きょう7月13日発売の週刊現代(7月25日ー8月1日号)で、佐藤優氏が藤崎一郎元駐米大使の虚偽発言についてこれ以上ない激しさで糾弾している(「佐藤優の人間観察」)
これには驚いた。
彼が叩く外務官僚は水に落ちた犬であって、権力に守られている外務官僚は、ほめることはあっても批判することはなかったからだ。
藤崎一郎は谷内正太郎が外務事務次官当時に駐米大使にさせてもらった仲良し同期だ。
その谷内正太郎はNSC事務局長として安倍政権の側近だ。
当然ながら藤崎も権力に守られている。
その藤崎を佐藤氏がここまで糾弾するのは異例だ。
その理由は何か。
一つはもはや嘘をついたことはごまかせない、だからくら批判しても大丈夫だ、ということだ。
しかし、同時にこの藤崎発言の嘘を追及すれば、辺野古移設を阻止できるかもしれないという判断が働いたのかもしれない。
佐藤氏はいまや辺野古移設問題に反対する沖縄の側に立っている。
それが本気であるという証拠である。
実際のところ、もしこの藤崎虚偽発言疑惑が日本の政治で大きな問題に発展していけば、米国の政治を動かさないわけにはいかない。
忘れ去られていたこの藤崎発言の疑惑が再燃したのは、クリントン元国務長官の個人メールアドレス流用疑惑が米国政治内で問題になったからである。
すなわちクリントン元国務長官は個人用メールアドレスを使って外交のやり取りをしていたことが明らかになり、それが国益を損ねた疑いがあると批判
されている。
おりからクリントン元国務長官は大統領選に出馬して、大統領選挙に勝つためにはメールを公表して疑惑を晴らす必要があった。
その結果、図らずも藤崎大使のウソ発言がばれたのだ。
まさしく米国大統領選挙がらみのスキャンダルとなって、米国の政治に跳ね返るおそれがでてきたのだ。
日本のウソに加担して辺野古移設を強行しようとしたのかとクリントン候補が批判されるようなことになれば、大統領選挙の帰趨にも影響を与えざるを得ない。
そうなれば、もはやクリントン候補を応援する民主党のオバマ政権は辺野古移設を強行することは困難になる。
私が藤崎大使のウソ発言が辺野古阻止の決め手になるかもしれないと書いたのはまさにここにある。
辺野古移設に反対する国会議員は、いまこそ藤崎大使を国会に招致し、虚偽発言について徹底追及すべきだ。
それはとりもなおさず対米従属の安保法制案阻止にもつながっていく(了)