2023年8月19日(土)
混迷 大阪・関西万博
建設遅れ・費用膨張…
カジノと一体推進 維新と自公政権の責任
2025年4月に大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)で開幕予定の大阪・関西万博で、海外パビリオンなどの建設の遅れが深刻になっています。会場建設費も上振れしており、関連の事業費も含めて、府民・国民の負担がどこまで広がるのかわかりません。民意無視のカジノ誘致計画や大型開発と一体になった夢洲での開催に固執してきた日本維新の会と自公政権の責任が改めて問われています。(藤原直)
「現在の一番の課題は、海外パビリオンの整備だ」―。9日に開かれた大阪府市の万博推進本部の会議。日本国際博覧会協会(万博協会)の髙科淳副事務総長はそう説明しました。資料では、参加国が自前で建設する形式(タイプA)の建物について「参加国側の設計等の遅れや日本国内の施工事業者の需給逼迫(ひっぱく)にともない、契約が進んでいない状態」と報告しています。
万博のパビリオンを巡っては、150超の参加国・地域のうち、56カ国・地域が自前で建設する予定ですが、資材価格高騰や人手不足などの影響で建設業者との交渉が難航。建設工事に必要な許可申請書が1件も出されておらず、その前段階の基本計画書を大阪市に提出しているのは、韓国とチェコの2カ国のみにとどまっています。
工事着手の許可が出るまでの審査には約2カ月かかるとされ、工事開始は早くても9月以降になります。協会の想定する24年7月の建築作業完了まで1年もない状況です。
21年3月の万博関係府省庁連絡会議の初会合では、22年度までに設計・申請等を済ませ、23年度から工事に移るスケジュールが示されていました。深刻な遅れが生じていることは明らかです。
今年7月には、万博協会の石毛博行事務総長が「年末までに着工すれば間に合う」との認識を示したことに、日本建設業連合会の宮本洋一会長が「何が根拠なのかわからない」と定例会見(7月21日)で突き放す一幕も。同26日には宮本氏が万博延期について「ひとつの選択肢」と語った産経新聞社のインタビューも報じられました。
万博 政府、維新なりふり構わず
建設労働残業規制外し画策
不払い肩代わりの保険創設
万博工事の遅れを挽回するために協会と政府は、なりふり構わぬ動きをみせています。
7月下旬、万博協会が、万博工事に従事する建設労働者を、2024年4月から適用される残業時間規制の対象外とするよう政府に要望していると報じられました。