芥川賞受賞作を久しぶりに読みました。たしか今回の受賞者は一人でしたよね。複数の場合はどうも程度が落ちるようなので、今回一人というのですこしはましなのではないかと思いました。それとタイトルね、コンビニなんて毎日使っているのでタイトルにもひかれました。
数年前に二、三回芥川受賞作を取り上げていたのですが、その時は文春に掲載された時点で選考委員のコメントを批評するという形式だったのですが、今回は其の前に単行本で読みました。
まず構成が決まっているな、という感想です。前半はコンビニのルポルタージュとしても興味の持てる書き方です。客ではなくて店の視点で記述されているわけで、へえそうなの、とか意外に嫌らしい経営マニュアルだとか、興味を持たせます。
中盤から後半フータロウ(フリーターというのかな)の白羽くんが出てくるあたりからガラリと一転。作者はSF的な物を書いて来たとかどこかで読んだ記憶があるが、そんなところも感じさせる。シグマ2.79の男とシグマ2.79の女を「同棲」させるむずかしい構成でありながらドラマとしての緊密さを失っていません。なかなかの書き手ですね。