■「THE 4TH KIND フォース・カインド/The Fourth Kind」(2009年・アメリカ)
監督=オラントゥンデ・オスサンミ
主演=ミラ・ジョヴォヴィッチ ウィル・パットン イライアス・コティーズ
《ネタバレ注意》
僕ら世代はスピルバーグの「未知との遭遇」で、第3種接近遭遇(=宇宙人と出会うこと)について初めて知った。それはファンタジー色の濃いもので友好的とも思えるものだった。この「フォース・カインド」で描かれるのは第4種の遭遇。”宇宙人による拉致”である。映画自体は主人公の身に起こる数々の事件は、拉致が原因であった可能性を結論づける。でもそれはサスペンスの結末というよりも、映画では早い時点でその可能性が示唆され、その証拠を追求していくのが主たるテーマとなっている。だから異星人による拉致の映画なんよ、と人から聞いたからって気にする必要は一切ない。むしろその真実を探そうとする過程こそが大事な映画だからだ。
アラスカで不眠症患者に催眠療法を試みた心理学者が主人公。ミラ・ジョヴォヴィッチが彼女を演ずるだけでなく、ドキュメンタリーみたいに語り部として映画に登場する。さらにその心理学者と監督の対談の様子を流し、実録のビデオ映像と再現映像をスプリットスクリーンでみせるという演出。なかなか面白い。催眠中に突然患者が大声で叫びだすところは、ホラー映画の傑作「エクソシスト」を思わせたりもするが、実録映像もまったくその通りだから怖さが増してくる。怪奇現象が起こると実録映像は大きく乱れ始める。患者は意味不明な言語を催眠中に叫び出すのだが、それが古代シュメール文明の言語だと突き止めるところに至る。シュメール文明では、空から来た者によって文明がもたらされたような記述や痕跡が残っている。それがこの怪奇現象の原因だと言うのだ。
どこまで信じるかは観る人次第ではないだろうか。何せ実在の人物たちはこの映画の撮影に対して協力を拒否したり、語りたがらない。対談場面で登場する実際の心理学者の疲れ切った表情が、この映画を見終わって最も記憶に残る。真実を突き止めるには至らないものの、”異星人による拉致”(と思われる事件)が実際に起こっている現実を世に示す上ではこの映画は興味深い。エンドクレジットでは、UFO目撃の通報音声を流れる。いやぁオカルトやUFOに興味がある人々にはたまらないだろうね。
クライマックスで、主人公が自らを催眠状態にして異星人の言葉を引き出そうとする衝撃的な場面。うわー、怖ぁい・・・と思いながら銀幕を凝視している最中に、胸ポケットの携帯バイブが着信で振動。ちょっとビビリました(汗)。それにしてもこの映画はお客さんが多かった。何故か、ややガラの悪い若い子たちや、しゃべり続ける女子高生など・・・。
「お、俺こういうのあんまり信じられんのよね。」
「オレも、オレも。」
と、上映中に声を出す茶髪男子の一団が僕の後方に。怖いんなら、怖いって言えよ!。つーか、黙ってろ!と久々に怒りを覚えましたが。