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浅野秀弥の未来創案
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【枚方市長選の意味】
大阪日々新聞2015年9月7日
知事市長ダブル選の教訓に
先月30日投開票された枚方市長選で、大阪維新の元府議が、自・民・共が担いで3選を目指した現職を破り初当選。既に政界引退を表明している橋下市長は公用の会議や集まりを無理やりぎみに同市で開催させてまで元府議の応援に入った。
その間、国政政党「維新の党」は橋下氏の言動に振り回されっぱなしで、結局松井・橋下両氏は同党を離党し「大阪維新を国政政党にする」と表明した。その一連の騒動が維新の知名度を上げた形で、枚方市長選では維新が3千票弱の僅差での勝利に終わった。
注目すべきは、小選挙区から選出の自民佐藤ゆかり衆院議員が現職市長を推したのに、今春の統一地方選で落選した前自民府議が造反し、他の第3の候補者を推した点だ。こうしたゴタゴタが影響して現職市長が公明の支持を取りつけることができなかった。つまり、維新勝利の裏には秋の知事・大阪市長ダブル選の行方を占う上で、最も重視すべき「公明の支持」と「自民内の足並みの乱れ」という要素がダブルで反映されている。
先の統一地方選で松井知事の地元・八尾市で維新は市長候補を擁立したが、反目の現職に大差で敗れており「結局、橋下が積極的に動いた時だけしか勝てない。松井がトップでは将来性なし」というワンマン政党だ。
良く言えば「君子豹変(ひょうへん)す」、悪く言えば二枚舌どころか3枚も4枚も舌がありそうなのが橋下氏だ。その場の思い付きだけで発言、前言を修正したり撤回せぬまま新たな考えを披露するから周囲は混乱し戸惑う。近い人物が何度も説明し「この点には触れないで」とくぎを刺しても、勝手に持論を展開。そうしたやりとりに疲れ果て、去った人も多い。
橋下氏の周囲に真のブレーンは少ない。いるのは彼の人気に乗り議員バッジをつけたい連中か、「既得権打破」のお題目に乗って代わりに自分が後釜利権を得たい連中、または既存組織で冷や飯を食って同氏を介しリベンジしたい人だ。
社会情勢の変化に添って常に改革は必要だが、仮想敵を作り上げ常に戦いに明け暮れているだけでは息の長い行政は立ちゆかない。
あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済連合会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。