単行本1、2はとっくに処分してしまった。内容もきれいに忘れた。しかし、文庫版5を読むのにどうという支障もない。そういう小説である。
一般小説家(つまりエンタメ作家より腕がたしか)が書いた一種のマンハント小説かな。
犯罪小説というのではない。犯罪小説『味』である。
ファンタジー小説ではない。ファンタジー小説『味』である。
SF小説ではない。SF小説『味』である。
一般小説家であるから、特定分野に特化したジャンル小説家より腕は確かだし、さして退屈もしないで読める。
以上は文庫本5の200ページ当たりのポジション・レポートである。
緊迫感はないが、長編であるからしょうがないかもね。
村上春樹氏はチャンドラーの翻訳なんかよかった。オイラはむしろ翻訳家として評価しているのだ。英米小説の翻訳家として翻訳するかどうかは別にして、いわゆるSF、スリラーの類は相当読んでいるようだし、その分野のテクニックも援用しているようだ。
ま、地の文がエンタメ特化作家よりはるかに腕が上なことは確かだ。あとは630円かける6冊の原価をどう評価するかだろう。