以前、クリストファー・ウィリッツというアメリカ人について
エントリーを書いた。{レフト}ここ
TYさんがコメントで教えて下さいました。
佐々木敦 氏によるアルバムの解説よりウィリッツについて
カンサス出身で、地元の学校でビジュアル・アートを学び、ミルズ・カレッジで電子音楽を修め、
ギターのメロディアスなフレージング、あるいは美しいドローンを、コンピュータを用いてリアルタイムでプロシングするスタイルによって、エレクトロニカ・シーンの中で注目をあつめてきた逸材。
彼のHPです。
教授はテイラー・デュプリーという人の仲介で出会ったらしいが、以下は教授のコメントです。
willitsとは、ぼくがweb上でやっているchain-musicという小さなプロジェクトの
つながりで、12kのtaylorに紹介してもらいました。
ある日、彼がNYでのギグに来たので、ウチに立ち寄ってもらって、名刺交換替わりに
二人で即興を始めたんですが、気がついたら2時間ぐらいたっていました。
willitsがそれをとても気に入って、もって帰って手を加えていいか、というので
「どうぞ、どうぞ」と渡しました。ですから、これを作品らしく仕上げたのは彼です。
彼はヨガもやるし、とてもエコ・コンシャスな人です。タイトルの『ocean fire』
というのは、温暖化が進む世界の海とそこに棲む生物たちの危機的な状況を示しています。
上記のような作り方をしているので、教授が最後に編集した曲ではないとのことですが、
聴いていて、どこか硬質の「CHASM」にも通じる緊張した音が流れる
1曲目 Toward Water
2曲目 Umi これは海かな。静かに躍動するエネルギーを底から感じる。
3曲目 Sea Plains これはラジオのチューニングの際に出るノイズのうねりのようにも聞こえます。
4曲目 Sentience これは「判決」とか「刑」と訳すべきかな。「文」ではないと思う。「HANDMAID'S TALE」を思い出す曲でした。どこか擦れるような音も印象的でした。
5曲目 Chi-Yu 「治癒」の意味かな。1曲目の続きって感じで、自然に食器をテーブルに置いた時に複数回鳴る音のような部分が印象的
6曲目 Cold Heat 水の流れる音、「ブレードランナー」のエンディングテーマの入りを思い出しました。この曲の後半は2曲目と似た印象を持ちました。低音と高音がずーと響いています。ホーミーまでいかないですけどね。
7曲目 Ocean Sky Remains 変わらずあり続けるもの。タイトルは後付けなんだろうけど、ちょっと音の種類は違うけれど、油の切れた自転車のブレーキのような高音でのうなりが耳障りとなる人がいるかもしれません。ギターをチューニングするかのような音も。個人的にイマイチ。
棘の無い、どこか映像的な微妙な色の変化や、静かな状態で空気の流れや温度変化を感じて生きている人が作った曲
という印象です。人によるとつまらないアルバムだと思います。