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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



(2007/10/16 第29期スポーツマスコミ講座)

スポーツデザイン研究所が主催する「第29期スポーツマスコミ講座」の第1回に参加した。スポーツプロデュサー・杉山茂さんとスカパー・田中晃放送本部長の対談で、テーマは「スポーツ放送権とスポーツコンテンツの未来」だった。

この手の企画にありがちなとおり、対談の内容はテーマとはちょっとズレてしまったが、それはそれで十分に面白い話が聞け、2時間半があっという間に過ぎた。

元日本テレビで、1991年に東京で開かれた世界陸上の放送プロデュサーだった田中さんによる、1991年の世界陸上・東京大会と今年の大阪大会との比較は、とくに興味深かった。このあたりは、また別の機会に。

その中で、東京大会では2つの世界記録が出たという話になった。男子100m走、カール・ルイスの9秒86と男子走幅跳び、マイク・パウエルの8m95cmである。そのうちパウエルの記録はいまだに破られていない偉大な記録である。

「このときパウエルの跳躍を見た人は、いまだに世界記録の瞬間を見たことになるんです」と、田中さんは言う。その言葉で、ぼくのスポーツ観戦史のなかの苦い思い出がよみがえった。

ぼくは、その日1991年8月30日、国立競技場にいた。しかし、パウエルの大記録を見ていなかった。

その日、この大会の話題の中心だったカール・ルイスが、100m走に続き、走り幅跳びでも、何かやりそうな雰囲気があった。だから、ルイスの何度目かの跳躍を終えたところで、次の跳躍までの間にと、トイレにたったのだ。そして、国立競技場の通路を歩いていたとき、「ウォーッ!」という大歓声を聞いたのである。「もう、ルイスが跳んじゃったのか?」そう思って、近くにいた係員に、何が起きたのか尋ねると、パウエルが世界記録を出したと言うではないか。

なんとも間抜けな話だった。あの日、あの時、もう少しトイレを我慢していれば、大記録達成の瞬間を見ることができたのに……。



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