協議のなかで朝鮮半島情勢がテーマになり、北朝鮮の核・ミサイル開発に関して、ヘーゲル国防長官が、「(日米韓)3カ国の協力が重要だ」と強調したのに対して、小野寺五典防衛相が「早急に日韓防衛相会談を行いたいと韓国側に求めている」と応えたという。
しかし、韓国の朴槿恵大統領が9月30日、米韓定例安保協議会(SCM)に参加のため訪韓中のヘーゲル国務長官と会談した際、「歴史や領土問題で後ろ向きの発言をする(日本の)指導部のせいで、信頼が形成できない」と安倍晋三首相の対応を批判するとともに、「歴史認識問題」(元慰安婦、竹島問題など)で、「日本政府が誠意ある姿勢を見せない限り、首脳会談は困難だ」とどこまでも「意固地な態度」を露骨に示している限り、ヘーゲル国務長官の希望は、叶えられそうもない。
◆米国オバマ大統領は、世界支配層(主要ファミリー)からの指令を受けて、北朝鮮(金正恩第1書記=元帥)による「朝鮮半島統一・大高句麗国建設計画」を水面下で着々進めているので、朝鮮半島の軍事情勢で危険な存在は、むしろ、韓国軍の方である。北朝鮮軍が朝鮮半島統一を目指して「南進」を開始した場合、韓国軍が猛烈に反抗してくることが予想される。
そのとき、駐韓米軍は、どうするか。米軍は、「朝鮮半島で米軍将兵を犠牲にしたくない」という考え方から、首都ソウルから南部へ兵力を後退させており、しかも、朝鮮半島有事の際の指揮権(戦時作戦統制権)を当初2012年4月の返還することで合意していた。だが、韓国側の要請で2015年末に延期してきた。ヘーゲル国防長官は、米連邦政府が
「財政ピンチ」の状況下、国防費の強制削減を断行せざるを得なくなったことから、再延期に難色を示した。これは、「もはや韓国の面倒は見切れない。面倒なことに巻き込まないでくれ」ということを意味している。もっと冷たく言えば、ヘーゲル国防長官は、韓国から手を引きたがっており、「平和裏に朝鮮半島統一に応じて欲しい」と突っぱねたということである。
しかし、それでも、ヘーゲル国防長官と韓国の金寛鎮(キムグァンジン)国防相が10月2日、ソウルで定例安保協議を開き、北朝鮮の核や大量破壊兵器による攻撃を事前に探知し、先制措置を取る「状況に応じた抑止戦略」で合意できたのは、ある意味で、ヘーゲル国防長官の金寛鎮国防相に対する「武士の情け」でもあった。
◆日本は、韓国の「同盟国」ではない。安倍晋三首相は、駐留米軍との関係で、「集団的自衛権行使」を容認しようと躍起になっているけれど、ヘーゲル国防長官が「(日米韓)3カ国の協力が重要だ」といかに強調しようとも、朝鮮半島有事の際に、自衛隊が韓国軍を支援したり、守ったりするために出動することはあり得ない。安倍晋三首相は朴槿恵大統領をとっくのむかしに切り捨てている。
だから韓国軍が、たとえ北朝鮮軍に壊滅されそうになったとしても、静かに見殺しにするしかない。それが、残念ながら平和憲法を戴く日本の立場なのであるから如何ともし難い。また、韓国の朴槿恵大統領はじめ韓国民全員は、憎むべき「旭日旗」をバタバタはためかす自衛隊が駆けつけることは、たとえ死んでも絶対に望まないに違いない。
ということは、ヘーゲル国防長官の発言は、朴槿恵大統領らに対するただの「リップサービス」に過ぎない。日本も、韓国が、いかような運命になろうとも、一切関わらないのが、得策である。これからは、消滅してしまう韓国との関係改善に力を入れても、無駄である。それよりは、「第2の日本」と言われている北朝鮮をバック・アップして、「北朝鮮開発利権」の獲得に力を入れるに限る。
【参考引用】毎日新聞が10月2日午後9時14分、「米韓:北朝鮮へ『先制措置』 抑止戦略で合意」という見出しをつけて、以下のように配信している。
「【ソウル大貫智子】ヘーゲル米国防長官と韓国の金寛鎮(キムグァンジン)国防相は2日、ソウルで定例安保協議を開き、北朝鮮の核や大量破壊兵器による攻撃を事前に探知し、先制措置を取る『状況に応じた抑止戦略』で合意した。一方、朝鮮半島有事の際の指揮権(戦時作戦統制権)を米韓連合軍から韓国軍に返還する問題については、事務レベルで引き続き協議を続けることとした。抑止戦略は、北朝鮮の核兵器使用の状況を『脅威』『使用間近』『使用』の3段階に分けた対応策を定めた。韓国メディアによると、段階ごとに外交や軍事による対応策をまとめており、『使用間近』では米韓両軍の戦力を総動員するという。
協議後の共同記者会見でヘーゲル長官は『特に憂慮するのは北朝鮮の核や弾道ミサイル、化学兵器だ。化学兵器使用は絶対に認めない』と述べ、化学兵器使用を受けた攻撃が回避されることになった米国のシリアへの対応が北朝鮮に対する誤ったシグナルにならないよう強くけん制した。北朝鮮は1日の韓国の軍事パレードを批判しており、今回の米韓協議を受けてさらに反発を強めるとみられる。指揮権返還問題は、当初2012年4月の返還で合意していたのを韓国側の要請で15年末に延期。北朝鮮の3度目の核実験(2月)などを受けて再び韓国側が先送りを求めた経緯がある。米側は国防費の強制削減への対応などから再延期に難色を示す一方、米主導のミサイル防衛(MD)システムへの参加を強く求めてきた。韓国はMDに反発する中国への配慮もあり、迎撃範囲が狭い独自の防衛システム(KAMD)を開発しているが、会見でヘーゲル長官は『相互運用性がなければならない』と述べ、韓国に協力強化を求めた」
※Yahoo!ニュース個人
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まえがき
第 1 章 TPPとアメリカの食糧支配
第 2 章 TPPの最大のネライは保険だ
第 3 章 TPPで日本医療界への食い込み ―― 国民皆保険制度の崩壊
第 4 章 TPPで雇用はどうなる ―― 解雇自由の法制化
第 5 章 米国「軍産協同体」が防衛省を食い物に ―― 米国の肩代わりをする「国防軍」の建設
第 6 章 米国が日米事前協議で日本政府に強い圧力をかける
第 7 章 日本のTPP参加に向けての経緯
あとがき
本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
カート・キャンベル前国務次官補が日本政治への影響力は「ジャパン・ハンドラーズ」だけではないと力説
本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
「ジャパン・ハンドラーズ」が「新帝王」に指名されている小沢一郎代表への「総理大臣待望論」を強めている
◆〔特別情報①〕
米国のいわゆる「ジャパン・ハンドラーズ」(日本操縦者)と言われている「知日家=親日家=日本利権掌握者」をはじめとする有識者の多くが、このところ、世界支配層(主要ファミリー)から「新帝王」に指名されている小沢一郎代表への「総理大臣待望論」を強めてきているという。これは、日米関係に詳しい専門家筋からの最新情報である。日本国内では、小泉純一郎元首相が、小沢一郎代表の持論である「原発ゼロ政策」と同様の論陣を張り始めており、中央政界は動揺している。