僕の音楽的ルーツを探求するシリーズ第29弾。つくづく自分の音楽的無節操さがわかってまいりました。さぁ、今回はB'zの登場。なーんだ、takってやっぱり売れ筋が好きなんじゃない!と思われるかもしれないな。だけど、正直今のB'zにはあまり興味がない。僕がB'zを認めるのは、初期~ハードロック指向になっていく頃まで。シングルで言えば Love Phantom、アルバムで言えば「Loose」までかな。「the 7th Blues」もお気に入りだったなぁ。
社会人になってすぐの頃、忙しさに負けて新譜に手を出しそびれていた頃。妹が「これ、いいんでぇ(大分弁)」と勧めてくれたのが、他ならぬ Bad Communication だった。営業車の中で繰り返し聴き続けて歌詞カードなしにヴォーカルを完コピ(・・・本人そのつもりだからツッコミはなしね・笑)。しばらくカラオケで8分間マイクを離さない迷惑なヤツになっていたものだ。
僕がB'zを好きになったのにはもうひとつ事情がある。オリジナルを書き続けていた当時の僕は、
”デジタルビートと手弾きできないようなシーケンスをバックに、ハードなギターが鳴り響くような音楽”
にひどく憧れており、そういう曲をライブでまたいつかやりたいもんだ・・・と思い焦がれていたのだった。当時のB'zってまさにそれ。しかも浜田麻里のバックバンドで激しく弾きまくっていた松本孝弘がギターだし!。こういうのが聴きたかったんよ!真剣にそう思っていた(まぁ同じ理由でフェンス・オブ・ディフェンスも好きだったけど)。
稲葉浩志の”心優しき悩める遊び人”みたいな主人公が登場する歌詞に、たまらなく男の本音を感じたものだ。
キスだけじゃなくてほかのことのしてみたい/もう限界だ/僕のものになりなさい!
(Save Me)
恋という形のために壊れるものがあること/知っているのに会いたくなるのは/恋だから愛だから それとも・・・・
(恋じゃなくなる日)
のように友達と恋人の垣根を越えるか越えないかで思い悩む男の姿。
アルバム「Risky」は、シングル Easy Come, Easy Go! と愛しい人よGood Night を収めた初期の代表作。「Risky」を聴くと、B'zのコンサートに誘ってくれたある女のコのことをどうしても思い出してしまう。お互い彼氏・彼女がいたんだけれど、不思議と一緒にいるのがお互い楽しくって、バカ話したり一緒に出かけたりもしたっけ。そのコが一緒に行こうと誘ってくれて、僕は仕事を放って出かけたのだ。立ち見で入場したのだが
「満員のコンサート会場だもん!わかんないよ。もっと前に行こう!」
と彼女は僕の手を引っぱった。あの時の気持ちと、彼女の手のぬくもりと、コンサートの後で見上げた吸い込まれるような夜空を僕は今でも覚えている。その後、お互いその彼氏・彼女と結婚することになった。彼女が結婚することを僕に告げたとき、僕は「彼と幸せになれよ」と笑った。でも・・・どこかで自分の気持ちを抑えていたと思うのだ。彼女のことを思い出すと少し切なくなる。「Risky」の最後の曲を聴く。キザな曲だよね、と笑いあったあの日の僕と彼女を思い出す。