Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ラマになった王様

2013-07-11 | 映画(ら行)

■「ラマになった王様/The Emperor's New Groove」(2000年・アメリカ)


監督=マーク・ディンダル
声の出演=デヴィッド・スペイド ジョン・グッドマン トム・ジョーンズ

 最近のディズニー映画にはなかったラフな楽しさに満ちた映画。昔の「ドナルドダック」や「ミッキーマウス」のTVシリーズ等いわゆる”トゥーン”に通ずるくだけた楽しさだ。お話自体は”わがままばかりしているといけないよ”という寓話であるが、危機また危機のドタバタがやはり一番印象に残る。確かに楽しい。

 今回は南米が舞台。映画全体としては確かに楽しいんだけれど、僕にはどうも心にひっかかるところが・・・。それは随所に散りばめられた見せ場の数々が、あまりにも米国文化的だということ。例えばミュージカルシーンやタイトルでも使われる"groove"という言葉の現代的な響き、秘密の研究所に降りていくときのウォータースライダー等々。そんな現代的な楽しさばかりが残って、南米の情緒とか風物といったものが、なーんか否定されているようにさえ思えた。

 これまでのディズニー作品には文明化されていない地域やアメリカとは異なる文化圏を題材にしたお話でも、そこには徹底した描かれ方があった。「ジャングル・ブック」では音楽にジャズを使った以外は現代的味付けはないし、最近の「ムーラン」にしたって古き東アジアの考え方を尊重している作風に思われた。だが「ラマになった王様」にはそれはない。スタッフはマチュピチュを訪れて遺跡や風景を背景画の参考にしたらしいけど、お話自体は”ご当地ネタではウケない”とでも言いたげで、そこが残念だ。確かにアドベンチャーや成長物語として観れば楽しい。でも昔の南米の人はみんな巨大ダンゴムシを食っているっていうの?。ギャグなんだろうけど、パチャが平然と食べ方を教えるところがあるだけに、もしそういう風俗がないのならば”偏見”につながる恐れもあると思うのね。ともかく楽しめる映画ではあったのだけど、ちょっと気にしてしまいました。

(2003年筆)


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