2階の寝室の月めくりカレンダーが2月のままだった。
2月をめくり、3月をめくって、ひなまつりも春分も飛んでしまっていたことに気付く。今日も通夜があって会葬に行く。殿の葬儀の後、今日で5回目だ。季節の変わり目で不安定な毎日のせいか。人が亡くなることが日常みたいになってきている。朝、新聞を見るのが怖い。
朝ドラ「マッサン」を、爺さんの葬儀の朝、葬儀場に泊まっていたのでみんなで観ていた。姑は「最終回ちゅうもんは、おもしろない。今までのまとめをするだけや・・」と言っていたが、まさしくその通りで、次はどうなるのかというわくわく感はない。しかし、今回エリーがマッサンに手紙を残していた。最後に「毎日寝るときに、わたしを思い出しておやすみと言ってください」と、手紙の終わりのことば。
家で、殿のカバンを見たが手紙はなく、処理しなくてはならない証書や通帳がきちんと入っていた。ファイルには順番に年金や保険証書が綴られていた。殿は事務仕事は本当にきちんとしていた。手紙はない。
試しに、寝る前に「おやすみ。茂さん」と、言ってみたが、これはいかん。自分の声がむなしく響くだけで、それが耳に入ってよくない。闇に吸い込まれて自分の声が彷徨うようだ。これは残酷だ。
試しに、朝起きて「おっはよーーー。茂ちゃん」これはいい。太陽に向かって言うのである。雨でもよい。とにかく外に向かって言う。その時は、体も起きているので「ほいじゃ、テレビ体操でもすっか・・」となる。
改めて、3月はどこへ行ったのだろう。