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キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

2018-10-03 | 映画(は行)

■「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法/The Florida Project」(2017年・アメリカ)

監督=ショーン・ベイカー
主演=ブルックリン・プリンス ウィレム・デフォー ヴァレリア・コット

フロリダ・ディズニー・ワールドのすぐ近くにある安モーテル、マジック・キャッスル。
そこには定住する家を失った人々が暮らしていた。
6歳のムーニーは、モーテル住まいの子供たちと日々仲良く遊んでいる。
母ヘイリーは定職に就けずに滞在費を稼ぐために、観光客相手に日銭を稼いでいた。
モーテルの管理人ボビーは、子供たちの悪戯やヘイリーの態度に苛立ちながらも、
モーテルで暮らす人々を時に厳しく時に優しく見守っている。
近所の空き家で起こった火事がきっかけで、ムーニーは仲良しのスクーティと遊べなくなってしまう。
それはスクーティの母親が州の児童福祉局に干渉されるのを恐れたからだった。
スクーティの母親を生活の頼りにしていたヘイリーは・・・。

2007年頃、アメリカで起こった住宅ローンの不良債権化は、いわゆるリーマンショックにつながっていく。
この映画に登場するモーテル暮らしの家族は、そうした経済危機の影響で貧困から這い上がれない人々。
アメリカがとんでもない不景気だったことは知っていても、
その影でこの映画で描かれるような現実があることがわが国で報道されることはない。
映画がスクラップブックのように、今を切り取ってくれている。

児童福祉局がいよいよやって来る映画の終盤。
それまで無邪気だったムーニーが見せる涙。あまりにリアルで、演技なのか現実なのか見境がつかなくなってくる。
迫真という言葉が陳腐に感じるくらいの臨場感。
前作をiPhoneだけで撮ったというベイカー監督。
子供たちの視線の高さが生かされた映像が随所に見られる。

パステルカラーが映える建物や風景が画面に広がる中で描かれる厳しい現実。
見慣れたウィレム・デフォーが出演しているから、映画なんだと思って観ているけれど、
描かれるのは紛れもなくどうしようもない現実。
ジワジワと貧困が母子を追い詰めていく様子が観ていて辛い。
この映画の評価はなかなか高いようだけれど、
映画館で過ごす"非日常"を大切な時間に思ってる人にはちょっと向かない映画だとも思う。

『タンジェリン』などのショーン・ベイカー監督作!映画『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』予告編


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