3-2で勝利!
2点をたてづづけに奪われ、前半のうちに2人も交代カードを切るという荒療治に打って出ねばならなかったこと。チームの問題点の根深さを感じさせた失点については、猛省が必要ですが。
しかし、それでも。勝利への意志そのものを失っていたわけではありませんでした。
J2復帰という最大の目標を失った状態で何ができるかが問われた試合に、逆転勝利という答えを示したカターレ。
相手よりもなによりも、まず自分たち自身に負けないこと。
それを、長くJリーグに身を置く選手たちが結果でもって示した試合となりました。
昇格への道が閉ざされた状態にあっても、それでも勝利を追い求めねばならなかった試合。いかにモチベーションを上げて勝利へと邁進していけるかが問われました。
しかし、修正せねばならないことがわかり切っていた課題であったはずなのに、試合の入りの悪さをまたしても露呈。
前半などは、極端な話、カターレとセレッソU23で同じピッチにいながら別のルールで試合をしているかのようでした。
当然のように、相手ゴールを脅かして得点に結びつけるために意欲的に攻撃を仕掛けてきたセレッソ。それに対し、攻撃の積極性というものがまるで感じられなかった状態で、守備に追われることとなってしまっていたカターレ。
気持ちでは負けていないけれどなかなかうまくいかない、ならばまだ救いはあったけれど、そうではなく。まるで得点を奪わなければ!という意思が感じられないまま、相手の攻撃にさらされ続け。
因果応報というかなんというか。FW岸本 武流に連続ゴールを許し、早々と敗戦の可能性を引き上げてしまうことに。
機を逃さずに見事にゴールに結びつけた岸本の力は確かでしょうし、きちんと認められて称賛されるべきもの。
ただ、一方で。
決めた選手が特別に優れていたせいでどうしようもなかった失点というわけではない、ということ。セレッソに限らず、たとえほかのクラブであってもやはり決められてしまっていたかと。
要するに、それだけカターレの側が失点しても何ら不思議は無いようなプレーぶりだったことに対する報い、としか言いようのない失点であったかと思います。
なんだこの体たらくは、と。
そんななか、監督本人もシーズン初だと語った、負傷などの特別の事情がないなかでの前半のうちからの選手交代。
前半のうちに選手を替えることは、監督が準備してきたことを否定することにもつながる―――葛藤もあったでしょう。しかし、昇格という最大の目標を達成できなかったことを鑑みれば、そこで意地を張ってプライドを保つことはナンセンスであったのかもしれません。
すると、その交代がさっそく奏功。
代わって出場した敬介が、すぐさま持ち味の素早さをともなった積極的な攻めの姿勢を見せると、明らかにそれまでの流れとは異なる変化をチームにもたらしたのでした。
「負けている状況で途中から出場する経験は数多くしてきたので、なにをしなければいけないのかは分かっている。(リードを許したが)こっちのほうが力は上だと思っていた。みんなを鼓舞して「いける」という気持ちにできたのはよかった。」
「監督が早く動いてくれて、ピッチにいた選手も「今のままではだめだ」と気づいたと思う。早い時間帯だったので僕も一人ひとりに声を掛けることができた。」
その時の状況をそんなふうに語った彼ですが。
いまや唯一のチーム設立時からの生え抜き。幾多の経験をしてきました。その経験値が、劣勢のチームにあって何をしなければならないのかを明確にプレーで示した。そういうことだったのでしょう。
流れが変わり、「いけるぞ!」という雰囲気が盛り上がってきた38分。
衛藤が自陣から狙いすましたロングフィードを前線に供給すると、それがピンポイントで苔口に繋がり。得意のかたちに持ち込んだ苔口、見事に決めて1点を返すことに成功したのでした。
ベテラン選手同士の阿吽の呼吸がもたらしたゴール。これもまた、各々の経験値の積み重ねが効いたかたちであったかと。
試合前の選手紹介時、詰めかけたセレッソサポーターから多くの拍手を贈られた苔口。失点そのものはショックであったかもしれませんが、セレッソサポーターも彼の健在ぶりを示す“らしい”ゴールに、「ああ、やっぱり苔口だ」と感慨深かったことではないでしょうか。
そんな恩返しゴールから反撃の機運が高まる中、なお攻め続けたカターレでしたが、前半終了のホイッスル。前半のうちに追いつくことは叶わなかったものの、それを後半に託せるだけの姿勢を見せつつハーフタイムを迎えることとなりました。
そして後半。前半のうちにすでに2人も代えてしまったなかにあっては、スタミナ切れでばててしまった、などと言っている場合ではなく。なにがなんでもやり切る、という強い意志が求められました。
前半に続いてカターレのペース、そのなかで同点、逆転を虎視眈々と狙っていく展開が続くことに。
63分、イエローカードをもらってしまった脇本に代えるかたちで最後のカードとして西川を投入。背水の陣を敷き、勝負を託すことに。
77分、FKのチャンスからの攻防の最中、遠目から豪快に蹴りこんだ平出のシュートが決まり、同点に!
先のYS横浜戦での大逆転劇の決勝ゴールとなったときもそうでしたが、今回もまた、ここぞという場面で決めてくれました。
CBというポジション、上背もさほどないということで攻撃参加の機会が少ない彼ですが。勝負の勘所というものを知り、何をしなければならないのかを冷静に判断できる・・・それもやはり、経験がものを言ったかたちであったのかと。
同点に追いついたものの、それで終わるわけにはいかない。
88分、逆転を狙って力を振り絞るなか、西川のシュートは惜しくもバー直撃でゴールならず。
しかし、手応えを掴んでいたという彼の、アディショナルタイム。
國吉のCKを打点の高いヘッドで合わせ、見事にゴール!待ちわびたシーズン初得点は、貴重な逆転弾となったのでした。
同じく途中出場だった國吉と西川によるそのゴールも、何をしなければならないのかをしっかり判断できる経験値がものを言ったかたちであったと言えるかと思います。
そして、試合終了。
危うく得点差以上のダメージを被りかねない試合であったものの、それでもあきらめない反骨心を見せての勝利。昇格が叶わなかったチームにあっても、それでも!という姿勢を見せることで面目を保った試合とすることが出来たのでした。
もちろん、手放しで喜ぶわけにもいかず。
経験値の差がもたらした逆転劇は、若手選手の危うさを露呈したことの裏返しとも言えるかと。それは相手も同様で、試合展開、ペース配分などの経験がまだ充分でない若いU23クラブであったから逆転できた、という面も否定できません。
ある意味、前半で代えられてしまった萱沼、進藤には懲罰交代であったかもしれませんが。
この経験を糧としてほしい。
むしろ、これは成長するためのチャンスであると。自分を見つめ直して更なる飛躍につなげるためのきっかけなのだと。
試合を決めたのは経験豊富な選手たちですが、彼らとて、はじめからなにもかもがうまくいっていたわけではなく。さまざまな経験を積んできたからこその今であって。
シーズンも残るはわずかに1試合ですが。
成長を期すために、無駄な試合などない。
決意を新たに、シーズン最終戦に臨んでほしいと思います
2点をたてづづけに奪われ、前半のうちに2人も交代カードを切るという荒療治に打って出ねばならなかったこと。チームの問題点の根深さを感じさせた失点については、猛省が必要ですが。
しかし、それでも。勝利への意志そのものを失っていたわけではありませんでした。
J2復帰という最大の目標を失った状態で何ができるかが問われた試合に、逆転勝利という答えを示したカターレ。
相手よりもなによりも、まず自分たち自身に負けないこと。
それを、長くJリーグに身を置く選手たちが結果でもって示した試合となりました。
昇格への道が閉ざされた状態にあっても、それでも勝利を追い求めねばならなかった試合。いかにモチベーションを上げて勝利へと邁進していけるかが問われました。
しかし、修正せねばならないことがわかり切っていた課題であったはずなのに、試合の入りの悪さをまたしても露呈。
前半などは、極端な話、カターレとセレッソU23で同じピッチにいながら別のルールで試合をしているかのようでした。
当然のように、相手ゴールを脅かして得点に結びつけるために意欲的に攻撃を仕掛けてきたセレッソ。それに対し、攻撃の積極性というものがまるで感じられなかった状態で、守備に追われることとなってしまっていたカターレ。
気持ちでは負けていないけれどなかなかうまくいかない、ならばまだ救いはあったけれど、そうではなく。まるで得点を奪わなければ!という意思が感じられないまま、相手の攻撃にさらされ続け。
因果応報というかなんというか。FW岸本 武流に連続ゴールを許し、早々と敗戦の可能性を引き上げてしまうことに。
機を逃さずに見事にゴールに結びつけた岸本の力は確かでしょうし、きちんと認められて称賛されるべきもの。
ただ、一方で。
決めた選手が特別に優れていたせいでどうしようもなかった失点というわけではない、ということ。セレッソに限らず、たとえほかのクラブであってもやはり決められてしまっていたかと。
要するに、それだけカターレの側が失点しても何ら不思議は無いようなプレーぶりだったことに対する報い、としか言いようのない失点であったかと思います。
なんだこの体たらくは、と。
そんななか、監督本人もシーズン初だと語った、負傷などの特別の事情がないなかでの前半のうちからの選手交代。
前半のうちに選手を替えることは、監督が準備してきたことを否定することにもつながる―――葛藤もあったでしょう。しかし、昇格という最大の目標を達成できなかったことを鑑みれば、そこで意地を張ってプライドを保つことはナンセンスであったのかもしれません。
すると、その交代がさっそく奏功。
代わって出場した敬介が、すぐさま持ち味の素早さをともなった積極的な攻めの姿勢を見せると、明らかにそれまでの流れとは異なる変化をチームにもたらしたのでした。
「負けている状況で途中から出場する経験は数多くしてきたので、なにをしなければいけないのかは分かっている。(リードを許したが)こっちのほうが力は上だと思っていた。みんなを鼓舞して「いける」という気持ちにできたのはよかった。」
「監督が早く動いてくれて、ピッチにいた選手も「今のままではだめだ」と気づいたと思う。早い時間帯だったので僕も一人ひとりに声を掛けることができた。」
その時の状況をそんなふうに語った彼ですが。
いまや唯一のチーム設立時からの生え抜き。幾多の経験をしてきました。その経験値が、劣勢のチームにあって何をしなければならないのかを明確にプレーで示した。そういうことだったのでしょう。
流れが変わり、「いけるぞ!」という雰囲気が盛り上がってきた38分。
衛藤が自陣から狙いすましたロングフィードを前線に供給すると、それがピンポイントで苔口に繋がり。得意のかたちに持ち込んだ苔口、見事に決めて1点を返すことに成功したのでした。
ベテラン選手同士の阿吽の呼吸がもたらしたゴール。これもまた、各々の経験値の積み重ねが効いたかたちであったかと。
試合前の選手紹介時、詰めかけたセレッソサポーターから多くの拍手を贈られた苔口。失点そのものはショックであったかもしれませんが、セレッソサポーターも彼の健在ぶりを示す“らしい”ゴールに、「ああ、やっぱり苔口だ」と感慨深かったことではないでしょうか。
そんな恩返しゴールから反撃の機運が高まる中、なお攻め続けたカターレでしたが、前半終了のホイッスル。前半のうちに追いつくことは叶わなかったものの、それを後半に託せるだけの姿勢を見せつつハーフタイムを迎えることとなりました。
そして後半。前半のうちにすでに2人も代えてしまったなかにあっては、スタミナ切れでばててしまった、などと言っている場合ではなく。なにがなんでもやり切る、という強い意志が求められました。
前半に続いてカターレのペース、そのなかで同点、逆転を虎視眈々と狙っていく展開が続くことに。
63分、イエローカードをもらってしまった脇本に代えるかたちで最後のカードとして西川を投入。背水の陣を敷き、勝負を託すことに。
77分、FKのチャンスからの攻防の最中、遠目から豪快に蹴りこんだ平出のシュートが決まり、同点に!
先のYS横浜戦での大逆転劇の決勝ゴールとなったときもそうでしたが、今回もまた、ここぞという場面で決めてくれました。
CBというポジション、上背もさほどないということで攻撃参加の機会が少ない彼ですが。勝負の勘所というものを知り、何をしなければならないのかを冷静に判断できる・・・それもやはり、経験がものを言ったかたちであったのかと。
同点に追いついたものの、それで終わるわけにはいかない。
88分、逆転を狙って力を振り絞るなか、西川のシュートは惜しくもバー直撃でゴールならず。
しかし、手応えを掴んでいたという彼の、アディショナルタイム。
國吉のCKを打点の高いヘッドで合わせ、見事にゴール!待ちわびたシーズン初得点は、貴重な逆転弾となったのでした。
同じく途中出場だった國吉と西川によるそのゴールも、何をしなければならないのかをしっかり判断できる経験値がものを言ったかたちであったと言えるかと思います。
そして、試合終了。
危うく得点差以上のダメージを被りかねない試合であったものの、それでもあきらめない反骨心を見せての勝利。昇格が叶わなかったチームにあっても、それでも!という姿勢を見せることで面目を保った試合とすることが出来たのでした。
もちろん、手放しで喜ぶわけにもいかず。
経験値の差がもたらした逆転劇は、若手選手の危うさを露呈したことの裏返しとも言えるかと。それは相手も同様で、試合展開、ペース配分などの経験がまだ充分でない若いU23クラブであったから逆転できた、という面も否定できません。
ある意味、前半で代えられてしまった萱沼、進藤には懲罰交代であったかもしれませんが。
この経験を糧としてほしい。
むしろ、これは成長するためのチャンスであると。自分を見つめ直して更なる飛躍につなげるためのきっかけなのだと。
試合を決めたのは経験豊富な選手たちですが、彼らとて、はじめからなにもかもがうまくいっていたわけではなく。さまざまな経験を積んできたからこその今であって。
シーズンも残るはわずかに1試合ですが。
成長を期すために、無駄な試合などない。
決意を新たに、シーズン最終戦に臨んでほしいと思います