穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

イシグロ、ハクスリー二作品における家族概念

2017-11-24 11:02:03 | 本と雑誌

 両作品に『家族概念』は有りません。「私を離さないで」は暗々裏の前提として。「すばらしい新世界」では悪徳概念としての家族。

 すばらしい新世界では父、母、家族それに膣口からの出産は口にするのも汚らしい言葉であり、概念です。出産した女性は最大の侮蔑の対象となります。この小説ではリンダという人物が誤って従来型の膣口出産をした為に未開の隔離社会(高圧電流のながれる柵で囲まれた居留地というか流刑地)に追放されます。

 ではセックスはというのは、これは乱交OK、というよりむしろ倫理的に唯一の正しい関係である。乱交しなければならない。ここでよだれの垂れて来た現代女性はいませんか。ロメオとジュリエット型純愛は犯罪となります。ただ階級間での性交が認められているかどうかについては、明示的に小説の中で語られているかどうかは気が付かなかった。

  もちろんハクスリーは反語として言っているのだろう、多分。



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