2月のシーズン開幕から月日は流れ、12月。長かった2024シーズンですが、それをさらに伸ばすかたちとなったJ2昇格プレーオフ。準決勝FC大阪戦を制し、決勝進出を果たしたカターレ。
いよいよ、ラスト。泣いても笑っても、今シーズンの決着がつく一戦となります。
ホームに松本山雅FCを迎え、昇格を勝ち取るためにすべてを賭けて戦う決勝。カターレ富山にとっての、J3最後の戦いに臨みます。
リーグ戦の最終戦から1週間後、リーグ3位から6位までの4クラブ、その思いがぶつかりあうこととなったJ2昇格プレーオフ準決勝。
先制ゴールを挙げながらも前半のうちに追いつかれ、その後は防戦一辺倒とも言える苦しい展開を強いられたカターレ。それでもFC大阪の猛攻をしのぎきり、ドローながらも上位アドバンテージによって勝ち抜け。ホームの期待に応えて決勝進出を果たしました。
同時刻に開催債れた、準決勝のもうひとつのカード。リーグ最終戦での終了間際劇的決勝ゴールによって、ホーム開催権を得た4位・松本山雅と、前の試合の段階で6位だったながらも、最終戦にしっかりと勝利して5位フィニッシュとした福島。
リーグ戦の勢いを継続したい両チームの対戦であったなか、先手をとったのはアウェイの福島。10分という早い段階で、「ミスター福島ユナイテッド」とでも言うべきベテラン・樋口 寛規のゴールによって先制。決勝進出には勝つしかないなかで、幸先良くリードを奪うことに。
追う展開となった松本山雅ではあったものの、追加点を許すことなく粘り強く前半をしのぎ切ると。後半は反転攻勢、攻撃が活性化するなかで65分に同点ゴールを挙げて追いつくことに成功、試合を振り出しに。
その後スコアは動かず、1-1のドローで終了。逆転勝利を挙げることは出来なかった松本山雅ではあったものの。ここでもまた、上位アドバンテージによって決勝進出となったのでした。
結果として、決勝は3位・カターレ富山と4位・松本山雅という、リーグ戦上位クラブ同士の対戦となったのでした。
欲を言えば、お互いにスッキリと勝って、存分に実力を示しながらの決勝進出としたかったところではありましょうが。
ただ、それでも。
同日に開催されたJ1昇格プレーオフ準決勝では、5位の岡山と6位の仙台が、それぞれホームの大声援を受ける相手に3点差をつける大勝で下剋上という、衝撃的な展開もありました。
リーグ戦終了翌週にすぐに開催されたJ2昇格プレーオフと、3週ぶりというインターバルがあったJ1昇格プレーオフとでは、一概に同条件として比較したものでもないのでしょうけれど。
とはいえ、そんな予想外どころではないことも起こり得るのがプレーオフの恐ろしさ。
史上初の開催となったJ2昇格プレーオフ。過去の傾向もなにもないなかで、ひとつ、準決勝をドロー勝ち上がりが2試合、という結果が出ましたが。
これが決勝にどう影響するのか。
なにぶん、誰も見たことのないJ2昇格プレーオフ決勝だけに。その行方は、はたして。
今シーズンの松本山雅とのリーグ戦での対戦は、1勝1敗。それぞれホームクラブが勝利するかたちとなりました。
4月の第11節の対戦では、1-3で敗戦。
奈良からエース候補として加入しながら怪我に泣かされていたFW浅川 隼人。その怪我明け復帰戦でもあった試合で、開始8分という早い段階にいきなりゴールを挙げてアピールすると。
30分に陽次の今シーズン初ゴールで追いついたまではよかったものの・・・52分に田川の自陣でのボール処理ミスを逃さなかった浅川に、再び決められてしまい。終盤にはさらに1点を追加され、アウェイで苦い敗戦を喫したのでした。
そのリベンジマッチとなったのが、ホームでの第25節でした。
その前の試合、アウェイ北九州戦で、0-2の敗戦を喫していたカターレ。夏の中断明け初っ端でいきなり躓いたかたちであったなか、連敗でシーズンダブルをくらうなどもってのほか、という状況での対戦でした。
41分に安光が先制ゴールを挙げてリードして折り返すと。後半も主導権を譲ることなくカターレのペースとし、ヨシキのゴールで差を広げ。さらに試合終了間際の90+4分には、井上のカターレ初ゴールでダメ押し。リベンジ達成、3-0という快勝を飾ったのでした。
ただ。
その前回対戦からも、もう既に3か月以上も経過した後の再戦とあっては。
これまでの対戦は参考程度とし、一旦白紙に戻して臨む必要があるかと。
長らくプレーオフ圏内になかなか届きそうで届かない時期が続いていた松本山雅であったものの、終盤戦にチーム状態が安定すると、リーグ戦ラストは5連勝フィニッシュ。右肩上がりに4位にまで順位を上げてのプレーオフ進出となりました。
方や、カターレのほうは終盤戦に連続勝ちなし時期が続いて足踏みをしてしまったものの。それでもドローながらも勝ち点を積み重ね続けたことが、3位フィニッシュの要因。最終的に松本山雅とは勝ち点4ぶん上回ったかたちとなりましたが、これが連続勝ちなし時期のドローで得たものだとするならば。その時期に耐えきれず敗戦、あるいは連敗とでもなっていたら、3位も無かった可能性も。
確かに、5連勝、最終戦での劇的アディショナルタイムゴールでの4位確定、プレーオフ準決勝では追いついてのドローなど、勢い的に優位なのは松本山雅と見る向きもあろうかとは思いますが。
それでも。
粘り強さ、ここ一番のしぶとさで3位につけたカターレ。リーグ最終戦では最強・大宮を破っています。
いや、それを言うならば、大宮にシーズン初黒星をつけたのは松本山雅、とも言えるわけですが・・・それでも、シーズン集大成の最終戦で黒星をくれてやったのは、ホーム2敗目をくれてやったのは、カターレにほかならず。
シーズン3敗しかしていない大宮、そのホームで2敗をつけた両チームながらも。
今シーズン、ホーム敗戦がいちばん少ないのは、大宮ではなくカターレ。
福島に喫した1敗以外、リーグ戦では負けていません。そして、プレーオフ準決勝でも負けませんでした。
福島が再び県総に来襲する可能性が無くなった、今。
カターレを止められるチームなど、無いのだ!プレーオフ決勝だろうが、例外無く!
こと、この最終決戦に至っては・・・期待する選手というか、誰が出場することになろうが、その選手たちにクラブの命運を託す以外にないわけで。
そのなかでも、あえて期待の選手を挙げるならば。
やはり、今シーズンのチームMVPに推挙したとして異論は無いであろう、安光でしょうか。チームMVPどころか、シーズン終了後のJ3アウォーズでのリーグベストイレブン選出も有力ではなかろうかと。
リーグ戦のホーム最終戦となった八戸戦、そして最終戦となった大宮戦の2試合連続で先制ゴールを挙げ、勝利に大きく貢献してみせました。その勝負強さ。
当然、松本山雅も警戒は厳としてくることでしょう。それでなくとも、前回対戦は安光の先制ゴールをきっかけに3失点して敗れているのだから。
それだけに。ここでもし、松本山雅を相手に再び安光が先制ゴールを挙げるかたちで、試合の主導権を握ったならば。
昇格には勝つ以外にない松本山雅にとって、先制されることのダメージは言うまでもないですが。そんななかにあっても、他のどの選手に決められるよりも心的ダメージが大きいのが、安光のゴールではなかろうかと。
だったら。
狙わない手は無いでしょうよ。
引き分けでも勝利扱いとはいえ。ドロー狙いだけに徹して逃げ切るなんてのは、さすがに虫が良すぎるかと。
勝つしかない松本山雅が、いつにも増してアグレッシブに来ることは確実。その勢いを逆手にとって、こちらがやり返してゴール挙げ、勝利に近づいていかねばならないならば。
闘争心を前面に出し、気迫のこもったプレーを得点に、勝利につなげてきた安光。
その力を、この大一番に遺憾なく発揮してほしいです。
そして、攻撃陣ではショウセイに期待。
もはや今シーズンのカターレを象徴する選手のひとりと言えるショウセイ。なんなら、今年がルーキーイヤーであることを忘れてしまうほどの存在感。
2月のゴーゴーカレースタジアムこけら落としのオープニングマッチで、衝撃の2ゴール。そこからリーグ戦全試合出場、ルヴァンカップでは3ゴールの活躍、上位カテゴリクラブに対してさえ後れをとりませんでした。
そんなシーズンの集大成にして、ラストマッチ。
ここで、決めてほしい。この先も続くプロとしてのキャリアにおいて・・・ストライカーとしての資質に大きな大きな影響を及ぼすであろうゴールでもって、その成長に比類なきブーストをかけてほしい。そう願います。
守備陣で期待したいのは・・・やはり、田川でしょうか。
期限付き移籍期間を延長して臨んだ2シーズン目。今シーズンもカターレの正GKとして活躍してきた彼ですが。
自らのミスが失点に、敗戦にまでつながってしまった、アウェイでの松本山雅戦の苦い記憶。前回対戦でクリーンシート、一定のリベンジは果たしたけれど。
ここでまた、この決勝戦で再び、松本山雅を完全に抑え込んでほしいです。
引き分けでも勝ち上がりですが、得点のほうは攻撃陣の奮起に期待するとして。
ゴールの番人として、無失点に抑えきること。ここしばらく失点してしまう試合が続いていますが、それだけに。この大一番で無失点を、クリーンシート達成を願います。
防御は最大の攻撃。相手に得点を許さなければ、負けることは無い・・・いや、この試合に関して言えば、「守り切ることで、チームを勝たせることが出来る」ということならば。無失点をやり遂げるしかないでしょうよ。
我らの守護神・田川の覚醒でもって、松本山雅の攻勢をシャットアウトしてほしい。そう、切に願います。
10年ひと昔と言いますが。
2014年にJ2から降格して以来、J3で10年。
もう、いいでしょう。
成績低迷、業績落ち込み、ユニフォームから胸・背中スポンサーが無くなるなど、いろいろなキツい経験を経て。
それでも、頑張ってきた。
頑張り続けて、今やJ2時代をも超えて、過去最高の収益を記録するまでに成長してきた。昇格へのファン・サポーターの思いというものも、かつてないだけの機運、熱量というものをひしひしと感じます。
だったら。
もう、報われてもいいでしょう。
このプレーオフ決勝戦で、カターレか松本山雅のどちらかが歓喜し、どちらかが涙することとなります。いずれの結果になったとしても、来シーズンの再戦はありません。
そんななかで。
「あとちょっと」が届かなくてJ3残留が決まってしまったーーーそれは、カターレが去年既に経験してきたこと。
カターレが勝って松本山雅にそれを味わせたとして、「1年前に通ってきた道」だとしか言いようがなく。
カターレが負けることで2年連続で繰り返す必要など、微塵も感じません。
雨予報というあいにくの条件での試合となるなか、大挙して押し寄せる松本山雅サポーターによって、過去最多かという動員が見込まれていますが。
相手が何人来るかで、カターレの未来が左右されることはなく。
去年の経験を踏まえて「1周前」を行くカターレが、お先に失礼、J3からの“あがり”を成し遂げる。それ以上でもそれ以下でもない。ただそれだけのことです。
実に48試合を数える、カターレの今シーズン公式戦。
ルヴァンカップで初戦敗退、天皇杯予選となる県選手権で敗退、さらにプレーオフ不出場という最少限の試合数であった場合、40試合止まりとなることを思えば。まさに120%の頑張りをもって駆け抜けてきたシーズンと言えます。
そんなシーズンの、最後の戦い。現行メンバーで臨む、ラストゲームとなります。
この試合で、駆ける。この試合に、賭ける。
勝って、J3からの卒業、未来を切り拓く一戦とする!
思いは、ひとつ。
10年間も願い続けてきたJ2昇格を、今こそ成し遂げる!
時は、来た。
渾身の力を込め、思いを込めて。
勝たれ!!!富山!!!!!