■「オールドボーイ/Old Boy」(2003年・韓国)
●2004年カンヌ映画祭 グランプリ
●2004年大韓民国映画賞 作品賞・主演男優賞・監督賞・照明賞・音楽賞
監督=パク・チャヌク
主演=チェ・ミンシク ユ・ジテ カン・ヘギョン
15年監禁された男が突然解放された。主人公も観客も「何故?」ばかりしか頭にない。わずかな手がかりを元に謎を追い続ける彼の前に突然犯人が現れる。そして事件の背後にあった真実とは・・・。残酷で血まみれでそのくせ美しくて、暴力的でユーモラスでしかも愛憎入り乱れるドロドロ劇なんだけど、愛情にあふれた映画なのだ。僕の出身地である大分のローカルTV局は、深夜映画番組の最後、次回予告の後で「スリルとサスペンス、愛と感動の名画!」と、どんな映画にも当てはまるようなコメントを流していた。僕は「オールド・ボーイ」を観て思ったのだ。これこそ、そのすべてが当てはまる映画だと。
確かに血まみれだしタブーを扱った映画でもあるだけに、生理的に受け付けない方も多かろう。僕もラスト近くの舌とはさみの場面はもう目をそむけたくなった。しかしその壮絶な場面を乗り越えた先に待つ穏やかで愛に満ちた結末にはなかなか感動させられる。ラストのチェ・ミンシクの何とも言い難い表情にはすべての思いが凝縮されているようにさえ思うのだ。僕はここで「キル・ビルvol.2」のラストシーンの泣き笑いするユマ・サーマンが頭をよぎった。あの場面に込められた喜びと悲しみ。「オールドボーイ」のラストにも通ずるものがある。本作はカンヌ映画祭でグランプリを獲得した訳だが、審査員長がクエンティン・タランティーノだからこそ選ばれたのか?と僕には思える。物語はやたらと唐突な展開もあるけれど、細かな伏線がうまくかみ合っていて全く飽きさせることはない。この映画の印象は観た者の脳裏にしばらくの間へばりついて離れないだろう。
ハリウッドリメイクの話が出ておりジョニー・デップやブラピがオ・デス役に?という声もあるとか。きっとただのどんでん返しサスペンスにしかならんだろうが。オ・デス役は”おじさん”の感じが出ないといかんと思う。僕がプロデューサーなら・・・そうだな、ゲイリー・オールドマンあたりが適任か。そして迷宮のようなこの物語の演出にアレハンドロ・アメナーバルなんかどうだろう?。愛とバイオレンスをきっとうまく扱ってくれる気がするのだが。
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