<独自>万博PR船が座礁、交代へ 世界一周は断念 ポケモンと並ぶ盛り上げ役が…
2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)が万博を盛り上げるために「スペシャルサポーター」として任命した船舶、ポリマ号が、インド・ムンバイ沖で座礁して損傷し、当初予定していた世界各地でのPR活動ができなくなっていたことが1日、分かった。ポリマ号は人気キャラクター、ポケットモンスターとともに協会公式の盛り上げ役として期待されていた。運航するNPO法人は計画していた世界一周は取りやめ、代わりの船を用意して日本でのPR活動に切り替える。
【写真】落合陽一氏が手がけるパビリオンの外観。鏡のような建物の外観
運航するNPO法人・ゼリ・ジャパン(東京)は万博に出展する13の民間企業・団体の一つ。夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)の会場では、「ブルーオーシャン」がテーマのパビリオンを出し、海洋汚染防止や海の持続的な活用を訴えることにしている。
当初の計画では、化石燃料を使わず太陽光や風力、水素エネルギーで動かすポリマ号を万博の会期前から運航。世界の寄港地で海洋プラスチックごみに関する啓発活動や万博のPRを行い、万博開催中の令和7年に大阪港に入る予定だった。
万博協会は4年3月、ポケモンに続くスペシャルサポーターとしてポリマ号を任命。「SDGs(持続可能な開発目標)のゴール達成への貢献を掲げる万博のプロモーション活動にご協力いただく」としていた。
■インド・ムンバイ沖で座礁
関係者によると、ポリマ号は3年12月、万博協会からのメッセージを託されて大阪港を出港し、4年3月に当時開催中だったドバイ万博に到着。8月にインド・ムンバイから次の目的地のモルディブに向かおうとした数時間後、ムンバイ沖で座礁した。ポリマ号は現在まで、費用などの問題で修理ができない状況が続いているという。
本来、ポリマ号は4年8月にモロッコでの大規模な改装を行ってエンジンや太陽光パネルなどの装備を更新し、ブラジルなどを経由してパナマ運河を通過、米国本土やハワイを訪ね、7年に大阪港に帰る計画だった。座礁を受けて同法人は世界一周を断念し、代わりの船を用意して、日本各地での万博のPRや、瀬戸内海クルーズを行うことを検討している。
ポリマ号に代わる船として、大阪市がかつて所有し、現在は民間が所有している帆船を購入する手続きが進んでいる。この帆船の動力にはディーゼルもあるが、同法人は環境に配慮した燃料に替えて使う意向だ。
万博協会は昨年8月、ポリマ号に関し「悪天候によりインド沿岸の海岸に緊急停泊した」と発表して以降、情報を発信していない。協会によると7月31日現在でポリマ号の同サポーターの任は解いていないといい、今後の活動や代船のサポーター任命については「現時点で新たにお伝えできることはない」としている。(井上浩平)
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