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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



全日本卓球選手権大会・最終日(その2)
2009/1/18 東京体育館


全日本卓球選手権大会、女子シングルスの決勝は、3連覇を狙う平野と元中国代表の王輝の対戦となった。フルセットにもつれ込む大接戦となったが、驚異の粘りをみせた平野が制し、大会3連覇を果たした。決勝戦にふさわしい見どころの多い試合だった。

平野は、王輝のカットボールのリータンに対して、攻め急ぐことなく、じっくりとラリーに応じた。ときに、延々と続くラリーのなかで、タイミングをはかりスマッシュを決める。平野のプレーの幅の広さと対応力が光っていた。準決勝で王輝に敗れた福原とは対照的だった。

一方の王輝は、ひたすら持ち味のカットボールで応戦する。まるでロボットのように正確なリターンが繰り返される。しかし、王輝のテクニックとともに、ベンチワークも冴えていた。

第4セットの序盤、平野に3対5とリードされたときだった。王輝が、明らかに、ラリーに根負けした表情を見せたとき、すかさず、王輝のコーチがタイムを取った。このセットを落とせば、もう後がないわけだから、タイムは当然の選択だったが、それが見事に功を奏す。王輝は、タイムアウト後、8点を連取して、このセットを奪い、セットカウント2対2にした。

そして、最終の第7セットにドラマがあった。まず、王輝がいきなり5対1とリードする。その5点のなかには、エッジボールが2つもあり、誰もが王輝に流れが向いたと思った。しかし、そこでコートチェンジをすると、今度は平野が勢いを取り戻し6対6の同点とする。平野の脅威の粘りに会場がどよめく。その後も、長く、しかも多彩なショットが繰り出されるラリーが続き、対戦している2人の選手のみならず、観客も我慢比べの様相を呈す。

さいごは、平野が9対8でリードのプレー中に、促進ルールが適用される。既定の回数内に決着をつけなければならないために、カットマンの王輝に少し動揺があったのかもしれない。いったん、9対9の同点になったものの、平野が2点連取して、勝負を決めた。

1時間以上の熱戦のなかに、卓球のさまざまな魅力が詰め込まれていた女子シングルスの決勝だった。



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全日本卓球選手権大会・最終日(その1)
2009/1/18 東京体育館


全日本卓球選手権大会の最終日は、女子シングルスの準々決勝以降と男子シングルスの準決勝、決勝が行われた。ぼくは女子のシングルスの行方に注目していた。

昨年、日本に帰化した、元中国代表の王輝が、全日本社会人卓球選手権に続いて、全日本選手権も制するのか。3連覇を狙う平野、初優勝を目指す福原、あるいはジュニアで敵なしの石川が立ちはだかるのか。

まず、準々決勝で、福原と石川が対戦。すでに、混合ダブルス、女子ダブルスでの優勝を逃した福原に残されたタイトルは女子のシングルスのみ。そのうえ、福原は、これまで、この大会でベスト4入りしたことがない。福原にとって大きな関門である。

しかし、試合は福原が、パワフルなショットを連発して、石川を圧倒した。第4セット、9対8とリードしたところで、サーブミスで同点にされても、動揺することなく勝ち切って、初のベスト4入りとなった。この試合、福原には相当なプレッシャーがあったのだろう。試合後、コーチのもとに戻ってきたときには、ほっとしたような満面の笑顔ながら、疲れきってコーチにしなだれかかっていくようなしぐさを見せた。

この結果、準決勝で、福原と王輝が対戦することになった。そして、この対戦は、セットカウント4対0で、王輝が完勝。もともとカットマンが苦手と思われる福原は、王輝の術中にまんまとはまったかたちになった。しつこくカットボールを返してくる王輝に対して、強引にスマッシュを決めようとするが、ことごとくネットにかかるか、アウトボールになってしまう。

福原は、今大会を目標に中国でトレーニングをしてきたという。その成果は、ベスト4を決めた準決勝までの勝ち上がりのなかに少しだけ見えたかもしれない。しかし、王輝との試合内容は、その成果をすべて打ち消してしまうような惨敗だった。日本のエースとしての気迫さえ感じられなかったのが残念だった。



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