三島由紀夫のデビュー作『仮面の告白』は昭和24年、『人間失格』は23年。触媒くらいにはなったのかもしれない。
人間失格の中で説明しているが、女のほうから知らない間に(つまり此方から色目を使わなくても)自分にもたれかかってくる、そうして自分も頂戴してしまうと書いている。説明もしているがとても納得できる説明ではない。
しかし、現実にこういう男がいることは確かだ。オイラの知っている男にもいるのだから。いい男でもないのに、ね。
何と言ってもすごいのは心中に連続して失敗するところだ。心中に失敗して生き残る例はある。そうすると、二度としないのが普通(普通と当事者のようにいうのもおかしいが)だ。あるいは二度目には絶対に失敗しないようにするだろうに。
こうなると、仮死状態、臨死体験を味わうために繰り返し同じことをしているのではないかと疑う。一説によると乙なものらしいからね。