霜後桃源記  

安心、安全と美味しさへのこだわり
そんな「こだわりの農業ブログ」を毎日更新
主役の妻は生産部長、夫は営業部長兼雑用係

告発

2019-02-04 21:25:38 | 

就農以来、否が応でも農政との関りが生じ、そのデタラメ振りに唖然とすることが多かった。
それは、今、問題となっている厚労省の不正統計や野田市教育委員会の「お粗末な対応」に相通じるものが
あった。

そんな、行政に対する不満を整理し、全国の主要な新聞社や放送局が加入している「日本記者クラブ」のHPに
投稿することを思い立った。
取り上げられる「可能性は少ない」と思われるが、権力と闘うには「あらゆる手段を駆使すべし」と考えた。

A4判15枚と長くなってしまったが、「闘いの記録」として、当ブログに掲載し、半永久的に残すことにした。


(昨夜からの「時ならぬ雨」で野山の雪も大分消えてしまった。しかし、午後になって急変し、
 雪が降り出した)

                                        平成31年1月23日
報道機関 各位
                                岩手県一関市萩荘字霜後9-4
                                 熊谷 良輝 
              農業の現場からの告発 

私は、長年のサラリーマン生活を少し早めに終え、2006年から農業に転身し、13年目を終えた70歳の現役の百姓です。
現在、11haの田畑で、米、小麦、大豆、枝豆、トウモロコシ、大根、葉物野菜等を栽培し、販売先は、近隣の五カ所の
産直が中心となっています。
就農と同時に、ブログ「霜後桃源記」を毎日更新し(累計アクセス数、百万件)、農業の現場の実情と共に「地域や行政
との軋轢」についても発信し続けています。
戦後、民主主義が施行され、既に70年以上も経過していますが、残念ながら「農業の現場」には十分に浸透しないままと
なっており、主権者であるはずの農民の権利が「不当に侵害される」事例が少なくないのが実情です。
日本国憲法は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」
と謳い、また、「権利の上に眠るものは保護に値せず」が法格言となっています。
私は、不当な権利侵害に対し、長い物には巻かれろ式の「物言わぬ農民」となることを「是」とせず、「闘う百姓」を自認し、
公然と罷り通っている「不正の隠蔽と虚偽報告の実態」について、行政に抗議して来ましたが、一向に改める気配が無いこと
から、「告発」に踏み切ることとしたものです。

1. 補助金の不正取得について

(1) 米の供給過剰抑制のため、長年に亘り減反政策が実施され、一方で転作を奨励する補助金が、減反政策を終えた今も
  支給されている。
  その転作奨励作物の一つとして「永年性牧草」があり、牛飼育農家に牧草を提供するという名目で10a当たり35,000円が
  支給されている。
  しかし、実際に休耕田で牧草が栽培されることはなく、単に、牛飼育農家と協定書を締結し、虚偽の「牧草受領印」を押印し、
  それを「転作の証明」として報告し、不正に補助金を受け取っているのが実態となっている。
  一関市役所は、「虚偽の報告」と知りつつ黙認していることから、本制度のスタート時からの「不正」と推察される。
  しかも、長年に亘り公然と行われ、官民共に「不正行為の認識が希薄な状況」を踏まえると、このような不正は、一関市に
  限らず「全国的に行われている可能性」が極めて高いと思われる。

(2) 同様に、耕畜連携と称し「牛飼育農家に稲藁を提供し、その見返りとして堆肥を受け取る」という名目で、10a当たり
  11,000円の補助金が支払われているが、これも実際の物のやり取りは無く、単に牛飼育農家との間で協定書を作成し、
  「虚偽の授受証明書」を報告しているのが実態である。
(3) その不当性の抗議に対し、一関市役所は一貫して無視し続けており、「改めなければ、警察に告発する」旨を、岩淵前
  農林部長(2018年3月定年退職)に抗議したところ、「そんなことをしたら、あなたが村八分に遭うだけ」と開き直っている。
  また、実際に警察に告発状を提出したところ、警察も、実態を把握しつつも「触れたくない事件」らしく、「あなたも恩恵
  に浴しているのではないか」と反論し、即座に否定すると、「具体的な証拠がないので告発状は受け取れない」と「門前払い」
  されている。(一関警察署、菅川刑事が対応)
 「犯罪があると推量される場合」は、警察が捜査するのが本筋のはずだが、「その気が全くない」ことを知り、告発を断念せざるを
  得なかった。
(4) 本件の補助金が一関市内に支給される総額は、永年性牧草で3~4億円、耕畜連携で1億円程度と推測されるが、もし、このような
  不正が全国規模で行われているとすると、膨大な額の税金が不正に費消されていることとなり、とても1,000兆円超の借金を抱える
  国の所業とは思えない。
  しかも、このような補助金不正取得は、農業の現場に「虚偽報告と不労所得」という悪しき文化を醸成する一方で、真面目に転作に
  取り組んでいる農家を侮蔑するものであり、また、農水省が推進している「農事法人や担い手農家に農地を集約する」政策の大きな
  「足かせ」にもなっている。

2.「多面的機能支払」の「総会での合意」について

(1)日本型直接支払制度として、農地の多面的機能に着目し、それを保護する目的で、集落協定を締結した組織に対し、耕作面積見合いで
  算出した交付金が支給されている。(30年度予算額、全国で468億円)
 農水省は、交付金を受け取る集落に対し、規約を制定させ、その中で総会開催を義務付け、不正やトラブル等の未然防止を図っている。
 しかし、このような「規約の制定」を義務付けなかったとしても、各集落組織の最高意思決定機関が「総会」であることは言うまでもない。
 しかしながら、農水省は実施要領の冒頭で「交付金の使途については構成員の合意が必要」と述べつつも、一部集落組織に「規約の制定」
 を義務付けなかったことから、「合意の方法が不明確」となり、実質的には「構成員の合意無し」に交付金が費消される事態を招いている。
(2) 私が所属した霜後集落では、役員が「総会での合意」を経ずに事業を実施していたことから、再三に亘り「総会の開催」を求めたが、
  拒否されていた。
 そのため、「交付金の適正使用について、指導責任を有する」行政に指導を求めた。
 それに対する行政側の見解は以下の通りだった。(⇒印は、私の反論)
 ・一関市役所、高橋前々農林部長(2017年3月定年退職)
 「役員に任せてあるので、役員のみの合意で構わない。」そして「集落のトラブルは集落で解決し、市役所に持ち込まないで欲しい」と拒否
  した。
  ⇒制度は勿論のこと「民主主義の基本」さえ理解していない暴論である。  また、市役所の指導責任を放棄した「責任逃れ」でもある。
 ・一関市役所、高橋部長の後任の岩渕前農林部長
「市の見解は、市長決済で回答した通りである。我々にとって、法律よりも市長決済が優先するのは当然のことである。」
    ⇒ あまりにも「常識外れ」な回答で、反論する気にもなれなかった。
・東北農政局 山田職員(2017年4月転出)
  「合意の方法は総会に限らない。共同の草刈作業後の立ち話しとか、個々人に個別に了解を得る、或いは、事前に役員に一任する方法等でも可」
  ⇒ 数百万円の事業を実施するための「合意」が、こんな安易な形で行なうことは許されない。「合意」は、個々人の意思ではなく「組織と
    しての意思決定」と解すべきである。また、「役員に一任」では、法が禁じた「白紙委任」となる。
    一方、県の出先機関である一関農村整備センターの藤原課長以下三名の担当職員に面談して抗議したが、制度自体の知識も乏しく、「何が
    問題か、或いは、何を合意すべきか」さえも理解出来ていないお粗末振りだった。
(3) 本件交付金支給の「元締め」である農水省農村振興局多面的機能推進室にも文書を送付し、また、再三に亘り電話でも抗議した。
   責任者である峰村課長補佐の、威圧的かつ不遜な態度に終始した回答は以下の通りであった。(⇒印は、私の反論)
  ① 合意は必要だが「総会での合意」までは求めていない。
   ⇒総会での合意を求める権利は、各集落の構成員の基本権で有り、農水省に「総会不要」と指示する権限はない。
    農水省は、交付金を支給する権限を有する反面、「国民の血税である交付金が適正な手続きで適正な目的に使用する」よう指導する義務と責
    任を有するだけである。
    従って、たとえ農水省が「規約の制定を義務付けなかった」としても、「総会での合意」は必須となる。 
  ② どのように合意を得るかは各集落の規約に任せてある。
   ⇒自らが制定した実施要領で「規約の制定を義務付けることを漏らした集落組織」に、規約など存在するはずもなく、単なる「責任転嫁」に過ぎ
    ない。また、たとえ規約が存在したとしても、「総会を不要とする規約」は無効である。
    ちなみな、当霜後集落に於いては、市役所の指導により、「中山間直接支払」の役員が、そのまま「多面的機能支払」の役員を兼務している
    ことから、中山間の規約が存在し、その中で「総会の開催」を義務付けている。
  ③ 「合意がない」と騒いでいるのは、あなた一人だけで「事前事後の合意は得ている」と確認している。
   ⇒「騒いでいるのは一人だけ。無視せよ」は霜後集落役員と、それを擁護する一関市役所の慣用句となっている。
    「合意を得た」ことの証跡となる文書も確認せず、単に「一関市役所の口頭による虚偽報告」を都合良く解釈しているに過ぎない。
  ④「総会開催は必須」として示された判例は事例が異なる。すべて法律に基づき実施しているので、法廷の場で決着を付ける。
   ⇒私が示した最高裁の判例は「各組織の最高議決機関は総会であり、総会の開催を規約で否定したり、多数決で総会開催を省略するこ
    とは許されない」としたもので、100%そのまま本件に該当する事例である。判例を読むこともなく、また、法的根拠を専門家等に確認するこ
    ともせず、「法廷の場で決着」とは笑止千万である。また、「総会が各組織の最高議決機関である」ことは、法律や判例を持ち出すまでもなく、
    町内会等の自治会組織でも広く承認されている「一般社会常識」と言っても過言ではない。
(4) 本件は、農水省が「総会開催」を義務付けなかったことによるトラブルだが、「総会開催」を義務付けた集落に於いても、形の上では「総会を開催
  した文書」を報告してはいるものの、実際は「総会での合意」を経ていない集落が多く、市役所もそれを知りつつ黙認している。
  それは、市役所と集落の役員との間に、前1.で述べた「虚偽報告の文化」が蔓延していることに起因する。
  このような構成員の権利を無視した不当行為は、「多面的機能支払い」に限らず、制度化されて15年が経過する「中山間直接支払い」(30年度予算、
  全国で263億円)に於いても同様で、当霜後集落では、役員による「中間搾取事業」と化し、「土側溝のU字溝化」さえ未だに実施されないままとなっ
  ている。
(5) 本トラブルには続編が有って、一関市役所の指導を受けた広域役員と集落役員は、構成員を招集し、「今回に限らず、今後とも総会は開催しない」と
  いう不当決議をすると共に、その数日後には、実質的に村八分に相当する「集落協定から排除」の暴挙に出た。
  そして、この不当行為を地元岩手日日新聞に「市役所の指導義務の怠慢」として投書したところ、掲載された当日、広域組織代表の千葉大作市議会
議長が、新聞社の責任者に電話をして、「投書者は、自分だけが正しいと誤解して騒いでいるもので、地域では誰にも相手にされない問題人物で
ある。何故そんな人物の投書を掲載したのか」と抗議すると共に、「直ぐに反論を投稿するので、再反論を許してはならない」と述べた。
  そして、その発言は、新聞社の責任者から、「侮蔑の言葉」まで添えられて私に伝えられた。
  しかし、事実に基づいた私の投書に反論できるはずも無く、一関市の「言論の府のトップ」による「名誉棄損と言論妨害」だけが事実として残っている。

3. 農事組合法人の行政指導について

  一関市厳美町の「道の駅、厳美」は農事組合法人「美の郷」(いつくしのさと)が運営を受託し、直売所とレストランを営み、毎年二億円超の売上
実績となっている。この法人は、地域の農業と商業の活性化のために、一関市の肝入りで立ち上げた「組合員のための組織」であるも、理事長と
理事長代行の二人が 「組織を私物化」し、総会や理事会を形骸化させ、組合員の利益を損なっている。
  その横暴な振る舞いは、枚挙し切れないぐらい多岐に亘るが、代表例として二つのみを挙げる。
(1) JAからの餅米仕入れ
  餅を目玉商品としている「道の駅のレストラン」では大量の餅米を使用するが、その餅米は、農事組合法人の設立趣旨からして当然「組合員の生産した
餅米」を使うべきにも関わらず、わざわざ「価格の高い」JAから仕入れを行い、その違法行為を正当化するために「生産者の餅米は品質が悪いため
に、使うことが出来ない」と詭弁を弄している。
  その詭弁が、事実に反する主張であることは言うまでもないが、一歩譲って、たとえ品質が悪かったとしても、改善指導する等により、「組合員からの
仕入れ」を優先すべきことは、農協法や定款の規定を待つまでもなく当然のことである。
  そもそも、自ら生産手段を持たず、生産者から仕入れて販売しているJAの餅米が、「生産者の餅米より品質がいい」というのは矛盾する主張であって、
JA経由で仕入れて、高くなるのは「品質ではなく価格」でしかない。
  また、総会の場で「何故組合員の餅米を使わないのか」と抗議すると「お宅の餅米は品質が悪く、とてもお客様に提供できる品質ではない」と述べ、
平然としている。
  産直で米を販売するには「米検査」を経たうえで、「検査証の提出」を義務付けられているが、国が認定した検査員が「一等米或いは二等米」と評価
  した 餅米が、どうして「お客様に提供できる品質ではない」となるのか、これも矛盾した主張で、到底理解出来るものではない。
  私が、組合に加入して間もない10年ほど前、「創業時からJA仕入れ」を行っていることを知って驚き、疑問を提起した際、小野寺駅長は「レストラン
担当理事の指示に基づいて行っている。組合員が選んだ理事の指示通り行っているので抗議される筋合いはない」と答えている。
  実は、これがJAから仕入れている「本当の理由」であって、レストラン担当理事の代表代行は、JAの理事でもあることから、理事会の場では、JAを
  「ウチ」と呼んでいるとのこと。
  このような代表代行の行為は、組合員のためではなく「JAのための行為」であり、典型的な「利益相反行為」である。
(2)「道の駅」は国土交通省が道路利用者のための休憩施設として設置している公的施設でもあることから、お客様サービスの観点からも、一般的に市販さ
   れている清涼飲料やアイスクリームは、標準装備すべきものであることは論を待たない。ところが、アイスクリームを製造販売する農事組合法人
   ポラーノの理事長を兼務し  ている菅原理事長は、組合員でもないボラーノの、一個270円もする高価なアイスクリームを「道の駅で独占販売」
   し、売り場も、オフシーズンも含めて広く確保している。
   総会の場で「お客様の選択肢を増やし、店全体の売上増を図るべき」との決議が為されたにも関わらず、それさえも無視し、独占販売を続けている。
   これは、「道の駅」利用者に対するサービスの低下を招いているだけでなく、前項同様に典型的な利益相反行為に該当する。
(3) 以上のようなトップによる「組織の私物化」は、「モリカケ問題」や「奈良判定」の例を持ち出すまでもなく、全国的に見れば「ゴマンとある見慣れた
  光景」かと思われるが、当農事組合法人は市役所や県の指導監督下にある組織でもあることから、当然、是正指導が為されるものと思われた。
  しかし、違法な「JAからの餅米仕入れ」について指導を依頼した際の、一関市と県の対応は違った。
 ① 一関市の高橋前々農林部長
  「一等米にも関わらず組合員から仕入れないのは疑問なので、私が直接指導する」と約束しながら、半年間も放置した挙げ句、「組合員から仕入れる
   必要はない」と逆指導をして、それまでイベント等の開催時に「言い訳程度」に組合員から仕入れていた「僅かな量の仕入れ」さえも止めさせてし
   まった。その一方で、市長に対しては「餅米は、原則として組合員から仕入れており、不足分をJAから仕入れている」と虚偽の報告している。
 ② 一関農林振興センター並びに県の団体指導担当
  事前に文書で実情を説明し、指導を依頼したのに対し、県庁の団体指導担当の意を受けて対応した一関農林センターの阿部課長からの回答は、「あなた
  が組合員になった時、JAからの仕入れは既成事実となっていたので、それに異議を唱える資格は無い。」また「異議を唱えているのは、あなた一人だけ
  で誰も賛同する人はいない」と論点を外した驚きの回答だった。
  到底納得出来ないことから、一関農林振興センターの千葉所長に直接面談し、「理事長等の行為は、法律や定款の規定に反する明白な違法行為なので
  即刻是正指導すべき」と訴えた。
  それを受けて、千葉所長自らが「道の駅」に赴き指導してくれたが、その指導内容は、「経営判断なので問題はない。JA仕入れを組合員から批判され
  ないよう、理由を文書決済しておくように」とのことだった。
 「違法行為も内部で文書決済すれば正当化される」という呆れるばかりの指導だった。
  また、県庁の団体指導担当(農事組合法人に農業協同組合法を順守させるための組織)にも電話で再三抗議したが、対応した安達主査からの回答(課長も
  同見解とのこと)は、以下の通りだった。(⇒以下は、私の反論)
  ア. 餅米をどこから仕入れるかはトップの経営判断である。
    ⇒労基署が労基法違反の事業所を「経営判断」として黙認するのか。 また、会計検査院が公費を無駄に支出している組織に対し、「経営判断」と
     して黙認するのか。そんな行為は「組織の自殺行為」でしかない。明々白々な違法行為を指導できず、何を指導するというのか。職責を果たして
     いるとは思えない。
  イ. 農協法に「JAから仕入れてはならない」という規定は無い。
   ⇒ あまりにも「当然のこと」を条文に記載するはずもない。そもそも、農協法の規定は役員の違法行為から組合員の権利を護るためのものであって、
     主客転倒の解釈である。

4.最後に

 民主主義が蔑ろにされている農村では、役員の横暴に異議を唱えるのは「非国民」扱いされ、「村八分」の恐怖に晒されることを覚悟しなければならない。
 そして、「民主主義=多数決」とばかりに、法律や理屈に反することまで多数決で決し、個人の基本的人権が侵されることが、日常茶飯事となっている。
 そんな「農業の現場」では、農民の権利を護る立場にあるはずの行政が「全く頼りにならない」ばかりか、逆に、「民主主義を踏みにじっている」のが
 実態となっている。
                                                              以 上                 

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