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浅野秀弥の未来創案
【維新の本心透ける選挙】
2016年5月26日大阪日々新聞
議員はもっと勉強を
おおさか維新の会という政党の行動を見ていると一定の法則がある。先の衆院京都3区補選では、近畿一円の地方議員を総動員し、個々に駅立ち何回、握手何人、ビラまき何枚、戸別訪問何回、桃太郎と呼ばれる街頭を歩きながらの選挙運動何回と細かくノルマを決めてやらせる。
要領が悪く達成できなかった議員は、松井一郎大阪府知事ら党幹部から厳しく叱られる。同補選に限らず、7月の参院選でも同じ事が繰り返されるだろう。維新幹部たちは地方議員を単なる「選挙要員」としか見ていない事が読み取れる。これでは、地方行政立案遂行に役立つ議員に成長するための勉強時間がほとんどない。
なぜここまで首長や国政議員にそれほどこだわるのか? それは首長には地方利権があり、国会議員はその数により政党助成金が党に入るからだ。
国会、地方とも「他党育ちのベテラン議員」が多いのも特徴の一つだ。定められた定年制で後進に道を譲るべき人たちや、トラブルを起こしお引き取りを頂いたはずの人までが、維新から当選してまるでみそぎを済ませた顔つきで跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)している。夏の参院選でも同様の候補者が何人か擁立されよう。
選挙に勝つ事は確かに大事だ。しかし、政策や国と地方の行政に関わるための政治理念はもっと大事なはず。血の通った人材育成をしないと、新時代の政党としての存在は見いだせない。“橋下チルドレン”と言われた新人議員の“その後”の動静を有権者はしっかり見極めた方がいい。無所属に転じた“政界のエリカ様”こと上西小百合衆院議員タイプは1人ではない。
そこには「おおさか維新の会は、素晴らしい改革勢力」という有権者への信じ込ませ方のテクニックに最大の秘密がある。過去を検証すればすぐ分かる。既得利権解消と言いながら、実は古くから持ち続けていた組織からそれを引っぺがし、自分たちの息が掛かった別の組織に移し替えているに過ぎない。
そう考えると、再びゾンビのようによみがえってきた大阪都構想が「いったい誰のためなのか?」を、皆は立ち止まって十分吟味する必要がある。
あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。