霜後桃源記  

安心、安全と美味しさへのこだわり
そんな「こだわりの農業ブログ」を毎日更新
主役の妻は生産部長、夫は営業部長兼雑用係

弔辞

2019-02-13 14:09:22 | 社会

隣家で不幸が有り、今日が葬儀と法事だった。
老いた父親と二人暮らしをしていた長男の脳内出血による突然の逝去だった。 

光成工業の現役社員だったことから、社長を初めとして大勢の社員の皆さんが参列してくれた。
また、厳美小中学校時代の同級生の参列も多く、その中には「顔見知り」も多く、その一人が
「先日、62歳の歳祝いを開催し、42人の同級生全員が健在であることを喜び合ったばかり
だった」と話していた。



社長や社員代表、それに同級生の弔辞もあったので、私の弔辞は不要だったような気もしたが、
地元から「何もないのも寂しい」と考えた。
その配慮は、少なくとも、故人には届いたものと思っている。

               弔 辞

まさに文字通りの「突然の訃報」に驚きました。

亡くなられた前日、「記録的な寒波の襲来」で当地も底冷えの厳しい夜を迎えていました。
私が、午後七時頃に鶏小屋の戸締り等をしながら軒下の温度計を確認したら、マイナス八度を指していました。
しかも、冷たい北風が吹き、体感温度は、それ以上のものがありました。

川向の光成工業さんから、溶接機を動かす音が聞こえていたので、「信男さん達は未だ頑張っているな」と思い
ながら家の中に入ったことを覚えています。
外の記録的な寒さと、家の中の温度に極端な差があったことが、貴方の身体に「大きな衝撃を与えたもの」と
推察されます。
頼りにしていた息子に、突然先立たれたお父さんの驚きや悲しみを思うと、掛ける言葉もみつかりません。

貴方は、毎朝、早起きをして牛の世話をし、その日の三食分の食事を準備してから、会社に出勤し、休日には、
お父さんと一緒に黙々と農作業に勤しんでおられました。
隣の住人から見た貴方は、「キチンとした仕事をこなす真面目で無口な人」という印象で、集落の集まりでも
発言することは殆どありませんでした。

しかし、個人的に話しをしてみると、極めて常識人で、ややもすると「井の中の蛙」となり勝ちな集落の中に
在って、「見識のある自分の意見」を確りと持っている貴重な人材でした。
また、厳美中学校時代のバレーボール部の仲間を始めとする同級生との交友関係も広く、「呑んで騒いで、
カラオケでは演歌が得意」という一面も有していたようです。

一方、春の農業作業は、堆肥散布から始めるという基本に忠実な農業で、稲の苗作りに於いては、早い時期から
先進的な「プール栽培」に取り組んでいました。我が家で「プール栽培」に切り替える際には、色々と指導して
貰う約束をしていましたが、残念ながら、その約束は叶わぬこととなりました。

人は「歳の順に彼岸に旅立つとは限らない」とはいうものの、家族にとっては、あまりにも辛い突然の逝去で、
貴方自身も悔しい思いをしていることと思われます。
そして、一人残されたお父さんのことが、最も気掛かりであることは想像に難くありません。
しかしながら、今、和歌山で仕事をしている弟の愛男さんが、二人のお姉さんと相談し、一関に戻って来る方向で
考慮中とのことですから、貴方も「ホッ」と胸を撫で下ろしているところかと思われます。

信男さん、貴方の人生は、「家族の幸せを最優先」に考え、目一杯頑張り続けた立派な人生でした。
その誇りを胸に、今度は、天国から、残された家族を見守り続けることをお願いして、お別れの言葉と致します。

どうぞ安らかにお眠り下さい。

平成三十一年二月十三日

          熊 谷 良 輝
       
                                      (合 掌)


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