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ミートローフ、ボニー・タイラーらのプロデューサー/ソングライターとして知られるジム・スタインマン。僕は彼の大げさで、ドラマティックで、コーラスが異常に厚くて(ヴォーカルのてんこ盛り)、無駄に長尺な楽曲たちが大好きだ。初めて彼の手がけた曲を聴いたのは、ボニー・タイラーの Total Eclipse Of The Heart(愛の翳り)。そのパワフルで悲しくも美しいバラードに聴き惚れた。次に聴いたのがバーブラ・ストライサンドの Left In The Dark(暗闇にひとり)。オリジナルは嫉妬深い男の歌だが、これをバーブラが見事に普遍のラブソングに昇華させていた。そして「ストリート・オブ・ファイヤー」の Tonight Is What It Means To Be Young(今夜は青春)。これにエアサプライの Making Love Out Of Nothing At All(渚の誓い)がとどめとなり、僕はジムの楽曲の虜となった。
ジムの仕事といえば、巨漢のロックシンガー、ミートローフの「Bat Out Of Hell(地獄のロックライダー)」が有名だ。ロック・オペラとしても圧倒的な感動を僕らにもたらしてくれる名盤だが、続編を製作するにあたって、ジムとミートローフは対立する。そして用意された楽曲たちは、ジム自身のヴォーカルで吹き込まれることになった。これが「Bad For Good」である。叩きつけるようなピアノに、上手くはないが情念が込められた彼のか細いヴォーカルとやたらと分厚いコーラスがかぶさる。個々の楽曲のクオリティが高く、ここから多くのアーティストにカヴァーされたり、他の元ネタとなった楽曲も多い優れたアルバムだ。
90年代に入ってジムとミートローフは仲直り。「Bat Out Of Hell」続編をやろうということになって製作されたのが、「Bat Out Of Hell ll : Back Into Hell(地獄のロックライダー2~地獄への帰還)」。そして I'd Do Anything For Love(愛にすべてを捧ぐ)の大ヒットを生む。このアルバムには「Bad For Good」に収められた楽曲たちが、ジムの他の楽曲とともに再び歌われている。聴いていてクドいアルバムだけど、そのクドさがたまらない。どちらも僕にとっては繰り返し聴いた名盤。
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