2015年初版 山脇百合子/訳
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
アダムとイヴの話から始まり、女性がとんでもない悪者に描かれているのは
本編に通じる諷刺と捉えていいんだろうか?
肉食動物が他の動物を食べて生きるのは仕方のないことだけど
それを差し引いても、キツネの態度はひどくて
笑いを誘って書いてるとしても笑えない
それでも信心深い態度をとろうするのは
信仰をも胡散臭いものだと揶揄してるのか
キツネの悪戯の短編が連なり、所々似たような顛末も見られて戸惑った
冒頭に本文と挿絵が合わないと注意書きがあり
どれが該当するのか分からなかった
最後の解説を読んで納得
それぞれ書かれた時代、作者が違って、やはり諷刺として書いているそう
解説だけで、数十ページあったのもビックリ/驚
【内容抜粋メモ】
●そもそもの始まり
アダムとエヴァは楽園から追い出される
同情した神さまは、棒で海を叩けば役に立つ動物が出て来ると教え
エヴァには叩かせないようにと注意する
アダムが叩くとヒツジが出て、エヴァが叩くとオオカミが出て、ヒツジを追う
アダムがまた叩くと犬が出て、オオカミを追い、ヒツジを解放する
エヴァはアダムに隠れて海で叩くとキツネが出た
その後、この世に生まれたキツネはみなこのキツネの子孫
中でもルナールと呼ばれたキツネが有名
●狼のイザングラン
イザングランは指折りの領主でルナールと親友で甥のように可愛がった
空腹のルナールはイザングランの家でごちそうになりながら
屋根から下がったハムを夜中に盗む
●雄鶏ノワレ
大変な物持ちのお百姓ベルトゥーの家と庭は柵で囲ってある
穴から侵入したルナールを見つけ、網を投げると、ルナールはかかとに咬みつき
助けて欲しくば雄鶏ノワレを差し出せと言う
ノワレをくわえて帰る途中、歌ってほしいと頼まれて
口がゆるんだすきに逃げられる
●雄鶏シャントクレール
有名なお大臣の雄鶏シャントクレールに歌ってくれと頼むルナール
すきを見てくわえて持ちかえろうとして、またもや逃してしまう
●魚をだまし取る
魚商人の荷馬車の前に死んだふりをして倒れているルナール
毛皮を売ったら4スーにはなると計算して馬車に積む
ルナールは籠の魚を全部たいらげて逃げる
●イザングランの弟プリモー
魚の荷馬車にたくさんのウナギがあると教える
魚商人はオオカミが本当に死んでるかどうか確かめるためにしこたま棒で叩き
堪えられなくなったプリモーは空腹のまま森に逃げる
●プリモーの死
ルナールはプリモーにガチョウの群れがいると教える
プリモーが1羽持ちかえろうとした時、番人が犬をけしかける
プリモーが怒ると
ルナール:
宮廷に訴えて、王さまの裁きをお願いしますよ
もし私を殺したら息子たちが仇を討ちます
2人は仲直りするが、誓いをたてる際、罠にかかりプリモーは死んでしまう
●井戸
ルナールは井戸を覗き、そこに映る自分の姿を妻のエルムリーヌだと思い
桶に入ると、底に着き、上がれなくなる
イザングランが通りかかり、井戸にルナールと妻エルサンがいると思いこむ
ルナールはここは天国で、桶に入れば来れると教える
イザングランが桶に入ると、ルナールは井戸から出る
ルナール:ひとり来たらっば、もひとりは行く これが習わし
修道士らが井戸の中のオオカミを見つけて悪魔と思い棒で叩く
●山猫のティベール
司祭:なんて見事な毛皮! あったかい縁なし帽が作れるぞ
ティベールは司祭の顔をひっかき馬から落としたため悪魔と思われる
(なんでも悪魔扱いされるんだな
●ライオンのノーブル王
王は平和のため、イザングランとルナールの和解を求める
ノーブル:
ルナールをよく知る余が保証する
ルナールはそなたにウソをつこうなどけしてしはせぬ(全然知らないんだな
イザングランに雄牛を分配させると
ルナールにやる肉はないと言ったため殴って血だらけにする
ルナールはノーブルと妻子に分配したため褒める
ルナールはイザングランが師匠だと立てる
ノーブル:そなたより抜け目のない者はいない
“よい狩りを”て言い方、『ジャングルブック』と同じだ/驚
●イザングラン、ルナールを告訴する
熊のブラン:私が復讐するのをお許しください
ノーブル:双方の言い分を聞かずに裁く者は賢明か?
イザングラン:ならば自分で復讐します!
ノーブル:和平を乱す者に禍あれ!
●シャントクレール、ルナールを告訴
パント:私には5人の兄弟がおりましたが、ルナールが食べました
ノーブル王:ブラン、ルナールを余のもとへ連れてきてもらいたい
ルナールはブランに蜂蜜のありかを教え、樹の間に頭を挟む
ノーブル:おまえの仇を討ってやる
ルナール:オレは生きなくちゃならない限り生きるまでだ
穴熊グランベールは同情して、ルナールに告解させる
ルナール:私は後悔しております
ルナールは絞首刑を言い渡されるが、刑を逃れて十字架を身につける
ノーブル:何があろうとも、そなたの“ルナールぶり”は変わるまい!
十字架を投げ捨てて逃げだし、樫の木にのぼるルナール
●ルナールの城 マルペルチュイ
ルナール:7年分の食糧がある
半年間、攻囲戦が続き、ある夜眠った兵の足やしっぽを木に縛る
再び王に捕まったルナール
エルムリーヌはルナールの身代金を持ってきて許しを請う
ノーブル:やつを赦す しかし次の悪事で有罪となったら、ただちに縛り首だ(甘いな
●ルナールとイザングランの決闘
聖遺物箱にかけて誓い、取っ組み合い
ルナールはイギリス人の得意技であおむけに倒す(柔道?
結局、イザングランがルナールを絞め上げ、ノーブルは吊るすよう命令
修道士ベルナール:私にルナールをお渡しください
修道院でもイタズラが過ぎて追い出され、せいせいするルナール
●染物屋ルナール
染料を浴びて、黄色くなったルナールに気づかないイザングラン
ルナールはガロパンと偽名を使い、片言を話す
●巡礼ルナール、ローマをめざす
染料が落ちて、生き方を改めようと決める
司祭:ローマに行って、教皇さまに告解しなきゃならないな
●ルナール、聴罪司祭の鳶に手を出す
告解を聞いて欲しいと言って、鳶を食べようとする
鳶のカワイイ子どもたちも食べたことが分かる
子どもがけいれんすると相談したスズメに助言して
子どもたちを飲み込み、もうけいれんしないと答えるルナール
スズメ:すべてが私の過ちのせいだ
ルナールに復讐しようと仲間を集めようにも、みな関わり合いたくなくて断る
空腹で死にかけた犬ドルーアンは、食べ物をもらったお礼に復讐に協力し
ルナールの背中の皮を剥く
●ルナール、再び王の信任を得る
ノーブルを罠にかけ、救ったお礼に宮廷に招かれる
イザングランとチェスをして負け、釘で打たれて死んだと思われ、王妃は号泣
熊のブランが穴を掘り、埋められる寸前で森に逃げる
ルナール:貴族はけして裁判なしに刑に処せられることはありません
ノーブル:闘いを赦そう 負けた者は死罪だ
シャントクレールと決闘し、マルペルチュイまで逃げるルナール
王は四日熱で死にかける
グランベールは王を救えば宮廷に戻れると助言
ルナールは薬草を集めて、王を救う代わりにイザングランの毛皮を要求
イザングランは皮なしで逃亡
すっかり回復した王はルナールを友にする
●皇帝ルナール
王は異教徒討伐に出発し、ルナールに城を守るよう言いつける
シャントクレールらが討ち死にし、ノーブル軍はやっと勝利する
その間、ルナールは王は戦死したとウソをついて王妃と結婚し、王座を奪う
怒った王軍と戦闘し、ルナールの息子を捕虜としていたため交換し、王座を取り戻す
ルナール:王さまの熱病を治した働きに免じてお許しください
ノーブルは同情し、和平が成立 2人は友情で結ばれる
●ルナールの死
ルナールはマルペルチュイで余生を過ごし
寂しがる王は鳶のユベールに連れ戻すよう命じる
ルナール:私は死んで葬られたと伝えて欲しい
ユベールがルナールの死を伝えると
王:ルナールをこの世につなぎとめるためなら、王国の半分をくれてやってもよかった!
■解説
本書は独立した挿話の集まりで、それぞれ異なる時期・作者で作られている動物叙事詩
作者は同時代の文学作品の模倣、敷き写し、借用、茶化しを行っている
作品を書くための知識、教養を持つ社会階層は聖職者以外にはない
現実社会の事件への皮肉、風刺を取り入れた
ルナールの語源は「知恵と力」を意味する古いゲルマン語
生まれながらのペテン師、悪徳の権化として描かれる
獣、擬人化の両方が自然に混ざり合っている
“女房や女の言うことを聞く者は愚か”
“女がもたらすのは平和より諍い”
これはもはや蔑視より全否定に近い
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
アダムとイヴの話から始まり、女性がとんでもない悪者に描かれているのは
本編に通じる諷刺と捉えていいんだろうか?
肉食動物が他の動物を食べて生きるのは仕方のないことだけど
それを差し引いても、キツネの態度はひどくて
笑いを誘って書いてるとしても笑えない
それでも信心深い態度をとろうするのは
信仰をも胡散臭いものだと揶揄してるのか
キツネの悪戯の短編が連なり、所々似たような顛末も見られて戸惑った
冒頭に本文と挿絵が合わないと注意書きがあり
どれが該当するのか分からなかった
最後の解説を読んで納得
それぞれ書かれた時代、作者が違って、やはり諷刺として書いているそう
解説だけで、数十ページあったのもビックリ/驚
【内容抜粋メモ】
●そもそもの始まり
アダムとエヴァは楽園から追い出される
同情した神さまは、棒で海を叩けば役に立つ動物が出て来ると教え
エヴァには叩かせないようにと注意する
アダムが叩くとヒツジが出て、エヴァが叩くとオオカミが出て、ヒツジを追う
アダムがまた叩くと犬が出て、オオカミを追い、ヒツジを解放する
エヴァはアダムに隠れて海で叩くとキツネが出た
その後、この世に生まれたキツネはみなこのキツネの子孫
中でもルナールと呼ばれたキツネが有名
●狼のイザングラン
イザングランは指折りの領主でルナールと親友で甥のように可愛がった
空腹のルナールはイザングランの家でごちそうになりながら
屋根から下がったハムを夜中に盗む
●雄鶏ノワレ
大変な物持ちのお百姓ベルトゥーの家と庭は柵で囲ってある
穴から侵入したルナールを見つけ、網を投げると、ルナールはかかとに咬みつき
助けて欲しくば雄鶏ノワレを差し出せと言う
ノワレをくわえて帰る途中、歌ってほしいと頼まれて
口がゆるんだすきに逃げられる
●雄鶏シャントクレール
有名なお大臣の雄鶏シャントクレールに歌ってくれと頼むルナール
すきを見てくわえて持ちかえろうとして、またもや逃してしまう
●魚をだまし取る
魚商人の荷馬車の前に死んだふりをして倒れているルナール
毛皮を売ったら4スーにはなると計算して馬車に積む
ルナールは籠の魚を全部たいらげて逃げる
●イザングランの弟プリモー
魚の荷馬車にたくさんのウナギがあると教える
魚商人はオオカミが本当に死んでるかどうか確かめるためにしこたま棒で叩き
堪えられなくなったプリモーは空腹のまま森に逃げる
●プリモーの死
ルナールはプリモーにガチョウの群れがいると教える
プリモーが1羽持ちかえろうとした時、番人が犬をけしかける
プリモーが怒ると
ルナール:
宮廷に訴えて、王さまの裁きをお願いしますよ
もし私を殺したら息子たちが仇を討ちます
2人は仲直りするが、誓いをたてる際、罠にかかりプリモーは死んでしまう
●井戸
ルナールは井戸を覗き、そこに映る自分の姿を妻のエルムリーヌだと思い
桶に入ると、底に着き、上がれなくなる
イザングランが通りかかり、井戸にルナールと妻エルサンがいると思いこむ
ルナールはここは天国で、桶に入れば来れると教える
イザングランが桶に入ると、ルナールは井戸から出る
ルナール:ひとり来たらっば、もひとりは行く これが習わし
修道士らが井戸の中のオオカミを見つけて悪魔と思い棒で叩く
●山猫のティベール
司祭:なんて見事な毛皮! あったかい縁なし帽が作れるぞ
ティベールは司祭の顔をひっかき馬から落としたため悪魔と思われる
(なんでも悪魔扱いされるんだな
●ライオンのノーブル王
王は平和のため、イザングランとルナールの和解を求める
ノーブル:
ルナールをよく知る余が保証する
ルナールはそなたにウソをつこうなどけしてしはせぬ(全然知らないんだな
イザングランに雄牛を分配させると
ルナールにやる肉はないと言ったため殴って血だらけにする
ルナールはノーブルと妻子に分配したため褒める
ルナールはイザングランが師匠だと立てる
ノーブル:そなたより抜け目のない者はいない
“よい狩りを”て言い方、『ジャングルブック』と同じだ/驚
●イザングラン、ルナールを告訴する
熊のブラン:私が復讐するのをお許しください
ノーブル:双方の言い分を聞かずに裁く者は賢明か?
イザングラン:ならば自分で復讐します!
ノーブル:和平を乱す者に禍あれ!
●シャントクレール、ルナールを告訴
パント:私には5人の兄弟がおりましたが、ルナールが食べました
ノーブル王:ブラン、ルナールを余のもとへ連れてきてもらいたい
ルナールはブランに蜂蜜のありかを教え、樹の間に頭を挟む
ノーブル:おまえの仇を討ってやる
ルナール:オレは生きなくちゃならない限り生きるまでだ
穴熊グランベールは同情して、ルナールに告解させる
ルナール:私は後悔しております
ルナールは絞首刑を言い渡されるが、刑を逃れて十字架を身につける
ノーブル:何があろうとも、そなたの“ルナールぶり”は変わるまい!
十字架を投げ捨てて逃げだし、樫の木にのぼるルナール
●ルナールの城 マルペルチュイ
ルナール:7年分の食糧がある
半年間、攻囲戦が続き、ある夜眠った兵の足やしっぽを木に縛る
再び王に捕まったルナール
エルムリーヌはルナールの身代金を持ってきて許しを請う
ノーブル:やつを赦す しかし次の悪事で有罪となったら、ただちに縛り首だ(甘いな
●ルナールとイザングランの決闘
聖遺物箱にかけて誓い、取っ組み合い
ルナールはイギリス人の得意技であおむけに倒す(柔道?
結局、イザングランがルナールを絞め上げ、ノーブルは吊るすよう命令
修道士ベルナール:私にルナールをお渡しください
修道院でもイタズラが過ぎて追い出され、せいせいするルナール
●染物屋ルナール
染料を浴びて、黄色くなったルナールに気づかないイザングラン
ルナールはガロパンと偽名を使い、片言を話す
●巡礼ルナール、ローマをめざす
染料が落ちて、生き方を改めようと決める
司祭:ローマに行って、教皇さまに告解しなきゃならないな
●ルナール、聴罪司祭の鳶に手を出す
告解を聞いて欲しいと言って、鳶を食べようとする
鳶のカワイイ子どもたちも食べたことが分かる
子どもがけいれんすると相談したスズメに助言して
子どもたちを飲み込み、もうけいれんしないと答えるルナール
スズメ:すべてが私の過ちのせいだ
ルナールに復讐しようと仲間を集めようにも、みな関わり合いたくなくて断る
空腹で死にかけた犬ドルーアンは、食べ物をもらったお礼に復讐に協力し
ルナールの背中の皮を剥く
●ルナール、再び王の信任を得る
ノーブルを罠にかけ、救ったお礼に宮廷に招かれる
イザングランとチェスをして負け、釘で打たれて死んだと思われ、王妃は号泣
熊のブランが穴を掘り、埋められる寸前で森に逃げる
ルナール:貴族はけして裁判なしに刑に処せられることはありません
ノーブル:闘いを赦そう 負けた者は死罪だ
シャントクレールと決闘し、マルペルチュイまで逃げるルナール
王は四日熱で死にかける
グランベールは王を救えば宮廷に戻れると助言
ルナールは薬草を集めて、王を救う代わりにイザングランの毛皮を要求
イザングランは皮なしで逃亡
すっかり回復した王はルナールを友にする
●皇帝ルナール
王は異教徒討伐に出発し、ルナールに城を守るよう言いつける
シャントクレールらが討ち死にし、ノーブル軍はやっと勝利する
その間、ルナールは王は戦死したとウソをついて王妃と結婚し、王座を奪う
怒った王軍と戦闘し、ルナールの息子を捕虜としていたため交換し、王座を取り戻す
ルナール:王さまの熱病を治した働きに免じてお許しください
ノーブルは同情し、和平が成立 2人は友情で結ばれる
●ルナールの死
ルナールはマルペルチュイで余生を過ごし
寂しがる王は鳶のユベールに連れ戻すよう命じる
ルナール:私は死んで葬られたと伝えて欲しい
ユベールがルナールの死を伝えると
王:ルナールをこの世につなぎとめるためなら、王国の半分をくれてやってもよかった!
■解説
本書は独立した挿話の集まりで、それぞれ異なる時期・作者で作られている動物叙事詩
作者は同時代の文学作品の模倣、敷き写し、借用、茶化しを行っている
作品を書くための知識、教養を持つ社会階層は聖職者以外にはない
現実社会の事件への皮肉、風刺を取り入れた
ルナールの語源は「知恵と力」を意味する古いゲルマン語
生まれながらのペテン師、悪徳の権化として描かれる
獣、擬人化の両方が自然に混ざり合っている
“女房や女の言うことを聞く者は愚か”
“女がもたらすのは平和より諍い”
これはもはや蔑視より全否定に近い