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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



箱根駅伝・復路
2008/1/3 NTV

2日間にわたって、約15時間、往復200km以上をカバーしなければならない箱根駅伝のテレビ生中継が、いかに困難であるかを、あらためて感じたシーンだった。

最終10区。駒澤大学がトップでゴールした後、東洋大学と日大による来年のシード権(10位以内)争いの中継に切り替わったときのことだ。

11位の日大が10位の東洋を追い抜こうとしたまさにそのとき、実況をしていたアナウンサーが、その前を走っていた東海大学の選手が倒れていることにはじめて気づいた。カメラが東海大学の選手を映したときには、監督が選手を抱きかかえ、医務車に乗せるところだった。

棄権するまでには、スピードが落ち、立ち止まるといった変調があるはずだが、そのときまで、東海大学の選手に関する情報はまったく放送されていなかった。5区順天堂大学、9区大東文化大学の棄権のシーンはしっかりと追っていたが、最終区の東海大学はノーマークだった。

3台の中継車と1台のバイクカメラで、20人のランナーを追い続けるのに限界があることは十分に理解できる。まして最終区となれば、先頭から最後尾まで10分以上、4、5kmの差がある。しかし、シード権争いに絡んでのシーンだっただけに、なぜ、それまでわからなかったのか不思議だった。運営車や沿道からの情報はなかったのだろうか。

棄権する選手については、あえて悲惨なシーンを映し続ける必要はないという意見もあるかもしれない。しかし、競技の経過を伝えるという点では、東海大学の変調に気づかなかった中継には不満が残った。

1区の大混戦から始まり、学連選抜が上位に入り、前年度優勝の順天堂大学を含む3校が棄権した激戦に、中継スタッフも翻弄されてしまったのだろうか。

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サッカー天皇杯・決勝
広島 0対2 鹿島
2008/1/1 NHK総合

他力で、2007年Jリーグの王者となった鹿島アントラーズが、広島に完勝して、王者の実力を証明した。とくに、小笠原が十二分にその存在感を示した試合だった。

好守の両面で完全に試合をコントロールしていた前半はもちろん、やや広島ペースになった後半も、鹿島の攻撃には緩急のテンポがあり、鹿島の守備はほぼ鉄壁だった。その中心には、常に小笠原がいた。試合後のインタビューへの応対も含めて、この試合で、あらためて小笠原の成長を感じた。

鹿島の攻撃に多く見られた大きなサイドチェンジには、必ず小笠原がからんでいた。先制点のきっかけとなったサイドチェンジを受けたのは小笠原だった。この試合、小笠原にボールが渡ると、鹿島の選手が瞬時に攻撃モードに切り替わった。ゴールに向かって動き出せば、小笠原から好パスが来ると信じていた。一方、前線からの積極的な守備網をはってボールを奪う場面や、逆襲狙いの広島の速攻の芽を摘む場面には、ほとんど小笠原がいた。

2007年シーズンの最後の試合となる、天皇杯の決勝で、シーズンを象徴するサッカーを見ることができた。それは、若手とベテランと、イタリアから戻ってきた小笠原がうまく調和したサッカーだった。勝ち続けることで、自信を膨らませたサッカーだった。

一方、来季J2が決まっている広島は、決勝進出におおきく貢献してきたエース柏木を出場停止で欠いていた。広島の、そして北京オリンピック代表の核である、王子・柏木なくして、王様・小笠原が君臨する鹿島に勝てるはずはなかった。


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