2015年07月26日 15時26分37秒 | 朝日デジタル
反戦や平和について語った瀬戸内寂聴さん(左)と美輪明宏さん=長崎市
僧侶で作家の瀬戸内寂聴さん(93)と歌手の美輪明宏さん(80)が25日、被爆70年を迎える長崎市で対談した。安倍政権が安全保障関連法案の成立を急ぐなか、自身の戦争体験に触れつつ「このままだと第2次世界大戦と同じようにひどい目に遭う」と訴えた。
この日、長崎県美術館で開幕した寂聴さんの半生を紹介する特別展(8月31日まで)の関連イベントで、約2千人が来場。寂聴さんが「だんだんと戦争の時代に似てきている」と語ると、長崎市出身で被爆者でもある美輪さんは、自民党の勉強会で報道を威圧する発言が
『反戦や平和について語った瀬戸内寂聴さん(左)と美輪明宏さん=長崎市僧侶で作家の瀬戸内寂聴さん(93)と歌手の美輪明宏さん(80)が25 日、被爆70年を迎える長崎市で対談した。安倍政権が安全保障関連法案の成立を急ぐなか、自身の戦争体験に触れつつ「このままだと第2次世界大戦と同じよ うにひどい目に遭う」と訴えた。安保法制「絶対に廃案にして」 瀬戸内寂聴さん訴えた。この日、長崎県美術館で開幕した寂聴さんの半生を紹介する特別展 (8月31日まで)の関連イベントで、約2千人が来場。寂聴さんが「だんだんと戦争の時代に似てきている」と語ると、長崎市出身で被爆者でもある美輪さん は、自民党の勉強会で報道を威圧する発言が出たことや安保関連法案を念頭に「国会議員が言い出しっぺの責任を取って鉄砲を担いで鉄かぶとをかぶって、まず 第一に兵隊として出ていただくのがよい」と述べた。美輪さんは、戦時中に見た光景を涙をこらえながら紹介。戦地に赴く息子の足にしがみつき、「どんなこと があっても死ぬなよ」と叫ぶ母親が憲兵に突き飛ばされ、鉄柱にひたいをぶつけたという。「戦地で死んだ息子が最後に見た母親が、憲兵に突き飛ばされて血だ らけになった姿。情けないじゃありませんか」「今また、同じことをやろうとしている。責任が重いのは選挙民。それを支持しているわけだか寂聴さんが最後、 「いい戦争はない。戦争は集団人殺し。命をかけて反対する」「長崎と広島は世界にない、原爆のひどい被害に遭っている。みなさんが先頭に立って戦争に反対 してください」と呼びかけると大きな拍手が起きた。(岡田匠)
昨日、本サイトで、スタジオジブリの宮崎駿監督が、外国特 派員協会主催の記者会見で、安倍政権を痛烈に批判したことをお伝えした。同じく高畑勲監督もまた安保法制と改憲への動きに強い懸念を表明しているスタジオ ジブリだが、そんなジブリが無料で配布している小冊子「熱風」の8月号で、ある人物が舌鋒鋭く安倍首相をこき下ろしていることは、まだあまり知られていな いだろう。 その人物とは、ジブリ作品にも声優として参加している、あの、美輪明宏だ。「熱風」で始まったジャーナリスト・青木理氏によるインタビュー連載で、第一回のゲストとして登場。「戦後70年」をキーワードにするこの対談のなかで、美輪は安倍首相らにこんな提言をしている。 「(人 間は)失敗を繰り返してばかりいる。安倍さんや、石破(茂)さんや、麻生(太郎)さんにしても、みなさん、言い出しっぺの責任を取っていただいて、徴兵制 になるならば、まずご自分が、年齢に関係なく、鉄砲を担いで、鉄兜をかぶって、まず第一線に出ていただく。それから、お子さんも、孫も、きょうだいも、そ れから娘さんのボーイフレンドも、全部一緒に連れ立って第一線に、まず最初に出ていただく。もちろん一兵卒でね」 それほど戦争がしたい のならば、首相自ら親族も含めてお手本を見せてもらいましょう──記事を通読すれば、これは冗談でも皮肉でもなく、美輪の本気だということがわかる。ある 年代より下の人たちからしてみると、あの紅花色の髪色と『オーラの泉』などでの“スピリチュアル”イメージが強いだろうが、今年80歳になった美輪は、長 崎で原爆にも被爆している戦争体験者である。青木氏との対談のなかでは、むしろ冷徹なまでの口調で安倍政権の本質をえぐり、安保法制について、自身の戦争 体験談を交えながら分析する。 「私は笑ってますね。学習能力がないということでしょう。第二次大戦と同じ。歴史に学んでいないんです。 日本は、実は戦争ができない国、不可能な国です。大正10(1921)年に暗殺された原敬が言っていたように、日本には何の資源もない。石油も鉄もニッケルも、何も採れない。食料自給率もいまや40%を切って、ほとんど輸入に頼っている」 「とにかく知力が足りないんです。あるのはやまいだれの方の『痴力』。それと情念。それだけ」 美輪は、太平洋戦争は“横綱に赤ん坊が戦いを挑んだようなもの”として、日本が「知力が足りない」為政者によって、いかに無謀な戦争へと突き進んでいっ たか強調した上で、安倍首相が「またそれと同じようなことをやろうとしている」と言うのだ。そして、“現在の日本は世界最強のアメリカの手先になろうとし ている”と指摘する青木氏に対し、こう返す。 「そんなに甘く考えたら大間違いですよ。だって、アメリカ国債を世界で一番持っているのは日本だったけれど、それが追い抜かれちゃって、中国が世界一に なった。最近、中国がちょっと景気減速して日本がまた抜き返したけれど、それでも中国はアメリカ国債を大量に保有しています。アメリカ経済をガタガタにし ようと思ったらできる。なのになんでアメリカが日本だけの味方をしてくれます? 甘いですよ」 さらに、安倍首相が安保法制で法制化させようとする自衛隊による後方支援については、「要するに兵站でしょう」「その兵站を叩くのは戦争の常識です。そ こらへんのシビアさというのは、戦時中の人間でないとわかりません。戦争ってそれぐらい卑劣なものですから」と断じて、さらにこう畳み掛けるのだ。 「もうひとつ、日本は(戦争を不可能にする)抑止力を自分たちで作っちゃったんです。原発です。日本の沿岸をなぞるように50数カ所も原発を作っちゃった。今は特攻隊の時代じゃない。ミサイルや無人爆撃機の時代です。原発を狙われたら一巻の終わり」 美輪は、安倍首相が防衛力増強の重要性を語りながら、その一方で国防上の弱点である原発という“爆弾”を維持し続けているという矛盾を鋭く指摘。そして 手厳しい批判を、安倍政権だけでなく、選挙で与党に票を投じた人々にも投げかけるのだ。冒頭に引用した“安倍首相とその家族自らが先に戦地へ行け”という 発言は、こう続く。 「それから、それに賛成している選挙民の人たちも、ご自分が支持して選んだんだから、選挙民もまず一家を挙げて、どうぞ出征してくださいって。男の方たちは、ご自分が殺し、殺されにいきたいんでしょ。どうぞ、いらしてください。それだけですよ」 そこで青木氏が、こうした国民に対して伝えたいことはなにか?と訊いても、「別にないですね。そのときにならなければ人間というのはわからないんです」と冷たく言い放つのだ。 美輪がここまで国民の責を問うのにはわけがある。たしかに安倍自民党は、先の衆院選でアベノミクスによる経済成長を掲げて議席を守った。しかし美輪は、 安倍政権の真の狙いが安保法制であることを早くから見抜き、メディアを使って発信してきた。たとえば衆院選の直前、スポーツニッポンのインタビューではこ う語っている。 「国民は経済問題ばかりに目を奪われてはいけません。実はその裏に日本の将来を揺るがしかねない重要な争点が隠されているのです。それは、『集団的自衛 権』行使の問題です。(略)きっと首相は、国会で自分の都合よく安保関連法案を通すためには、この時期に選挙をしておくのが最も良いタイミングと判断した のでしょう。(略)ここで再び衆議院で安定多数の議席を確保しておけば、「国民からの信任を得た」と、任期の向こう4年間、首相はやりたい放題好き勝手 に、きな臭い「積極的平和主義」とやらを進められると踏んだに違いありません。(略) いつの時代も犠牲を強いられるのは、弱い立場の人間なのです。こういう世の中で果たしていいのでしょうか。そういう流れを止めるのも、有権者みなさんの 大切な1票に他なりません。よくお考えになり、投票所に足をお運び下さい。日本の未来を良くするも悪くするもあなたの責任なのですから」(「スポニチア ネックス」14年12月12日) 少なくともあのとき、国民は安倍政権の本質を見抜いていなければならなかったのだ。いち早く安倍政権が目指す「戦争のできる国」に抗ってきた美輪明宏だからこそ、忸怩たる思いで「殺し、殺されに行け」と強い言葉を投げかけるのだろう。 美輪が言うように、「そのとき」になるまで、われわれは過ちに気がつけないのか。現在の安倍政権は、誰がどう見ても、完全に“暴走状態”に突入してい る。そんななか、われわれにできることはなにか。ひとつは、国民の声で安倍政権の支持率をさらに下げ、解散に追い込み、次なる選挙で自民党にだけは投票し ないようにすることだが──。 |
※ 戦争体験の無い戦後生まれの私は、 何も申し上げれません。皆さん御高覧下さいませ。