渋谷 陽一(以下S)
【ゲスト】坂本 龍一(以下R) 2008,8,27
S:久しぶりに日本の夏を体験するとこんなに暑かったのか
R:蒸し暑いですよね。湿度が高いですよね。今年はNYも暑いですよ、そんな変わんない。
S:東南アジアの国の人がこないだテレビで言ってましたけど、インドネシアより日本の方が暑いと言ってました。
R:そうかもしれないね。
S:長く居るとこんなもんかなと思っても、今年の夏は暑いなってかんじなんですが、いきなりおじさんの季節ばなし
R:時候の挨拶(笑)
S:近々の活動としてHASYMOの「THE CITY OF LIGHT」を聴こうと思うのですが、HASYMOの活動というのが世間的には坂本龍一さんの一番目に付く活動という感じなんですけど、これは、坂本さん的にはどういうモードで?
R:僕はというか三人の合体した名前なんですけど、去年の12月に日本に居たときにYMOの三人でスタジオに入って、何も決めないで、しかも生楽器で何かやろうよっていう、まあ、随分前から10年くらい前からそういうことを言っていた。前に再生した時に既に言っていて、でも実際やりはじめたらコンピュータとかシンセとかを使ってしまったんだけども、今回初めて本当に生だけで、しかも曲もなくてセッション。
S:似合わない~
R:原点みたいな話。高校生みたいな感じですけど、幸宏は生ドラムで細野さんはエレキベースで、僕は生ピアノだけで結局回しっぱなしで二時間半ぐらいで出来たかな。二時間半分くらいの曲の要素はあるんだけど、そこから面白いところを切り取ってきたのが、一つが「THE CITY OF LIGHT」になって、また違う部分を切り取って、色々ごちゃごちゃ弄ったのがカップリングになっている「TOKYO TOWN PAGES」っていう曲になったんです。まだなってない使えるところも沢山あるんだけど、まだ曲になってない。という感じなんです。
S:久しぶりにそういう生セッションをやって、どうでした?ミュージシャン坂本龍一としては盛り上がったのか、新鮮だったのか、何やってんだか俺はって。
R:あの人たちとそういうことをするというのは、あんまりないことなので新鮮でしたね。二人とも本当に上手いからね。最近ライブもけっこう多いんですよね。去年5月に横浜でやったり、7月に京都でやったり、今年の6月に何と28年ぶりにロンドンでYMOとしてやって、けっこうライブが続いていて、だんだんそのライブバンドっぽくなってきているんですよ。(笑)この年になって、やっと。かつてはライブとかツアーとか三人とも大嫌いだとか言って嫌々やってたんですが、最近は何だか楽しくなってきちゃって、そういうノリになってきた所で偶然にも、そういう依頼が来るんですよね。ロンドンからも、スペインからもそうだし楽しかったです。またやろうなんて言ってるんだけど。
S:それはバンド小僧的な楽しみ?ライブって良いなーっていうの。それともまた違うレベルで?
R:あの三人のライブというのは、初期の頃は幸宏がライブでドラムを叩いたりとかはやっていたんですが、あんまりライブを楽しむとか、そういう気持ちはなく、義務的にやってた。一応コンピュータが主役でっていう意識があったんですけど、最近は、違いますね。別にコンピュータがなくても完全生でもOKっていうノリに変わってきたんですよ。
S:肉体的なライブに変わってきた。
R:そう、細野さんも62だけど、ライブになるとノリノリになって、え、男っぽいなって一緒にやってて思わず見とれちゃうというか、本番の時はベースを凄く大きくして聴いているんですけど、惚れ惚れしちゃうんですよ。昔から上手いけど、そこに男らしさみたいなのが加わってきたんですよ、最近。
S:皆それぐらいにキャリアと年齢を重ねて違うモードになってきて、それでまた三人がそうやってやっているというのも面白いね。
R:初期のYMOの人間的なライブ性のようなもの、あるいはパフォーマンス、演奏、人間だからこそできる演奏は否定的するモードっていうかな。否定するのがコンピュータ。だから僕らはコンピュータの奴隷の役割を敢えてやっていた。それがもう完全に無くなっちゃて、コンピュータとの付き合いも長くなって、コンピュータ使い方も解ってきて、必ずしも絶対必要ということはなくなってきた。凄く楽になってきてますね。
S:あの時代だからYMOが出していた肉体性の否定みたいなものは、それはそれなりにラジカルなコンセプトであったし、メッセージだったから、ただ今はもうそれを必要とされていない。そこまでやる必要はないという形になってきた。時代の変化の中でYMOも変わってきたということで。
「THE CITY OF LIGHT」(HASYMO) (4分25秒)
S:続いてはRYDEENをリメイクしたのを聴くんですが、YMOもHASYMOも同じといえば同じなんだけど、79と07ではこれだけ時間差があるわけだから、バンド内的なグルーブとかバンド内的なコミュニケーションとか、あるいは世界観、音楽的な世界観は今聞いてきて全然変わってきたみたいんだけど、人間関係とか人付き合いとか喋る内容とか
R:それは全然変わりましたよね。ここ4年くらいは割りと仲良くなってきたんですよね。その前は仲良くなくて殴りあいの喧嘩ですよ。まあそれは嘘ですけど冗談ですが、だって仲良くないから解散したんだから、91年だかに再生と称してやった時もやっぱり仲良くなかったんで、すぐにやめちゃったんですよね。3ヶ月ぐらいでやめちゃたじゃん一枚作って、それからまた随分時間が経ってんだよね。それからまた十何年経って、最近みんな年取ったせいかね、皆緩くなってきてね。一応まだ自我の残りカスみたいなものはあるんだけど。
今更ねガツガツぶつかってもしょうがないよってみたいな感じで、四年位前にじゃあYMOっていう名前で飯でも食おうか、飯を食う会を作ってさ、たまに飯でも食おうよYMOと称して、それが始まりかな。昔は喧嘩してたよねーって。
S:喧嘩いわゆる、それは昔話?懐かしい話?
R:そうだよね。
S:じゃあバンドの空気感も全然違うわけ?
R:ああもう全然違いますよね。
S:そんな仲悪けりゃ生楽器でセッションって言ったってね。無理ですよね。楽器でのコミュニケーション以前に言葉でのコミュニケーションがないんだったら(笑)
R:初期のYMOの頃は僕は顔を見たくないから日をずらして行ってた。スタジオに。レコーディングする時に。酷いでしょう?
S:原因が坂本龍一なんじゃないの?(声を堪えてあはは)
R:らしいね(笑)どうもそうらしい。(笑)最近気がついた。
S:可笑しい。絶対坂本だよって二人に言われていたんだ。
R:そうみたいよ。
S:そうみたいよって(あはは)。でもそうしてYMOと称して食事会をというのは、それでイキナリそういう和みムードに入ってった。
R:そうですね
S:楽しかったですか?
R:うん。今でもレコーディング終わったら楽しく、今日はどこで食べる?なんて、まるで友だち同士みたいな感じで。友だちなんだけどさ(笑)なんかプライベートな相談まで受けちゃって。なんか最近人が良いと思われているのかどうなのかわらないけど、その話を聞いてくれモードなんだよね、人が。僕はただ聴いているだけで、それはあのーとか言っているだけなんだけどさ。それって人が良い人の象徴みたいじゃないですか。
S:あれーでも坂本龍一って別にそんな悪い人じゃないし、
R:悪くはないけどね(笑)
S:もともと何か割りと親切な、どちらかと言うと、距離感はきっちり取るけれども、みたいな。
R:カリカリしてましたよね。今から考えても。物凄く、特にレコーディングの現場ではね。本当に針で裂くような、スネアーの4Kの4000ヘルツぐらいのデシベルが2.5か2.2かという0.3くらいの違いで、こんなことでもう口も利かない。みたいな、それくらいもう、そんな感じよ。ナンだったんだろうねアレは。
S:現場はそうだったんだ。
R:うん。でもさ、想像するにさ、村上春樹と村上龍と吉本ばななをホテルの一部屋に押し込んで、はい今から小説かけ、三人でって、もう大喧嘩でしょう。
S:そうだけど、だけどバンドだからさ、世の中そういうものじゃん。
R:もともとでもほら、一人で自己完結型で音楽を作ってた三人が集まったら、最初からバンドで零から音楽を作ってた人たちとちょっと違うでしょう?それが大きいかもしれない。
S:まあ、ミックとキースはずっと殴り合いの喧嘩をしながら何十年やってるからね。
R:あ、そうなんですか?今でも仲悪いのかしら?
S:そうそそ、今ではあれかもしれないけど、ずっとずっーとそういう関係性みたいで。その緊張感があれなのかもしれないけど、でもまあ仲良くなるという。だからもう一度RYDEENをやるという発想は、そういう人間関係がない限り、なかなかないかなーと思ったけどね。
R:あとさあ、当時はYMOという名前がね。重たくて、やっている本人達が一番重たく感じるわけ。周りよりも、もううんざりって感じで、もう辞めてよって、五年で辞めて、解放されて、気持ちいいんだけど、時間も経ったし、歳もとってきちゃったから、別にそんなにもう重たくも感じず、よき思い出ですから、YMOとの付き合い方が緩くなったと。
S:昔はYMO=自分だったんだけど、今はYMOというものがあって、自分もあってという
R:そうそう。
S:YMOを見てるって感じ。
R:そうそうそうそう。
S:という時間と距離感が生んだRYDEENの最新版を聴いて下さい。
「RYDEEN・79/07」(YMO) (5分16秒)
S:もうやっぱりこのメロディは不変的で、例えばRYDEENにしろTONG POOにしろ、所謂YMOのインターナショナルなスタンダード・メロディーみたいなものがあって、それを担ってきた訳ですけど坂本龍一は。だから、それを今また弾く時のモードというのは、もう抵抗感がないのか、またこれか?みたいな。
R:だから、どうせ弾くんなら あんまり抵抗感もしたくないから、今の感覚で作ったトラックですよねこれは。今やっても懐メロにならないように、懐メロじゃやる気ない訳ですから。だから、割と凝ったトラックではありますけど
S:そんな中で流している自分は全然OK?
R:ただ、これを作った時点と今ではまた、その後何回もライブでやったりしているので、ちょっと気分も違ってきて、これよりかは遥かにもっとライブっぽいグルーブがありますね。
S:へーそうですか、それはまた面白い。
続いてはですね。まあ坂本龍一、所謂ソロという形では、2004年に発表された「CHASM」という、これは私は、大変大変好きなアルバムで、
R:有難うございます。もう四年前か、四年もほったらかし
S:そうですよ。早く作ってよ。こういう続きをー。これ最高だったよー
R:今作ってるんですよ。
S:本当に?大丈夫?
R:来年の頭には次のが出る予定で
S:それは素晴らしい。「CHASM」というのは、所謂坂本龍一の持っている、凄くすごくこう何というのかな、こう音をどこまでも、どこまでも追い詰めてキッチリ繊細に作る そういうアーティストとしての側面と、それからまあロックミュージシャンとしてのそれなりのグルーブ?下手なロックミュージシャンよりも誰よりも破壊的なキャラクターですからね坂本龍一は、そういうものと、メロディーメーカーとしての素晴らしいポップなメロディーを書く坂本龍一そういうものが全て合体したものが坂本龍一だと思っているのですが、それを中々出してくれないですけど、このおじさんは。
R:有難うございます(照れ笑い)
S:ようやくやってくれたーという感動的な作品だったんですが、何でこんなインターバルがあいたんですか?
R:まあ、そのこのYMOがあったりとか、沢山やることあるんですよ。COMMMOSっていうのを立ち上げたりとか、あとで話にも出てきて欲しいなあと思うんですけど音楽以外にもMORE TREEというね植林活動をやったりとかね。もう大変ですよ。
S:四年は長すぎですよ。
R:そうですか?はい。(笑)
S:CHASMみたいな非常にトータリティの高いああゆうものを作っていくというのは、やっぱり坂本龍一的にもかなりな労働量になるんですか?
R:そうですね、かなり集中した時間が必要ですよね。半年とかね。だから、自分がそのモードになるのも、なかなか大変なことでね。ちょっと、どっかから飛び降りる位の、気持ちに高まらないと、そういう時間を取れないしね、この間ずっとほっておいた訳ではなくで、CHASMⅡを作ろうと思って、色んなトラックとかを作って溜めてはいたんですが、Ⅱを作る前に何か音楽的な趣向が僕の中で変わってきてしまってですね。幻のCHASMⅡになってしまう恐れもありますね。
S:ダメです。早くやって下さい。
R:あっそうですか(笑)今だから、やってるところなんですよね、遅くても三月まで出すと思います。
S:皆聴きましたよね?ここで証拠として残りますからね。三月ってはっきり言いましたから。スタッフの顔を見てますけど坂本龍一は。
「アンダークールド」 (坂本 龍一) (4分30秒)
S:格好良いね。
R:けっこういいじゃん。(笑)
S:貴方が作ったものですから。
R:聴いてない。
S:聴いてない!?聴いてよ。
R:忘れちゃいますね
S:04だけども、この時代的にまだ。まだ早すぎるぐらいの温度で鳴ってるって凄いなあ。
R:シンプルだけどグルーブもあるし
S:何、人ごとみたいに言ってるんですか?
R:乱暴さと繊細さと切なさと郷愁みたいなものがあるし、なかなかいいじゃん。
S:もう情けなくなってくる話。どうして、その他人事感がねえ。でも本当、最高だと思う。これねえ正に坂本龍一だと思うんだよね。
R:こうやって並べて聴くとYMOとも随分違う。
S:違うんだよ。坂本龍一が坂本龍一たるところは、やっぱりこのCHASMの中にあって。元々評論家なんで、そういう判断だけで
R:見えてるね。さすがだね。
S:そうなんだよ。これ出来た時に、凄い凄いって言ったじゃん。
R:言ってたね
S:漸く作ってくれたあー
R:その前からそういうのを作れって十年以上言ってるよね。怒られたりしたもん。会うの嫌だったもん怒られるから。でもやっとCHASMを作って、渋谷ちゃんが言ってた意味が解りましたけどね、でも解ったのに直ぐ忘れちゃうんですよ四年ぐらいで。思い出さないとな。たまには渋谷ちゃんに会わないとね。
S:会ってくださいよ、宜しくお願いします。
「ワールド・シチズン-
アイ・ウォント・ビー・ディサポインテッド:ループド・ピアノ」
(坂本 龍一)(6分01秒)
S:凄い。
R:凝ってるねえ。
S:これだけど、今、独りでやるんだからって、言ってたけど、全て本当自分でやるかけだからねえ。
R:時間がかかるというか、神経が磨り減るというか。くたびれる。
S:今聴いてて改めて思ったけど、坂本龍一以外にこういうものって存在していないから。
R:そうかな?
S:そう思う。類似品が何にもないという。正に、坂本龍一って人は非常に変わった人じゃないですか、音楽的に。その何かアイデンティティレスっていうか、そういうものがアイデンティティになっている不思議な人だから、だから皆ミュージシャンというのはアイデンティティが全て、アイデンティティになる訳じゃないですか。
R:そうですね。
S:そこに居ない人だから、そうすると作られる音楽というのも、全然違ってて、何とも言えぬこう、どこにも属さない感というか、凄いよなあ。
R:まあ普通のロックとかポップスとかを考えると、先ず声が中心ということもあって、その声がキャラクターでありアイデンティティだから、その音楽のね。もう嫌がおうにもそこで決まっちゃったりすることってあるでしょう?勿論メロディーラインとか言葉とかありますけど、声がその殆どを占めちゃうという。僕は殆ど自分の声を使わないから、ね、そこでもなかなか難しい訳ですよね。
S:でも声がないのにも、物凄く声が聴こえる。坂本龍一の声しか聴こえてないってところが凄いですよね。
R:嬉しいですね。
S:次はクリスチャン・フェネスとのコラボといか、何人かとそういう仕事をしていて、これはこれでまた実に坂本龍一的な音楽表現のスタイルで、
R:そうです。
S:ラップトップミュージシャンであるクリスチャン・フェネスのベーシックなものに坂本龍一が乗ってですね、気持ちよく浮遊するという。これひょっとすると楽しいでしょう?
R:これは楽よ!楽で楽しくて、それなりに、その世界が直ぐ出来ちゃうし、早いよこれは、CHASMは大変だけど、本当に何て言うか全ての要素を細部に渡ってやっていくでしょう、CHASMの世界は。これは本当にポンって弾いて終わりだから、
S:その辺が楽しいんだろうな。でもここにはここの坂本龍一の世界があって楽しいですよ。
R:まあむしろでも、自由に何の操作もなく自然な自分が出ているものですよこれは。
「モノ」 (フェネス+サカモト)(3分55秒)
S:この一連のプロジェクトは、これは聴き手のためというよりは、坂本龍一自身のためにあると位置づけているんですよ。
R:まあ、そっかなあ、どうなんだろう?自分が一番楽しいのかもしれないですよね。この間ね、6月にYMOでロンドンでの公演をやった後にもう、あ、そのYMOの公演に僕のリクエストでフェネスが入ったんですよ。YMO+フェネスand高田漣なんですよ。
S:凄いじゃん。
R:でね、一人代わるだけで、随分変わるね。前はコーネリアスがよく一緒にやっていたんだけど、コーネリアスも凄く良かったんだけど、フェネスも大人な感じになるね。ふっと。もう好きにノイズ出して良いからねって言ってたら、ガリガリってやってたけどね、良かった。YMOの後に、僕とフェネスが残ってイタリアの中の小さなツアーをやってたんですよ。
S:そう。ライブ見てるとねフェネス・坂本の時が一番楽しそうなんだよね。
R:楽、何も考えなくて良いのは楽ですよ。
S:だからこそ坂本龍一の一番リリカルなところがパアーっと出るともいえますよね。
R:フェネスもラップトップ系の音響系だけどもかなりロマンティックなリリカルな部分彼の中にもあって、それがうまく合体できて、まあ末永く付き合っていくんだろうなって思いますね。
S:続いてはですね。個人名義では2008年の最新作
「ココ」 (坂本 龍一)(4分00秒)
S:ピアノ一台でこれだけっていう求心力は凄いですよね。
R:そうですか?自分ではどうなのかよく解らないんだけど。
S:いちいち他人事なんだけど坂本龍一って。
R:クラッシクの曲でもポップスの曲でもないし、何か変なもんだよね。
S:だからそれは坂本龍一の一貫したそういうポジションで。クラッシックの中においても異邦人だし、ポップミュージックの中でも異邦人であるという居心地の悪さみたいなものこそが、聴く側にとってみれば居心地の良さで。それが面白いんじゃない。本人的にはとても大変なんだろうけど、どこにいても楽が出来ない。
R:そうですよね。
S:こうやってみると、色んなアウトプットがあって、凄いですよね。自分の中では、どう統一されているんですか?
R:統一されてないですね。もうちょっと統一した方が良いとさえ思っていますよ、その辺は。二つぐらいでも良いのかもしれないしね。出し方としてはですね。
S:その中には必ずCHASMを入れておいて下さいね。
R:はい。わかりましたでございます。
S:来年の三月って一応言ってくれたので、来年の三月までに今度CHASMで色々の話をして頂けると思って良いのでしょうか?
R:CHASMでしょうか。どうなんでしょうか?これから今年の後半ググッと詰めていきますんで
S:スタジオに篭ってっていう?
R:そうですね。ずっとNYに篭ってやるつもりなんで。
S:たまにメールをCHASM CHASM CHASMって
R:ああーうまいんだー
S:送ろうかなって。面白いですね坂本龍一って。
R:面白いって思ってくれるのは嬉しいんですけど、ストレートなロック漬けでしょう?本来は渋谷さんは。そういう人間じゃないからね僕は。
S:でもロックですよね。坂本龍一は非常にロックですね。
R:それを聞くのが面白くてね、僕は自分のことが解らないから。
「メリー・クリスマス・ミスター・ローレンス」 (坂本 龍一)(4分40秒)
【ゲスト】坂本 龍一(以下R) 2008,8,27
S:久しぶりに日本の夏を体験するとこんなに暑かったのか
R:蒸し暑いですよね。湿度が高いですよね。今年はNYも暑いですよ、そんな変わんない。
S:東南アジアの国の人がこないだテレビで言ってましたけど、インドネシアより日本の方が暑いと言ってました。
R:そうかもしれないね。
S:長く居るとこんなもんかなと思っても、今年の夏は暑いなってかんじなんですが、いきなりおじさんの季節ばなし
R:時候の挨拶(笑)
S:近々の活動としてHASYMOの「THE CITY OF LIGHT」を聴こうと思うのですが、HASYMOの活動というのが世間的には坂本龍一さんの一番目に付く活動という感じなんですけど、これは、坂本さん的にはどういうモードで?
R:僕はというか三人の合体した名前なんですけど、去年の12月に日本に居たときにYMOの三人でスタジオに入って、何も決めないで、しかも生楽器で何かやろうよっていう、まあ、随分前から10年くらい前からそういうことを言っていた。前に再生した時に既に言っていて、でも実際やりはじめたらコンピュータとかシンセとかを使ってしまったんだけども、今回初めて本当に生だけで、しかも曲もなくてセッション。
S:似合わない~
R:原点みたいな話。高校生みたいな感じですけど、幸宏は生ドラムで細野さんはエレキベースで、僕は生ピアノだけで結局回しっぱなしで二時間半ぐらいで出来たかな。二時間半分くらいの曲の要素はあるんだけど、そこから面白いところを切り取ってきたのが、一つが「THE CITY OF LIGHT」になって、また違う部分を切り取って、色々ごちゃごちゃ弄ったのがカップリングになっている「TOKYO TOWN PAGES」っていう曲になったんです。まだなってない使えるところも沢山あるんだけど、まだ曲になってない。という感じなんです。
S:久しぶりにそういう生セッションをやって、どうでした?ミュージシャン坂本龍一としては盛り上がったのか、新鮮だったのか、何やってんだか俺はって。
R:あの人たちとそういうことをするというのは、あんまりないことなので新鮮でしたね。二人とも本当に上手いからね。最近ライブもけっこう多いんですよね。去年5月に横浜でやったり、7月に京都でやったり、今年の6月に何と28年ぶりにロンドンでYMOとしてやって、けっこうライブが続いていて、だんだんそのライブバンドっぽくなってきているんですよ。(笑)この年になって、やっと。かつてはライブとかツアーとか三人とも大嫌いだとか言って嫌々やってたんですが、最近は何だか楽しくなってきちゃって、そういうノリになってきた所で偶然にも、そういう依頼が来るんですよね。ロンドンからも、スペインからもそうだし楽しかったです。またやろうなんて言ってるんだけど。
S:それはバンド小僧的な楽しみ?ライブって良いなーっていうの。それともまた違うレベルで?
R:あの三人のライブというのは、初期の頃は幸宏がライブでドラムを叩いたりとかはやっていたんですが、あんまりライブを楽しむとか、そういう気持ちはなく、義務的にやってた。一応コンピュータが主役でっていう意識があったんですけど、最近は、違いますね。別にコンピュータがなくても完全生でもOKっていうノリに変わってきたんですよ。
S:肉体的なライブに変わってきた。
R:そう、細野さんも62だけど、ライブになるとノリノリになって、え、男っぽいなって一緒にやってて思わず見とれちゃうというか、本番の時はベースを凄く大きくして聴いているんですけど、惚れ惚れしちゃうんですよ。昔から上手いけど、そこに男らしさみたいなのが加わってきたんですよ、最近。
S:皆それぐらいにキャリアと年齢を重ねて違うモードになってきて、それでまた三人がそうやってやっているというのも面白いね。
R:初期のYMOの人間的なライブ性のようなもの、あるいはパフォーマンス、演奏、人間だからこそできる演奏は否定的するモードっていうかな。否定するのがコンピュータ。だから僕らはコンピュータの奴隷の役割を敢えてやっていた。それがもう完全に無くなっちゃて、コンピュータとの付き合いも長くなって、コンピュータ使い方も解ってきて、必ずしも絶対必要ということはなくなってきた。凄く楽になってきてますね。
S:あの時代だからYMOが出していた肉体性の否定みたいなものは、それはそれなりにラジカルなコンセプトであったし、メッセージだったから、ただ今はもうそれを必要とされていない。そこまでやる必要はないという形になってきた。時代の変化の中でYMOも変わってきたということで。
「THE CITY OF LIGHT」(HASYMO) (4分25秒)
S:続いてはRYDEENをリメイクしたのを聴くんですが、YMOもHASYMOも同じといえば同じなんだけど、79と07ではこれだけ時間差があるわけだから、バンド内的なグルーブとかバンド内的なコミュニケーションとか、あるいは世界観、音楽的な世界観は今聞いてきて全然変わってきたみたいんだけど、人間関係とか人付き合いとか喋る内容とか
R:それは全然変わりましたよね。ここ4年くらいは割りと仲良くなってきたんですよね。その前は仲良くなくて殴りあいの喧嘩ですよ。まあそれは嘘ですけど冗談ですが、だって仲良くないから解散したんだから、91年だかに再生と称してやった時もやっぱり仲良くなかったんで、すぐにやめちゃったんですよね。3ヶ月ぐらいでやめちゃたじゃん一枚作って、それからまた随分時間が経ってんだよね。それからまた十何年経って、最近みんな年取ったせいかね、皆緩くなってきてね。一応まだ自我の残りカスみたいなものはあるんだけど。
今更ねガツガツぶつかってもしょうがないよってみたいな感じで、四年位前にじゃあYMOっていう名前で飯でも食おうか、飯を食う会を作ってさ、たまに飯でも食おうよYMOと称して、それが始まりかな。昔は喧嘩してたよねーって。
S:喧嘩いわゆる、それは昔話?懐かしい話?
R:そうだよね。
S:じゃあバンドの空気感も全然違うわけ?
R:ああもう全然違いますよね。
S:そんな仲悪けりゃ生楽器でセッションって言ったってね。無理ですよね。楽器でのコミュニケーション以前に言葉でのコミュニケーションがないんだったら(笑)
R:初期のYMOの頃は僕は顔を見たくないから日をずらして行ってた。スタジオに。レコーディングする時に。酷いでしょう?
S:原因が坂本龍一なんじゃないの?(声を堪えてあはは)
R:らしいね(笑)どうもそうらしい。(笑)最近気がついた。
S:可笑しい。絶対坂本だよって二人に言われていたんだ。
R:そうみたいよ。
S:そうみたいよって(あはは)。でもそうしてYMOと称して食事会をというのは、それでイキナリそういう和みムードに入ってった。
R:そうですね
S:楽しかったですか?
R:うん。今でもレコーディング終わったら楽しく、今日はどこで食べる?なんて、まるで友だち同士みたいな感じで。友だちなんだけどさ(笑)なんかプライベートな相談まで受けちゃって。なんか最近人が良いと思われているのかどうなのかわらないけど、その話を聞いてくれモードなんだよね、人が。僕はただ聴いているだけで、それはあのーとか言っているだけなんだけどさ。それって人が良い人の象徴みたいじゃないですか。
S:あれーでも坂本龍一って別にそんな悪い人じゃないし、
R:悪くはないけどね(笑)
S:もともと何か割りと親切な、どちらかと言うと、距離感はきっちり取るけれども、みたいな。
R:カリカリしてましたよね。今から考えても。物凄く、特にレコーディングの現場ではね。本当に針で裂くような、スネアーの4Kの4000ヘルツぐらいのデシベルが2.5か2.2かという0.3くらいの違いで、こんなことでもう口も利かない。みたいな、それくらいもう、そんな感じよ。ナンだったんだろうねアレは。
S:現場はそうだったんだ。
R:うん。でもさ、想像するにさ、村上春樹と村上龍と吉本ばななをホテルの一部屋に押し込んで、はい今から小説かけ、三人でって、もう大喧嘩でしょう。
S:そうだけど、だけどバンドだからさ、世の中そういうものじゃん。
R:もともとでもほら、一人で自己完結型で音楽を作ってた三人が集まったら、最初からバンドで零から音楽を作ってた人たちとちょっと違うでしょう?それが大きいかもしれない。
S:まあ、ミックとキースはずっと殴り合いの喧嘩をしながら何十年やってるからね。
R:あ、そうなんですか?今でも仲悪いのかしら?
S:そうそそ、今ではあれかもしれないけど、ずっとずっーとそういう関係性みたいで。その緊張感があれなのかもしれないけど、でもまあ仲良くなるという。だからもう一度RYDEENをやるという発想は、そういう人間関係がない限り、なかなかないかなーと思ったけどね。
R:あとさあ、当時はYMOという名前がね。重たくて、やっている本人達が一番重たく感じるわけ。周りよりも、もううんざりって感じで、もう辞めてよって、五年で辞めて、解放されて、気持ちいいんだけど、時間も経ったし、歳もとってきちゃったから、別にそんなにもう重たくも感じず、よき思い出ですから、YMOとの付き合い方が緩くなったと。
S:昔はYMO=自分だったんだけど、今はYMOというものがあって、自分もあってという
R:そうそう。
S:YMOを見てるって感じ。
R:そうそうそうそう。
S:という時間と距離感が生んだRYDEENの最新版を聴いて下さい。
「RYDEEN・79/07」(YMO) (5分16秒)
S:もうやっぱりこのメロディは不変的で、例えばRYDEENにしろTONG POOにしろ、所謂YMOのインターナショナルなスタンダード・メロディーみたいなものがあって、それを担ってきた訳ですけど坂本龍一は。だから、それを今また弾く時のモードというのは、もう抵抗感がないのか、またこれか?みたいな。
R:だから、どうせ弾くんなら あんまり抵抗感もしたくないから、今の感覚で作ったトラックですよねこれは。今やっても懐メロにならないように、懐メロじゃやる気ない訳ですから。だから、割と凝ったトラックではありますけど
S:そんな中で流している自分は全然OK?
R:ただ、これを作った時点と今ではまた、その後何回もライブでやったりしているので、ちょっと気分も違ってきて、これよりかは遥かにもっとライブっぽいグルーブがありますね。
S:へーそうですか、それはまた面白い。
続いてはですね。まあ坂本龍一、所謂ソロという形では、2004年に発表された「CHASM」という、これは私は、大変大変好きなアルバムで、
R:有難うございます。もう四年前か、四年もほったらかし
S:そうですよ。早く作ってよ。こういう続きをー。これ最高だったよー
R:今作ってるんですよ。
S:本当に?大丈夫?
R:来年の頭には次のが出る予定で
S:それは素晴らしい。「CHASM」というのは、所謂坂本龍一の持っている、凄くすごくこう何というのかな、こう音をどこまでも、どこまでも追い詰めてキッチリ繊細に作る そういうアーティストとしての側面と、それからまあロックミュージシャンとしてのそれなりのグルーブ?下手なロックミュージシャンよりも誰よりも破壊的なキャラクターですからね坂本龍一は、そういうものと、メロディーメーカーとしての素晴らしいポップなメロディーを書く坂本龍一そういうものが全て合体したものが坂本龍一だと思っているのですが、それを中々出してくれないですけど、このおじさんは。
R:有難うございます(照れ笑い)
S:ようやくやってくれたーという感動的な作品だったんですが、何でこんなインターバルがあいたんですか?
R:まあ、そのこのYMOがあったりとか、沢山やることあるんですよ。COMMMOSっていうのを立ち上げたりとか、あとで話にも出てきて欲しいなあと思うんですけど音楽以外にもMORE TREEというね植林活動をやったりとかね。もう大変ですよ。
S:四年は長すぎですよ。
R:そうですか?はい。(笑)
S:CHASMみたいな非常にトータリティの高いああゆうものを作っていくというのは、やっぱり坂本龍一的にもかなりな労働量になるんですか?
R:そうですね、かなり集中した時間が必要ですよね。半年とかね。だから、自分がそのモードになるのも、なかなか大変なことでね。ちょっと、どっかから飛び降りる位の、気持ちに高まらないと、そういう時間を取れないしね、この間ずっとほっておいた訳ではなくで、CHASMⅡを作ろうと思って、色んなトラックとかを作って溜めてはいたんですが、Ⅱを作る前に何か音楽的な趣向が僕の中で変わってきてしまってですね。幻のCHASMⅡになってしまう恐れもありますね。
S:ダメです。早くやって下さい。
R:あっそうですか(笑)今だから、やってるところなんですよね、遅くても三月まで出すと思います。
S:皆聴きましたよね?ここで証拠として残りますからね。三月ってはっきり言いましたから。スタッフの顔を見てますけど坂本龍一は。
「アンダークールド」 (坂本 龍一) (4分30秒)
S:格好良いね。
R:けっこういいじゃん。(笑)
S:貴方が作ったものですから。
R:聴いてない。
S:聴いてない!?聴いてよ。
R:忘れちゃいますね
S:04だけども、この時代的にまだ。まだ早すぎるぐらいの温度で鳴ってるって凄いなあ。
R:シンプルだけどグルーブもあるし
S:何、人ごとみたいに言ってるんですか?
R:乱暴さと繊細さと切なさと郷愁みたいなものがあるし、なかなかいいじゃん。
S:もう情けなくなってくる話。どうして、その他人事感がねえ。でも本当、最高だと思う。これねえ正に坂本龍一だと思うんだよね。
R:こうやって並べて聴くとYMOとも随分違う。
S:違うんだよ。坂本龍一が坂本龍一たるところは、やっぱりこのCHASMの中にあって。元々評論家なんで、そういう判断だけで
R:見えてるね。さすがだね。
S:そうなんだよ。これ出来た時に、凄い凄いって言ったじゃん。
R:言ってたね
S:漸く作ってくれたあー
R:その前からそういうのを作れって十年以上言ってるよね。怒られたりしたもん。会うの嫌だったもん怒られるから。でもやっとCHASMを作って、渋谷ちゃんが言ってた意味が解りましたけどね、でも解ったのに直ぐ忘れちゃうんですよ四年ぐらいで。思い出さないとな。たまには渋谷ちゃんに会わないとね。
S:会ってくださいよ、宜しくお願いします。
「ワールド・シチズン-
アイ・ウォント・ビー・ディサポインテッド:ループド・ピアノ」
(坂本 龍一)(6分01秒)
S:凄い。
R:凝ってるねえ。
S:これだけど、今、独りでやるんだからって、言ってたけど、全て本当自分でやるかけだからねえ。
R:時間がかかるというか、神経が磨り減るというか。くたびれる。
S:今聴いてて改めて思ったけど、坂本龍一以外にこういうものって存在していないから。
R:そうかな?
S:そう思う。類似品が何にもないという。正に、坂本龍一って人は非常に変わった人じゃないですか、音楽的に。その何かアイデンティティレスっていうか、そういうものがアイデンティティになっている不思議な人だから、だから皆ミュージシャンというのはアイデンティティが全て、アイデンティティになる訳じゃないですか。
R:そうですね。
S:そこに居ない人だから、そうすると作られる音楽というのも、全然違ってて、何とも言えぬこう、どこにも属さない感というか、凄いよなあ。
R:まあ普通のロックとかポップスとかを考えると、先ず声が中心ということもあって、その声がキャラクターでありアイデンティティだから、その音楽のね。もう嫌がおうにもそこで決まっちゃったりすることってあるでしょう?勿論メロディーラインとか言葉とかありますけど、声がその殆どを占めちゃうという。僕は殆ど自分の声を使わないから、ね、そこでもなかなか難しい訳ですよね。
S:でも声がないのにも、物凄く声が聴こえる。坂本龍一の声しか聴こえてないってところが凄いですよね。
R:嬉しいですね。
S:次はクリスチャン・フェネスとのコラボといか、何人かとそういう仕事をしていて、これはこれでまた実に坂本龍一的な音楽表現のスタイルで、
R:そうです。
S:ラップトップミュージシャンであるクリスチャン・フェネスのベーシックなものに坂本龍一が乗ってですね、気持ちよく浮遊するという。これひょっとすると楽しいでしょう?
R:これは楽よ!楽で楽しくて、それなりに、その世界が直ぐ出来ちゃうし、早いよこれは、CHASMは大変だけど、本当に何て言うか全ての要素を細部に渡ってやっていくでしょう、CHASMの世界は。これは本当にポンって弾いて終わりだから、
S:その辺が楽しいんだろうな。でもここにはここの坂本龍一の世界があって楽しいですよ。
R:まあむしろでも、自由に何の操作もなく自然な自分が出ているものですよこれは。
「モノ」 (フェネス+サカモト)(3分55秒)
S:この一連のプロジェクトは、これは聴き手のためというよりは、坂本龍一自身のためにあると位置づけているんですよ。
R:まあ、そっかなあ、どうなんだろう?自分が一番楽しいのかもしれないですよね。この間ね、6月にYMOでロンドンでの公演をやった後にもう、あ、そのYMOの公演に僕のリクエストでフェネスが入ったんですよ。YMO+フェネスand高田漣なんですよ。
S:凄いじゃん。
R:でね、一人代わるだけで、随分変わるね。前はコーネリアスがよく一緒にやっていたんだけど、コーネリアスも凄く良かったんだけど、フェネスも大人な感じになるね。ふっと。もう好きにノイズ出して良いからねって言ってたら、ガリガリってやってたけどね、良かった。YMOの後に、僕とフェネスが残ってイタリアの中の小さなツアーをやってたんですよ。
S:そう。ライブ見てるとねフェネス・坂本の時が一番楽しそうなんだよね。
R:楽、何も考えなくて良いのは楽ですよ。
S:だからこそ坂本龍一の一番リリカルなところがパアーっと出るともいえますよね。
R:フェネスもラップトップ系の音響系だけどもかなりロマンティックなリリカルな部分彼の中にもあって、それがうまく合体できて、まあ末永く付き合っていくんだろうなって思いますね。
S:続いてはですね。個人名義では2008年の最新作
「ココ」 (坂本 龍一)(4分00秒)
S:ピアノ一台でこれだけっていう求心力は凄いですよね。
R:そうですか?自分ではどうなのかよく解らないんだけど。
S:いちいち他人事なんだけど坂本龍一って。
R:クラッシクの曲でもポップスの曲でもないし、何か変なもんだよね。
S:だからそれは坂本龍一の一貫したそういうポジションで。クラッシックの中においても異邦人だし、ポップミュージックの中でも異邦人であるという居心地の悪さみたいなものこそが、聴く側にとってみれば居心地の良さで。それが面白いんじゃない。本人的にはとても大変なんだろうけど、どこにいても楽が出来ない。
R:そうですよね。
S:こうやってみると、色んなアウトプットがあって、凄いですよね。自分の中では、どう統一されているんですか?
R:統一されてないですね。もうちょっと統一した方が良いとさえ思っていますよ、その辺は。二つぐらいでも良いのかもしれないしね。出し方としてはですね。
S:その中には必ずCHASMを入れておいて下さいね。
R:はい。わかりましたでございます。
S:来年の三月って一応言ってくれたので、来年の三月までに今度CHASMで色々の話をして頂けると思って良いのでしょうか?
R:CHASMでしょうか。どうなんでしょうか?これから今年の後半ググッと詰めていきますんで
S:スタジオに篭ってっていう?
R:そうですね。ずっとNYに篭ってやるつもりなんで。
S:たまにメールをCHASM CHASM CHASMって
R:ああーうまいんだー
S:送ろうかなって。面白いですね坂本龍一って。
R:面白いって思ってくれるのは嬉しいんですけど、ストレートなロック漬けでしょう?本来は渋谷さんは。そういう人間じゃないからね僕は。
S:でもロックですよね。坂本龍一は非常にロックですね。
R:それを聞くのが面白くてね、僕は自分のことが解らないから。
「メリー・クリスマス・ミスター・ローレンス」 (坂本 龍一)(4分40秒)
ありがたく読ませていただきました。
渋谷さんも日本在住ではないようですね。
坂本さんのニューアルバム、楽しみです(^^)
いやあけっこう時間がかかりました。
渋谷陽一さんも日本在住ではなかったんですか?それは知りませんでした。日本人アーティストライブに参加するときは日本にわざわざ戻っているんですかね?
教授のニューアルバム、楽しみですが、本当に
坂本龍一の口調、坂本龍一のリズムで読みましたよ。(笑)
ミックとキースは本当に仲が悪いってきいたことあるけけれど、
ローリングストーンズほど長く続いているバンドはないですねー。
坂本龍一は確かに3人の中では一番ロックっぽいと思います。
「CHASM」もそうでしたが、「未来派野郎」なんかギターびんびんの曲もあって、実にロックでした。
ローリングストーンズは化け物ですね。僕はサザンが続くんだと思ってたんですが、ちょっと怪しくなりましたね。
過去にロック亜流派と書いている雑誌がありましたが、ロックぽくてもオペラっぽくてもまあ良いです。坂本龍一は坂本龍一なんで{笑}