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サマーロックトークセッション / 佐野元春

2008-08-27 23:00:19 | 佐野元春
S(渋谷陽一)
M(佐野元春)

S:佐野さんはこの時期はどういう時期なんですか?
M:ツアーも終わって、自由気ままに生きている。音楽以外のこともやってるんです。新聞コラムや大学に講義に行ったり。そうしながら次の作品の構想を練ったりしています。
S:充電期間ですね。どう感じですか、そういう時期は?
M:楽しいです。自由に時間を使えるのと、それからレコーディングに入る、ツアーが予定されているとなると、そういうのにプレッシャーを感じるだよね。 20代からそれでずっとやってきて大変ということではないけど、気が休まらない。本当にこういう時に自由に翼を広げて遊ぶ、色んな人と会う。
S:仕事モードじゃないですね
M:全然仕事モードじゃないですけど、呼ばれちゃったんですよね、今夜。
S:こういう時には意外な発言がとれるかもしれませんね。

「アンジェリーナ」♪20周年アニバーサリー・バージョン

S: 佐野さんはキャリア長いし、どこをとってもドラマチックで語ることはいっぱいあるんですが、それについて僕らはそれについて何十年にもわたって語り続けてきた訳ですが、
一番新しいアルバム「コヨーテ」という作品。これは僕的も気に入っている作品だし、ファンの間でも評価の高い作品だし、佐野さん自身も割りと達成感のある作品でしょ。
M:そうですね。作っているときから凄くこう言いたいこともサウンドもデザインもフォーカスが合っていて、迷わず出来たアルバム。発表してからも多くの広いジェネレーションに聴いてもらって、達成感のあるアルバムでしたね。
S:コヨーテというキャラが設定されていて、彼の物語みたいな。これも佐野元春だなあっという感じなんだけれども、このアイデアを思いついた時はやったなーって感じでしたか?
M:苦肉の策でした。佐野元春っていうと若いジェネレーションからすると、ちょっと年上のアーティストなんじゃないかという、それだけで敬遠されてしまう。でも僕が携わったロックンロールなので、10代20代の若い彼らにも聴いてもらいたい、すると佐野元春が歌っているというか、コヨーテと呼ばれる一人の男が織り成す、ひとつの映画の音楽のようなって設定すると、映画と言うと監督が60歳でも瑞々しい10代の映画を作ったりするでしょう。そのアプローチでアルバムを作ってみました。
S:作ってみてどうでしたか?
M:僕はソングライターなんで、アルバム作って自分で満足して前進したという実感がないと、コヨーテはソングライターとしてのスキルが一つ前進したかなという実感がありましたね。そういう意味でも充実感があったし、何よりもそういう自分の実験を含めたアプローチがこれまでのファン、新しいファンにも受け入れられたという喜びですかね。
S:僕なんかはインタビューなんかを聞いていると、メロディーがポップになっていく、すごく親しみやすい楽曲がドンドンできあがっていく。この辺のメカニズムがわからないんだけど、キャッチーなメロディーがこのアルバムになるとドンドンと生まれてきたのか?
M:どのアルバムでも皆が口ずさみやすいキャッチーなメロディーを心がけているんだけれども、もし違いがあるとすれば、これまで十数年間、ホーボーキングバンドというベテランミュージシャンを集めてやってきたんですけど、このコヨーテは自分より10歳年下のドラム・ベース・ギターを集めて、で仮のバンドを作って、レコーディングに臨んだんですよね。これが良かったのかなあと思ってるんですよね。
S:若いエネルギーを吸い取った
M:いやいやそういう感じじゃないんだけど、10歳年下というと大抵、彼らは僕の80年代90年代の音楽を多感な頃に聴いて
S:所謂佐野元春ファンですよね
M:そうですね。なので、僕よりよりかも良いところを知っていて、そしてダメなところも知っている、僕がスタジオ入って、僕がダメなことをやると、それ佐野元春らしくないって言わてしました。ああそうか、じゃあ作り直そうって
S:それ良いね、健全なモードになれますね。昔の佐野元春だと、そう言われると怒っちゃっいましたけど
M:そうね、これが俺の今の新しいやり方なんだからついて来いよって。
S:今は人の話を聞くと
M:ということになりました。
S:大人にならない佐野元春では僕は散々苦労してきましたからね。

「君が気高い孤独なら」♪

S:これ歌ってても楽しそうですね。
M:うん、夏の曲としてね。それからKでKIみがKEだかいKOどくならって頭で韻を踏んでるんですよね。ちょうど、大学でも詞と音楽という18歳から22歳までのヤングジェネレーションにお話してるんですけど。
S:大学の先生だよね講師。すごいキャラじゃないって感じなんだけど。だいたい大学に行ってなかったんじゃないの?
M:行ってませんでした(笑)
S:それが今 教えてるって、なんだろうか。それで、詞の作り方とかいろいろ言うの?
M:そうですねライブで韻を踏む、実際、彼らに詞を書かせて、詩を朗読させて、その先にどうゆう曲が生まれるかっていう実践ですよね。クリエイティブ・ライティングですよね。
S:でも佐野元春が教えてくれるんだからね、そりゃ生徒は盛り上がるよね。
M:どよめきますよね。何かと。楽しかった。でもアカデミーワークは大学はずっと続けて欲しいと言われているので、まあ時間が空いて居ればこれから先も続けてやっていきたい。
S:自分でやってみて、若い世代にそういう形で自分のしみついた詞についての考え方を話すと、何か自分に返ってくるものがある?
M:ありますね。何故詞を書くのかという、大学の授業なので、本質的な問いを生徒達に投げつけて、詞とは何か、何故僕らは詞を書くのかという、ヤングジェネレーションとのディスカッションは凄く役に立ちますね。でまた彼らの世代意識みたいなものも判るし、彼らがどんな音楽に接しているのかっていうのがよく。
S:じゃあ本当に自分にとっても意味のある凄く意義のある仕事ですよね。
どうせ佐野元春の授業を聴こうという人たちだから熱くて真っ直ぐな人たちが多いでしょうから
M:そうですね、ソングライター志望の人たちとか、文学部の講座なんで言葉に興味を持っている凄く好い
S:授業の後とか飲みに行くとか
M:僕は一応けじめをつけてる
S:やらなさそうだよなー(笑)僕は帰りますからって、いやー佐野さん行きましょう、ではさようならって言いそうだよな(笑)
「コヨーテ」「ザ・サン」とこのアルバム2枚は今、所謂インディペンデントなレコードアーティストで所謂大手のメーカーに所属しないという形で、かなり独自の活動をしているんですけれども、日本でもアマチュアバンドからインディーレーベル活動して自分の結果すごく大きくなってとして活躍している人たちもいるんですが、佐野さんのように大手レコード会社に所属して、別に大手レーベルから契約を切られるという立場ではなく、それなりのセールススケールもちゃんと維持しながら、それでいて自分のレーベルを作ってしまうというかなりユニークな存在なんですけど
M:そうですね、デイジー・ミュージックというレーベルを4年前に立ち上げて、そっから「THE SUN」「COYOTE」という2枚のアルバムを出したわけなんですけど、まあ4年前デイジー・ミュージックというレーベルを立てた時に思ったは、これまでのメジャーなレーベルの役割はもう終わっているかなあと。この先同じ事をやっていっても もう未来はない。僕が過ごしてきた70年代80年代のレコード会社の形態と随分変わってきたので、だったらば、自分が思っているようなレコードメーカー、レーベルを自分でやった方が楽しいのかな。と思ったのが最初ですかね。
S:でも、所謂レコード会社の社長をやるわけじゃないですか。
M:社長って意識はないけどね(笑)
S:でも仕事は社長じゃない?向かないと思うんだような佐野元春は社長に。
M:僕は社長業務やってないですよ。ミュージシャン分野になりますから。
S:でも、それにしても色んなマネージメントとか考えなきゃいけないし、その他、アーティストとしてのクリエイティブだけに専念するって訳にもいかない訳じゃないですか。それなりにビジネスとしてどう成立させていくかとか考えなくちゃいけない訳じゃないですか。やり手じゃないですか
M:そんなことないよ。
S:そうだよ
M:まあでも自分の作った作品のライツ 権利が発生している。ちゃんと自分でライツを管理しているというのはごく健全な考え方だし、新しいクリエイターたちも是非、自分の作品をライツを自分で管理して、そっからビジネスを始めていく。それね当たり前の世界に入ったことですよね。これはインターネットからリリースされて大きく僕らの世の中が変わったんじゃないかって思っているんですね。自分で作り、自分でその楽曲をアピールし、ライブもやり、長い間 自分の音楽生活を続けられる基盤を作る。これが新しい時代の新しいアーティストの形かなって思う。
S:佐野元春というのは所謂クリエイターとして若いミュージシャンの規範となっている部分も大きいけれども、そのあり方としてアーティストとしてのあり方としても規範となってきたわけで、これだけのキャリアを重ねながらも、また別の また全く白紙の荒野にけっこう乱暴なことばかりやってきたアーティストの・・・
M:規範というかね、いつも自分をカウンターの位置に置くというの。そうするとやる気が出るというの。
S:なるほど主流になると、何か居心地が悪くなってきちゃうっていうのがあるの?
M:主流も良いんですけどね。主流も凄く楽しいんだけれども。カウンターでいると常にエネルギッシュでいられるという。いつも批評していられるのが何かロックンロールの感じなんだ。
S:今言われて初めて思ったけれど、それこそ佐野元春はそのまま時代だと言われていた時期があって、佐野元春的なアーティストが山のように出てきて、佐野さん佐野さんと呼ばれて、正に時代は佐野元春だった時に、何かとても居心地が悪そうだったよね。
M:モジモジしちゃってね。俺そうじゃないんだよ なんつってね。
S:慕われたミュージシャンに佐野さん佐野さんって言われて、けっこう怒ってたりして、そういうのじゃないんだ俺はって、いいじゃないかって私なんかは思ってたんだけど、あれは居心地が悪い状態だったの?
M:徒党を組むのが まず苦手で、慕われても何もする事ができないし。
S:カウンターでいたいというそういう思い。自分でレーベル活動してレコード会社を運営することは、かなり大変なことで、それこそ色々な逆境に立たざるを得ない。それでむしろ、それは佐野元春にとって心地の良いこと。
M:時代に関っているという実感もありますし、それから自分の音楽がどうやって皆に聴かれているのかを実感を得たいんですよね、流通して、沢山売れて満足というのではなく、どういう風に自分の音楽は聴かれているのかなって。

「黄金色の天使」♪

S:続いて取り上げたいのは「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」1989年の作品がリイシューされた。佐野元春が自らというのではなく、ファンからもう一度、違う形で世に問いたいということで三枚組みの作品が発表された。佐野元春の特徴としては、やっぱり佐野元春のファンは凄く熱い。「もとはる~(男性の声援)」っていう 昔はお兄ちゃん、今はけっこう大人な人たちが熱気が、彼らはただ単に佐野元春を支持するだけではなく、佐野元春を研究し、解体し、下手をすれば佐野元春にそれは佐野元春じゃないと余計なことまで佐野元春に言ういう。
M:僕のファンは本当に批評精神が豊かですよね。本当に音楽を楽しんで聴いているって気がしますよね。
S:本当にマニアックだよね。
M:うん。でも、最近のファンは僕よりも偉くなっちゃて、医者とかさ弁護士とかさ政治家とか、そういう人たちにも助けられているんですよ、今。
S:ファンは大切ですよね。そういう人たちが佐野元春をもう一度解釈し、「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」これは凄いだろうと。この時代にこういう作品が出来たということは凄いことだから、やっぱり世に問いたい、アーティスト以上に作品を愛してくれている。本当に凄いことだよね。
M:89年を振り返ってみると、発表しないトラックとか未発表のものとか、それは音楽に限らず映像とか沢山あるんですよ。僕もそういうのがあるっていうことは知ってるんですよ。ファンからしてみたら、それを全部見たり聴いたりしてみたいっていうのも当然でね。だったらレコード会社の倉庫に行って、全部見たり聴いたりして編集して、ファンに全て還元したい。そういう気持ちで出しました。
S:ファンにここまでされて嬉しいですか?それとも、そこまで批評されて、そこまではって感じですか?どうなんですか?
M:僕はね批評されるのが無くなったらつまらなくなる。文化は衰退する。僕に対する批評は興味深い。本当にピント外れのものもあるし、ここだけは言って欲しくなかったって指摘されるのもあるし、またやったぞっていうのが良かったねってのもあるし。
僕は個人的には批評っていうのが好きで、しかもそれが本当に僕の音楽を愛してくれるファンが批評してくれるというのは本当に光栄なことですよね。

S:「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」をファンが選ぶ、批評眼の鋭さというのもありますよね。
M:もちろん、彼らが多感な頃にオリジナルを聴いて、それから約20年経つ、自分も客観的に見ることが出来るし、ファンも大人になった視点から多感な頃をの作品を振り返って批評するというのは凄く良いこと。
S:これはイギリスのミュージシャンと作った佐野元春にとっての一つの大きな重要な作品じゃないですか。当時は全体像を掴みきれないほどのアルバムだった。時代を超えた要素をもう一度振り返って見つめなおそうというファンの視点は有難いですよね。
M:そうですね。このアルバムの持っている言葉、音楽的センス どこが先進的だったのか。当時のミュージックシーンの中に置いて突出していたのかという研究は時間が経ってからでないと判らないですよね。それをファンがやってくれるというのは非常に嬉しいことだと思います。

「約束の橋」♪

S:一時期このアレンジではなくて、かなり変わったアレンジで当時やってましたよね。
M:そうね、これ説明が必要なんだけど、このアルバムからのシングルカットされて、89年、ベスト20ヒットくらいだったんですよね。それから二年ほど経ってテレビドラマの主題歌になって取り上げられたんだよね。二年後にまたベスト10ヒットなって、本当に嬉しかった。その間、「ナポレオンフィッシュ」のオリジナルを出した時に、何でこんな良い曲が売れないんだって、アレンジ変えちゃうぞ。好きなウッドストック・バージョンにしてハーフテンポにして全然アレンジに変えてファンのことをぜんぜん考えずに。それでね、その違うバージョンでツアーをやってたんです。そうするとレコード会社の人たちがやって来て、お願いですから佐野さんオリジナルバージョンに戻して下さい。今ヒットしかけてますからって。しょうがない。
S:しょうがないじゃない。どうして、そう拗ねますかね(笑)
M:最初からオリジナルでやるべきですよね。
S:そうです。時々そういう困ったことをしますね、佐野さんも。
M:なんかね、いつも格好良く言うとクリエイティブでいたいというか(笑)
S:まあ、そこはファンに取っては可愛いというか、佐野元春が佐野元春であるというところというか、現状に甘んじないというか、そういうところだと
M:たぶんヒットしたらちゃんとオリジナルで歌い続けてました。
S:でも良かったですね。この「約束の橋」はねえだろうって客席で思ってた一人でしたからね。
そして、今回のアルバムには1989年に行われた横浜スタジアムのライブDVD。
M:32歳、若いですねー、ちょっとドッキリします自分で見ても。こいつは何だ!
S:こいつは何だ!って佐野元春ですよ。
M:というかこの映像が残されてたこと自体を知らなかった。よく発掘してきたな。
S:残されてるも何も凄くちゃんとスイッチングされた立派なライブDVDとして成立している凄く良い映像じゃないですか。
M:ええ、これ横浜スタジアムの後ろのお客さんが見えやすいように左右のビジョンで写したスイッチングなんですよね。バンドの動きをよく捉えているし、当時撮ってくれたキャメラの人たちに感謝しています。音も凄く良い。
S:凄いタイトで凄い攻撃的なやんちゃな顔をしていますね。ニコリともしてない。
M:ショーの中で笑ったの一番最後だけ。というか怒りというか。89年怒ってるんだよね。その前に天安門事件があったりとか凄い時代だったんです。
S:そういう時代の思いが爆発するDVDの映像の最初のほうで「若」と思わず叫んでしまうほどだったんですけど、こういうの自分でまた見るのも不思議な感じでしょうね。
M:色んなことを思い出します。映像を見るとね、音を聴くと思い出さないけど、やはり映像の力は大きいですね。
S:けっこう飛び上がったりしてますよね。
M:今でも時々飛び上がってますよ。
S:失礼しました(笑)。

  また改めてレアトラック集を入れていくというのは面白いですよね。
M:オリジナルは皆良く聴いているので、その周辺でやったライブの音とか一寸変わったバンドの演奏したのとか表現が違うんですよね。今改めて聴いてファンの人も喜んでくれて嬉しいです。

「ジュジュ」アンプラグド、スタジオ・ミックス・バージョン♪

S:やっぱりアンプラグドになるとちょっと変わりますね。
M:優しくなりますね。これはデビューから16年一緒にやったハートランドというバンドの演奏で、聴くと判りますね、一人ずつのミュージシャンの音だってことが
S:それぞれ色々な状況やその時代を頭にパッと思い浮かべます?
M:はい。(佐野元春の「はい」は歯切れよく、時にはそっけなくきこえる)

S:佐野元春をラジオで語らせると面白いぞというところで。実際二枚のアルバムだけなんだけど語るべきことは、とても多くて、一作一作物語がありますよね。
M:振り返ってみると一作にかけるエネルギーは尋常じゃないですよね。本当、尋常じゃない。
S:凄い力を入れて言ってますが、本当よく判りますよね。実際に一作に人生かけている場合も多いしね。
M:伸るか反るか(笑)
S:伸るか反るかの人生ですよね。
M:スリリングな人生ですよね。もう再来年デビュー30年です。今年はサザンオールスターズが今年30周年、桑田君が僕と同級で、サザンが2年ほど早くデビューした。
人はアニバーサリーイヤーとかは言ってくれるんだけど、みんなから祝福されるかと思ってたんですが、アニバーサリーイヤーは大変です。新しいアルバムを出したり、ベスト盤を出したり、ライヴをやったりして、広く動かなきゃいけないから凄く忙しくて大変です。
S:祝福してもらうために準備を本人がやらなきゃいけないというのは大変ですよね。でも30年というキャリアを記念できるというのは幸福なことですよね。
具体的に色んなことをやる訳なんですか?
M:30周年に至るまでライヴ・ツアーを2~3回、アニバーサリーイヤーはそれなりの規模のコンサートを展開したいし、新しいレコード、自分の過去の作品をまとめたベスト盤のようなもの、書籍とか、イベントと、ファンにこれまでの支援に感謝して楽しみを還元する年にしたい
S:佐野元春の活動は所謂世間で言うところのレコードを作るだけではなく、ポエトリーリーディングをやったり、出版活動をやったり、大学で教えていたり、凄く沢山のことをやってきていて、ライブにおいても実験的なことをやってきているわけで、そういうものをもう一度見直すチャンスを30周年で我々自身が持つというのは意義のあることだ。
M:自分でも忘れちゃてます。作りっぱなしですから。先のことしか考えてない。「ナポレオンフィッシュ」もファンが先導してくれて、それを見るとね、それなりのことをやったのかなってちょっと思います。
S:過去を評価されても、これはちょっとやめてくれっていうのは、そうないでしょ?それはそれなりに自信の在るものばかりだし、堂々と世に問うぜ俺はって
M:当時はコンセプトワークというものに拘ったので、ちょっと外れたものはアウトテイクとかにした訳ですけれど、今は全てファンに還元したい。当時の僕の仕事をみんな、皆に見てもらいたい。という開いた気持ちになりました。
S:ライブに行くとファンが熱いですもんねー。
M:そうですね、僕らミュージシャンはレコードを作るよりもライブが基本ですから、ライブが出来るようになったら、ミュージシャンはライブを基本とスベキだし、その合間にレコードを作る。これが一番健全だと思うんですよね。

S:次の作品は?
M:ツアーが終わって遊んでいるんだけど、次の作品の構成を考えている。
愛について歌いたい。
僕の年齢で考えるところも色々あるし、大きなテーマだし。ポップミュージック、ポップソングにとっても永遠の命題ともいえる。敢えてメロディ、そしてテーマは愛、そうしたところにいどんでみようかなって気持ちになってますね。何故か何故か何故か。上手くまとまると良いんですけどね。
S:それは素晴らしいことだと思う。佐野元春は時代と呼吸しながら自分自身の中で時代を感じ取りながら作品を作ってきたことが伝わってくる。今この時代に愛というメッセージが絶対に必要であることを佐野元春も感じているんじゃないかな。凄くそういう時代と呼吸する佐野元春を感じました。
M:振り返ってみると自分の出してきたアルバムを、言ってみれば、その時に僕が編集した新聞のような ちょっとジャーナリズム性があったりして、僕もソングライターとして時代に生きながら言葉を書いてメロディーを紡いで、特に僕はその傾向が強いと思います。
なので次に出てくるオリジナル作品は自分自身でも楽しみですね。
S:楽しみですねー、いつも心配させつつ、喜ばしてくれるという。僕も佐野元春ウォッチャーとして長いですからねー、自分で日本の多くの雑誌を創刊した時に、創刊号で佐野元春に登場してもらいたくて
M:光栄でしたよ
S:あれはやっぱり嬉しかったですね。佐野元春によってスタートした雑誌であるというのは凄く嬉しいです。今日も色々お話を聞けて有難うございました。次回は新作でインタビューを。

最後は代表曲であり、日本のポップミュージックの一つのスタンダードである「SOMEDAY」、こういう曲があるというのも幸せだよね。
M:ファンが価値を発見してくれたんですよね。

SOMEDAY♪

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