さて、村田紗耶香のコンビニ人間です。2016年上期の芥川賞受賞作です。その時珍しく選者のほぼ満場一致で選出されました。芥川賞の選者の意見に大抵は危惧を抱くわたくしも賛成でした。ところが小川栄太郎先生は49点しかあげないのですね。批評もメタメタです。支離滅裂というか幼稚ですね。「これは嘘っぱちだ、」というのですね。小説と言うのはそういうものでしょう。今更自然主義文学でもないし、「小説神髄」でもありますまい。
小川先生のいう「嘘っぱちで作り物」だったかな、そこがいいんですよ。嘘っぱちの出来栄えを見なくちゃいけません。
ところで最近彼女の作品を二、三読んでいました。どこかで彼女はSFを書いているというのを読んだ記憶があり、最近SFの作法とはなんじゃらほい、と小当たりに当たっていたものですから、彼女のほかの作品を探したのです。小川氏の本では彼女のほかの作品の批評もあり、これもあまり高くありません。そして、ご安心ください。この点に関してはわたくしも同じ意見でございます。もっともSfっぽいのは「地球星人」だけでした。小川氏の27点と言うのは首を傾げますが、あまりいい点は上げられません。ほかの作品「授乳」とか「殺人出産」はSFではなくて、わたくしに言わせれば少女ものですね。彼女にはこういう少女期の体験と言うかトラウマと言うか、をしつこく追及する作品が多いようです。好きな人はいるのでしょう、とくに女性には。