3位決定戦・ドイツ対ポルトガル(NHK)
3位決定戦で、ドイツの若手、シュバインシュタイガーが爆発した。実質的には、今大会初のハットトリックだった(1点はオウンゴール)。この試合のシュバインシュタイガーのゴールは、3位決定戦ならではのものだった。
今大会で採用されたボールは、非常に変化しやすく、ゴールキーパー泣かせのものとなった。ゴールキーパーの正面に飛んだボールでさえ、思うようにキャッチできない。ときに大きく、ときに微妙に変化するボールだった。
そのせいか、グループリーグでは、いつになくロングシュートによる得点が目立った。まずは、攻撃面で、選手たちがボールの特性に順応した結果だった。意図的にロングあるいはミドルレンジからのシュートを放つチームが多かった。
しかし、一転、決勝トーナメントに入ると、外郭からの得点は少なくなった。今度は、守備側がロングシュートに対してきちんと対応するようになったためである。不用意にコースを空けない。あたりまえのことが徹底された結果だった。
しかし、ドイツ対ポルトガルの3位決定戦では、ドイツのシュバインシュタイガーが久々に、豪快なロングシュートを2発も決めた。彼がボールを保持し、シュートを打つときに、ポルトガルの選手は、だれもコースを消さなかった。優勝への道のりにある試合だったならば、きちんとチェックに行き、体を張って防いでいたことだろう。
表向きには戦っているように見えるが、選手のモチベーションを上げる要素がないのが、W杯の3位決定戦だ。ちなみに、FIFAから各チームに支払われる出場料(賞金とは意味合いがちょっと違うと思われる)をみると、3位決定戦をおこなうにもかかわらず、3位と4位は同じで約19億8000万円(2150万スイスフラン)である。※1スイスフラン=92円として。
ただ、さすがに開催国ドイツには、この日スタジアムを埋めたサポーターや、ここまで応援してくれた国民に、少しでもいい結果を残したいという気持ちはあったはずだ。そんな気持ちが、シュバインシュタイガーの右足にこめられたのだと思う。ポルトガルにはその気持ちを止める気力は感じられなかった。
シュバインシュタイガーのゴールは、3位決定戦らしいものだった。
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