんは亡くなり
マッチ・フレンシャムの家は売られてしまった
ケアリイは新聞の広告欄にE・プライスさんの記事を見つける
「夏休みに子ども2人預かりたし」
母はいつも仕事で忙しく、夏休みは子どもたちだけでコーンウォールで楽しむ予定だったが
またプライスさんの家にあるベッドで冒険がしたくなる
ベッドのにぎりノブを使えるのは、まだ幼いポールだけ
ウィルソン夫人はプライスさんと会って立派な婦人だと思い預けることに決まる
●そして、またなくなった
駅に着くと、牛乳屋のビッセルスウェイトさんが荷車に乗せてくれる
ビアトリスおばさんの家は水道局が買って、家具は売りに出された
プライスさんは子供たちを部屋に案内する
台所の流しをつけかえるための費用に子どもを預かることにしたと話す
ケアリイは仕事場を見たいと頼む
ポール:僕、剥製のワニが見たい
そこにあるのは野菜や瓶詰果物で、もう魔法は止めてしまい、本も焼いたと話す
子どもたちはコーンウォールに行かなかったことを後悔しはじめる
プライスさんの寝室ににぎりノブがついていないベッドを見つける
●やりかけたらおわりまでやるべきである
1週間後、プライスさんはポールだけ連れて
ベッドで試しに出かけたことがバレる
ケアリイ:
プライスさんがベッドのにぎりノブに呪文をかけた時
反対に回すと過去に行けると言ったのだから
1度は連れてってくれるべきじゃない?
もう1回だけでいいんです
●過去の国へ
チャールズ2世の時代のロンドン
1人の魔法使いがクリップルゲイトの小さな家に住んでいた
エメリウス・ジョーンズは、ある魔法使いの所に年季奉公に住みこんで習っていた
歳とった先生が死にかけた時、助手のエメリウスに打ち明ける
魔法使い:
魔法なんてものはないのだ
金儲けのためにやっていた
お前の父は気前よく金を出してくれた
わしの商売はお前が継ぐがいい
当時の魔女や魔法使いは絞首台にかけられるのが習わしだった
エメリウスは35歳で、新規蒔き直すには遅すぎた
道に迷った子どもたちが来て
ここがクリップルゲイトで、今は1666年8月27日だと聞く
ケアリイ:あと1週間のうちにロンドン大火が起きるじゃない 私たちは未来から来たんです
エメリウスは子どもたちに身の上話をはじめる
故郷のペパリング・アイは、子どもたちの家のすぐそば
今度は子どもたちが事情を話すと、エメリウスは魔法のベッドを見たいと頼む
●へんなお客さま
心配しているプライスさんの前にケアリイが現れて、ホッとしたのもつかの間
エメリウスを客として連れてきたと明かす
一緒に食事をすると、がつがつ食べて、プライスさんをしきりに敬う
ティンカー・ヒルにおばが住んでいたことも話す
プライスさんは、エメリウスが本職の魔法使いと知って驚く
エメリウスは、プライスさんが魔法をお金のために使ったことがないと言うのを聞いて驚く
プライスさん:私はただの素人で、初心者です ベッドも本で習った魔法で易しいのですよ
エメリウスの深い植物の知識に驚き、2人は魔法の話で盛り上がるが
周りの目が気になるため、まずお風呂に入れて
長い髪を切り、亡き父のスーツを着てもらう
ペパリング・アイへみんなでピクニックに行くが、父の家は見つからない
おばさんは、子どもたちがエメリウスを訪ねた日に亡くなったのが墓石で分かる
家の跡はすっかりなく、エメリウスはショックを受ける
エメリウス:私以外に相続する者はいないのに
帰り道、自動車を見て恐れおののくエメリウス
●魔法はほどほどに
プライスさんは「内的物質起動術」についてエメリウスと議論するが噛み合わない
着物を動かす呪文らしい
エメリウスは次第に20世紀の生活に慣れるが
ロンドン大火で家が焼けてしまうのが心配になる
プライスさんもペパリング・アイのおばの家に行くといいとすすめる
プライスさん:もうこの世にいない人に親しみを感じることは自然なことではない
●心がわり
みんなでエメリウスを17世紀に送り届けて
プライスさんはベッドのにぎりを隠してしまった
プライスさん:
ちゃんと家まで送り届けるべきだったかしら
大火の後は暴動が起きたというし
みんなで家の窓から覗いて、無事を確かめることにする
●ふたたび過去の国へ
エメリウスは魔法で大火を起こしたと罪を着せられて牢屋に入れられている
馬の池に落とされ、溺れて死ねば人間で、死ななければ魔法使いとして火あぶりの刑となる
普通なら縛り首のはずが、大火で興奮している人々の暴走は止められなかった
プライスさんは窓から覗いて元気づけ
ベッドを隠してから助ける作戦を考えると言って去る
●魔女だあ!
使われていない牛舎にベッドを隠して、待っていた子どもたちは
プライスさんが心配になって、広場に行くと
火あぶりを見に来た野次馬でごった返している
火あぶり用の柱には、縛られたエメリウスがぐったりしている
たいまつを持った男は薪に火をつける
そこに黒いマントを着たプライスさんがほうきに乗ってやって来て
人々は押し合いながら逃げる
兵隊は魔女に向かって発砲し、魔女は父の剣でエメリウスの縄を切ろうとしている
ふらふらと落ちた所をみんなが駆け付けて
チャールズは剣で縄を切って、ベッドへ戻ると、プライスさんがいる
ほうきで飛んでいたのは「内的物質起動術」だった
●プライスさんのひっこし
夏休み最後の日、プライスさんは家を売って、お金は全部赤十字に寄付すると言う
プライスさん:
ジョーンズさんは、私に一緒にいてくれと言って、私はお受けしたの
向こうには家もあるし、資産もある
2人とも孤独な人間だから、一緒に暮らしたほうがいいんです
子どもたちの帰りの汽車の切符などのことを一切話して
あっという間にベッドに乗って、プライスさんとエメリウスは消えてしまった
ケアリイはティンカーヒルに行ってみようと提案
壊れた家の塀の上にあがると
ケアリイ:あの人たちが見えるわ
ジョーンズさんは“私のほんとうに愛する人”と言って、頬にキスをした
プライスさんの声が聞こえたわ
“すぐにそのレタス畑から出なさい”って言ったのよ
■解説
メアリー・ノートン
医者の娘として、イギリスに生まれた
舞台に立っていた経験もあるが、結婚してポルトガルに移り小説を書いた
1940年アメリカに渡り、戦争の終わった1945年
『魔法のベッド南の島へ』を出版
2年後に本作を出版
ノートンは都合の悪いことや難しいことを魔法の杖のひとふりで片付けようとはしない
緻密な空想力で細部まで破綻がない
現実世界に非現実を持ち込むファンタジーを開拓したのはE・ネズビット
ノートンはさらに深め、後継者として成功した
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
魔女のプライスさんと子ども3人の物語の続編
前作を読んでいないから、マンガの2巻から読んでいるような置いてけぼり感
前作を読んでいたら、思い入れたっぷりに書かれている冒頭も楽しめたはず
それでも、過去にタイムトリップする物語は
ファンタジーというより、もっとリアルで
私の大好きな眉村卓さんのSFみたい
【内容抜粋メモ】
登場人物
ケアリイ、チャールズ、ポール ウィルソン家の子どもたち
エグランタイン・プライス 魔女
エメリウス・ジョーンズ チャールズ2世の時代の魔法使い
●はじめに
ある小さな田舎の村に、ロンドンから3人きょうだいが夏休みを過ごしにやって来る
フシギな縁で3年後、ふたたび3人は村に住む魔女のプライスさんの家で過ごすことになる
●なくしもの見つかる
前作から2年経ち、ビアトリスおばさんは亡くなり
マッチ・フレンシャムの家は売られてしまった
ケアリイは新聞の広告欄にE・プライスさんの記事を見つける
「夏休みに子ども2人預かりたし」
母はいつも仕事で忙しく、夏休みは子どもたちだけでコーンウォールで楽しむ予定だったが
またプライスさんの家にあるベッドで冒険がしたくなる
ベッドのにぎりノブを使えるのは、まだ幼いポールだけ
ウィルソン夫人はプライスさんと会って立派な婦人だと思い預けることに決まる
●そして、またなくなった
駅に着くと、牛乳屋のビッセルスウェイトさんが荷車に乗せてくれる
ビアトリスおばさんの家は水道局が買って、家具は売りに出された
プライスさんは子供たちを部屋に案内する
台所の流しをつけかえるための費用に子どもを預かることにしたと話す
ケアリイは仕事場を見たいと頼む
ポール:僕、剥製のワニが見たい
そこにあるのは野菜や瓶詰果物で、もう魔法は止めてしまい、本も焼いたと話す
子どもたちはコーンウォールに行かなかったことを後悔しはじめる
プライスさんの寝室ににぎりノブがついていないベッドを見つける
●やりかけたらおわりまでやるべきである
1週間後、プライスさんはポールだけ連れて
ベッドで試しに出かけたことがバレる
ケアリイ:
プライスさんがベッドのにぎりノブに呪文をかけた時
反対に回すと過去に行けると言ったのだから
1度は連れてってくれるべきじゃない?
もう1回だけでいいんです
●過去の国へ
チャールズ2世の時代のロンドン
1人の魔法使いがクリップルゲイトの小さな家に住んでいた
エメリウス・ジョーンズは、ある魔法使いの所に年季奉公に住みこんで習っていた
歳とった先生が死にかけた時、助手のエメリウスに打ち明ける
魔法使い:
魔法なんてものはないのだ
金儲けのためにやっていた
お前の父は気前よく金を出してくれた
わしの商売はお前が継ぐがいい
当時の魔女や魔法使いは絞首台にかけられるのが習わしだった
エメリウスは35歳で、新規蒔き直すには遅すぎた
道に迷った子どもたちが来て
ここがクリップルゲイトで、今は1666年8月27日だと聞く
ケアリイ:あと1週間のうちにロンドン大火が起きるじゃない 私たちは未来から来たんです
エメリウスは子どもたちに身の上話をはじめる
故郷のペパリング・アイは、子どもたちの家のすぐそば
今度は子どもたちが事情を話すと、エメリウスは魔法のベッドを見たいと頼む
●へんなお客さま
心配しているプライスさんの前にケアリイが現れて、ホッとしたのもつかの間
エメリウスを客として連れてきたと明かす
一緒に食事をすると、がつがつ食べて、プライスさんをしきりに敬う
ティンカー・ヒルにおばが住んでいたことも話す
プライスさんは、エメリウスが本職の魔法使いと知って驚く
エメリウスは、プライスさんが魔法をお金のために使ったことがないと言うのを聞いて驚く
プライスさん:私はただの素人で、初心者です ベッドも本で習った魔法で易しいのですよ
エメリウスの深い植物の知識に驚き、2人は魔法の話で盛り上がるが
周りの目が気になるため、まずお風呂に入れて
長い髪を切り、亡き父のスーツを着てもらう
ペパリング・アイへみんなでピクニックに行くが、父の家は見つからない
おばさんは、子どもたちがエメリウスを訪ねた日に亡くなったのが墓石で分かる
家の跡はすっかりなく、エメリウスはショックを受ける
エメリウス:私以外に相続する者はいないのに
帰り道、自動車を見て恐れおののくエメリウス
●魔法はほどほどに
プライスさんは「内的物質起動術」についてエメリウスと議論するが噛み合わない
着物を動かす呪文らしい
エメリウスは次第に20世紀の生活に慣れるが
ロンドン大火で家が焼けてしまうのが心配になる
プライスさんもペパリング・アイのおばの家に行くといいとすすめる
プライスさん:もうこの世にいない人に親しみを感じることは自然なことではない
●心がわり
みんなでエメリウスを17世紀に送り届けて
プライスさんはベッドのにぎりを隠してしまった
プライスさん:
ちゃんと家まで送り届けるべきだったかしら
大火の後は暴動が起きたというし
みんなで家の窓から覗いて、無事を確かめることにする
●ふたたび過去の国へ
エメリウスは魔法で大火を起こしたと罪を着せられて牢屋に入れられている
馬の池に落とされ、溺れて死ねば人間で、死ななければ魔法使いとして火あぶりの刑となる
普通なら縛り首のはずが、大火で興奮している人々の暴走は止められなかった
プライスさんは窓から覗いて元気づけ
ベッドを隠してから助ける作戦を考えると言って去る
●魔女だあ!
使われていない牛舎にベッドを隠して、待っていた子どもたちは
プライスさんが心配になって、広場に行くと
火あぶりを見に来た野次馬でごった返している
火あぶり用の柱には、縛られたエメリウスがぐったりしている
たいまつを持った男は薪に火をつける
そこに黒いマントを着たプライスさんがほうきに乗ってやって来て
人々は押し合いながら逃げる
兵隊は魔女に向かって発砲し、魔女は父の剣でエメリウスの縄を切ろうとしている
ふらふらと落ちた所をみんなが駆け付けて
チャールズは剣で縄を切って、ベッドへ戻ると、プライスさんがいる
ほうきで飛んでいたのは「内的物質起動術」だった
●プライスさんのひっこし
夏休み最後の日、プライスさんは家を売って、お金は全部赤十字に寄付すると言う
プライスさん:
ジョーンズさんは、私に一緒にいてくれと言って、私はお受けしたの
向こうには家もあるし、資産もある
2人とも孤独な人間だから、一緒に暮らしたほうがいいんです
子どもたちの帰りの汽車の切符などのことを一切話して
あっという間にベッドに乗って、プライスさんとエメリウスは消えてしまった
ケアリイはティンカーヒルに行ってみようと提案
壊れた家の塀の上にあがると
ケアリイ:あの人たちが見えるわ
ジョーンズさんは“私のほんとうに愛する人”と言って、頬にキスをした
プライスさんの声が聞こえたわ
“すぐにそのレタス畑から出なさい”って言ったのよ
■解説
メアリー・ノートン
医者の娘として、イギリスに生まれた
舞台に立っていた経験もあるが、結婚してポルトガルに移り小説を書いた
1940年アメリカに渡り、戦争の終わった1945年
『魔法のベッド南の島へ』を出版
2年後に本作を出版
ノートンは都合の悪いことや難しいことを魔法の杖のひとふりで片付けようとはしない
緻密な空想力で細部まで破綻がない
現実世界に非現実を持ち込むファンタジーを開拓したのはE・ネズビット
ノートンはさらに深め、後継者として成功した