■「アンドロメダ・・・/The Andromeda Strain」(1971年・アメリカ)
監督=ロバート・ワイズ
主演=アーサー・ヒル デビッド・ウェイン ジェームズ・オルソン ケイト・レイド
70年代以前のSF映画が描く深刻な未来像。
子供の頃テレビで観て、繰り返し観たお気に入り映画になったものあれば、生涯残るトラウマ映画になったものもある。
「決死圏SOS宇宙船」「猿の惑星」「ソイレントグリーン」、
後に観た「地球爆破計画」などいろいろあるが、
中でもマイケル・クライトン原作の「ウエストワールド」とこの「アンドロメダ・・・」は強烈なインパクトがあった。
人工衛星が墜落してきたある村で、人々が死亡するという事件が起こる。
生き残ったのは、赤ちゃんと老人の二人だけ。
様々な分野の科学者が招集され、地下深くに設けられた秘密の施設で対策の検討が始まる。
その施設も危険な病原菌で汚染されてしまった際には、拡散を防ぐ為に核爆弾で自爆することになっていた。
数々の検証を経て、原因となる細菌の存在を突き止められ、核で村を焼き払うことが提案される。
しかし、その後の検証で核爆発のエネルギーが細菌を爆発的に増殖させることが判明。
そして施設内に汚染の危機が・・・。
とにかく知的な印象の映画。
延々と実験と分析が繰り返される中で、対策を見出していく様子は、
現代ハリウッドのエンターテイメントに慣れた眼には盛り上がりもなければ、高揚感も皆無だ。
カメラは現場と施設以外を映すことはないし、
特に前半は科学者たちを無菌状態に近づける為の防疫処置が続くだけに、ここまでで飽きてしまう人は多いだろう。
しかし今改めて観ると、理詰めのストーリー展開や科学者の持病という伏線など、緻密に脚本が練り上げられている印象。
まだSF映画が娯楽作ではなく、
文字通りの知的"空想科学"や得体の知れない恐怖を描くものだった時代の秀作だ。
クライマックスの核爆発が迫る危機。
ハシゴを上る人物にレーザー光線が襲いかかる場面は、子供心に強烈な印象だった。
邦題をオリジナルの「アンドロメダ病原体」にせず「アンドロメダ・・・」にしたのは、
病原体だとネタバレしてしまうことを避けたものだとか。
ポスターや予告編で堂々とネタバレをやっちまう今の下手くそな映画宣伝とは心意気が違うね。
科学的な検証だけでなく、本作では薄味な政治的な対応も含めて、
現代のエンターテイメントで味付けすれば面白いリメイクができゃせんだろうか。
いや待てよ。
既にわが国がそんな映画を世に示しているじゃないか。
「シン・ゴジラ」がまさにそれなのだ。
The Andromeda Strain 1971 original film trailer